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十七話 夜は明ける
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クリスマスの夜。
あれから俺達は、まあ、何と言うか、色々あってなんか気まずくなった。
当然の如く、なかなか寝付けない。
それは庭理も同じようで、とある話をし始めた。
「ボクの父さんと兄ちゃん、死んじゃったんだ」
「えっ」
庭理の急なカミングアウトに、俺は戸惑う。
「父さんはボクが小学六年生の時、兄ちゃんは中学二年生の時にね」
俺は庭理に視線を移す。
「兄ちゃんは、病気で死んじゃったんだけど、父さんは、自殺で......」
「庭理......」
俺は少し近寄り、庭理の手をぎゅっと握った。
そうか、庭理も、大切な人を失う悲しみを知ってたんだな。
「かいとっ......」
庭理は振り向き、俺の胸に飛び込んできた。
「かいとは死んじゃ駄目だよっ......」
震える声で、庭理が俺に懇願する。
「死なねぇよ。死ぬときは、一緒だ」
庭理は泣いていた。
俺の胸の中で泣いていた。
俺は、この時誓った。
何があっても、庭理だけは守ってみせると。
━━━━━━━━━━━━━━━
「......んぁ?」
だらしない声を上げたとも気づかずに目が覚めると、もう朝日は昇っていた。
隣の部屋からいい臭いがする。庭理が朝食を作っているのだろう。
「おはよう」
俺は扉をあけ、庭理に挨拶をする。
「あ、おはよう海斗」
そう言って庭理が笑う。
「海斗、それ運んどいて」
「あいよ」
今日の朝食はフレンチトーストとインスタントのコーンスープだった。
「「いただきます」」
俺はまず、フレンチトーストから手をつけることにした。
家庭科の教科書に乗ってる写真にはこの上に何か白い粉みたいなのが乗っていて非常に旨そうな見た目をしていたが、うちのはそれが無くても美味しく見えるのが不思議だ。
頬張ってみると、程好い甘さが染み渡る。この絶妙な味の加減は、庭理が毎日料理を作ってきた成果だろう。
要するに、今日も庭理の飯は最高と言うことだ。
「……あっ、庭理、今思い出したんだけどさ」
そう言い出すと、庭理が不思議そうに俺を見つめる。
「庭理のお母さんは生きてるんだよな」
「え?あぁ、うん。そうだよ」
地雷を踏んでしまうのではという躊躇いもあったが、このての話題はどうやら大丈夫そうで安心した。
胸を撫で下ろしつつ、俺は言葉を続ける。
「俺、会ってみたい。庭理のお母さんに」
すると、庭理が飲んでいたコーンスープを吹き出した。
「おわっ!大丈夫か庭理?」
「けほっ、けほっ、いや、唐突過ぎてさ……」
庭理が近くに置いてあったティッシュで口元と机を拭う。
「というか、なんで急にボクのお母さん?」
庭理が真面目な顔で聞いてくる。
「いやぁ、挨拶......みたいな?」
俺はそう言いながら頭を掻いた。
「......嘘、でしょ」
「えっ?」
庭理が半目で俺を見つめる。
「じー」
「や、やめろぉ! そんな目で人を見ちゃいけません!」
俺がふざけると、庭理は笑いだした。続けて俺も爆笑する。
「で、どうする? いつ行く?」
一瞬怪しんでいた庭理だったが、この切り返しの速さは最早感心する。
「庭理の実家にってこと? んー、そうだなぁ。1月の2日辺りでいいんじゃないか。1日は初詣とかで忙しいし」
「じゃ、決まりだね」
「おう」
それにしても、庭理のお母さんか。
一体どんな人なんだろう。
あれ、そういえば庭理、俺が嘘ついてるって、なんでそう思ったんだろう。
あれから俺達は、まあ、何と言うか、色々あってなんか気まずくなった。
当然の如く、なかなか寝付けない。
それは庭理も同じようで、とある話をし始めた。
「ボクの父さんと兄ちゃん、死んじゃったんだ」
「えっ」
庭理の急なカミングアウトに、俺は戸惑う。
「父さんはボクが小学六年生の時、兄ちゃんは中学二年生の時にね」
俺は庭理に視線を移す。
「兄ちゃんは、病気で死んじゃったんだけど、父さんは、自殺で......」
「庭理......」
俺は少し近寄り、庭理の手をぎゅっと握った。
そうか、庭理も、大切な人を失う悲しみを知ってたんだな。
「かいとっ......」
庭理は振り向き、俺の胸に飛び込んできた。
「かいとは死んじゃ駄目だよっ......」
震える声で、庭理が俺に懇願する。
「死なねぇよ。死ぬときは、一緒だ」
庭理は泣いていた。
俺の胸の中で泣いていた。
俺は、この時誓った。
何があっても、庭理だけは守ってみせると。
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「......んぁ?」
だらしない声を上げたとも気づかずに目が覚めると、もう朝日は昇っていた。
隣の部屋からいい臭いがする。庭理が朝食を作っているのだろう。
「おはよう」
俺は扉をあけ、庭理に挨拶をする。
「あ、おはよう海斗」
そう言って庭理が笑う。
「海斗、それ運んどいて」
「あいよ」
今日の朝食はフレンチトーストとインスタントのコーンスープだった。
「「いただきます」」
俺はまず、フレンチトーストから手をつけることにした。
家庭科の教科書に乗ってる写真にはこの上に何か白い粉みたいなのが乗っていて非常に旨そうな見た目をしていたが、うちのはそれが無くても美味しく見えるのが不思議だ。
頬張ってみると、程好い甘さが染み渡る。この絶妙な味の加減は、庭理が毎日料理を作ってきた成果だろう。
要するに、今日も庭理の飯は最高と言うことだ。
「……あっ、庭理、今思い出したんだけどさ」
そう言い出すと、庭理が不思議そうに俺を見つめる。
「庭理のお母さんは生きてるんだよな」
「え?あぁ、うん。そうだよ」
地雷を踏んでしまうのではという躊躇いもあったが、このての話題はどうやら大丈夫そうで安心した。
胸を撫で下ろしつつ、俺は言葉を続ける。
「俺、会ってみたい。庭理のお母さんに」
すると、庭理が飲んでいたコーンスープを吹き出した。
「おわっ!大丈夫か庭理?」
「けほっ、けほっ、いや、唐突過ぎてさ……」
庭理が近くに置いてあったティッシュで口元と机を拭う。
「というか、なんで急にボクのお母さん?」
庭理が真面目な顔で聞いてくる。
「いやぁ、挨拶......みたいな?」
俺はそう言いながら頭を掻いた。
「......嘘、でしょ」
「えっ?」
庭理が半目で俺を見つめる。
「じー」
「や、やめろぉ! そんな目で人を見ちゃいけません!」
俺がふざけると、庭理は笑いだした。続けて俺も爆笑する。
「で、どうする? いつ行く?」
一瞬怪しんでいた庭理だったが、この切り返しの速さは最早感心する。
「庭理の実家にってこと? んー、そうだなぁ。1月の2日辺りでいいんじゃないか。1日は初詣とかで忙しいし」
「じゃ、決まりだね」
「おう」
それにしても、庭理のお母さんか。
一体どんな人なんだろう。
あれ、そういえば庭理、俺が嘘ついてるって、なんでそう思ったんだろう。
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