他の何よりアイが欲しい。R15

勇崎シュー

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十三話 強まる寒さに

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 12月、厳しい寒さが続く季節だ。
 そんな中俺達は、
「松芝先生!なんでここはマイナスになるんですか?」
 百合木とテスト勉強をしていた。

 数分前。
「庭理、今年のクリスマスは、どっかに遊びに行こうな」
 俺が唐突にそう提案した。
「あ、じゃあティスニーランド行きたい」
「ごめんなさいそこまでお金ないです」
「ふふっ、冗談だよ」
 庭理はイタズラっぽく笑った。
 すると、不意にインターホンがなる。
「誰だろ?俺、ちょっくら見てくるわ」
 俺は玄関へ向かい、扉を開けた。
「よっ」
 俺は扉を閉めた。
「おい!ちょっと待て!俺だよ百合木だよ!なんで閉めるんだよ!」
「てか百合木!なんで俺んち分かったんだよ!教えてないだろ!怖いよ!」
「昨日の夜お前がこの家に入ってくとこ見たんだよ!」
 昨日の夜?あぁ、バイトの帰りか。
「ってお前もし違かったらどうすんだよ!」
 結局俺は根負けして、百合木を家にいれてしまった。
「あ、庭理も来てるけど大丈夫か?」
 一応同棲してることは隠すことにした。
「え?松芝もきてんの?じゃあ丁度良いや、俺松芝に勉強教えてもらう為に、美園に住所聞きに来たんだからな」
 勉強?そういやそんな約束もしたな。
 てか俺んとこまで住所聞きに来るとか、ちょっと百合木が怖くなってきた。
「おっす松芝、俺も美園のお邪魔に来たぜ」
「こんにちは百合木くん」
 庭理は軽く会釈しながら挨拶した。
「松芝、早速で悪いんだけど勉強教えてくんね?」
 百合木な庭理の斜め前に座った。
「いいよ。じゃあまず何から教えよっか?」

「松芝先生!なんでここはマイナスになるんですか?」
 と、言うことで、庭理は百合木の勉強を見ることになった。
「ほら、お茶」
 俺は三つのコップにお茶を注ぎ、勉強机に置いた。
「サンキュー美園。あ、先生ここは?」
 よっぽど庭理の教え方がうまいのか、百合木は二時間ぶっ通しで勉強をしていた。
「あー!なるほどそういうことね」
 百合木はやればできるタイプなのだろう。それでもテストがあの点数なのは、部活で忙しいかららしい。
「じゃあ百合木くん、キリがいいしここで一旦休憩しようか」
 庭理がそう提案し、百合木が鉛筆を置いた。
「そういや松芝、なんで美園ん家にいたんだ?」
「あぁ、それは俺が庭理に勉強教えてもらおうと思って呼んだんだよ」
 百合木は成る程と納得する。まぁ、嘘なんだけど。
「よし、じゃあそろそろ始めよっか百合木くん」
「おう!」
 その後たらふく勉強した百合木は、俺達に礼を言って帰っていった。

 一週間後。
「見ろ!美園!」
 俺がそう言われ、百合木のテストを見てみると。
「は?理科以外全部80点台!?てかなんで逆に理科だけ42点なんだよ」
「うっせ、理科だけは苦手なんだよ」
 その後俺の隣の庭理の席へ向かった百合木は。
「見てくれ松芝。お前のおかげでめっちゃいい点とれたぜ。サンキューな」
 百合木は嬉しそうにお礼を言った。
「いや、テストでいい点とれたのは、頑張ったのは百合木くん自信のおかげだよ」
 庭理はそう百合木に笑いかけた。
 俺はそれを少し、妬ましく思ってしまった。
「ねぇ、海斗」
 急に庭理に話しかけられ、俺はびくりと身を震わす。
「な、なんだ?庭理」
「百合木くんがさ、イルミネーションが綺麗なところいっぱい知っててさ、お礼に色々教えてもらっちゃった。今度そこに遊びに行こうね」
 庭理はそう言いながらウィンクした。あぁ、可愛い。
「そうか、もうすぐクリスマスか」
 俺は天井を見上げ、染々とそう言った。
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