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一章ー風の都ー
21 追走
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レビンに饅頭をくれと言ったが普通に断られ、目線を何処と無く右側に向けると、茶色のローブを目深く被った少年がこちらに近づいてきていた。
どこか違和感を覚える挙動に訝しんでいると……。
少年は懐からペティナイフを取り出し、鬼気迫る眼差しでこちらに向かってきた。
「なっ……!」
瞬間、俺は頭を働かせる。
何故、の前に、誰を狙っているのかを先ずは思考した。
一番可能性があるのは貴族であるレビンだ。本人又はその家系の誰かに恨みを持っているのだろう。
どの道騎士か俺達二人が狙われたところで防具をしているのだから大した怪我は負わない。ならば少し癪だがレビンを守ることが第一だ。
「おい、レビン!」
叫ぶと同時に貴族は振り向き、目を見開いた。
不味い、と思った頃には俺の足は既に動いている。
間に合え……! と心中で叫びつつローブの少年に体当たりを見舞った。
こうして、重い衝突音が鳴る。
「ぐぅっ……!」
裏路地の方へと転んだ少年。俺はその背丈や声、ちらりと見えた肌色に既視感を覚える。
しかし少年はお構い無しに落としたナイフを拾い上げ、街の影へと駆けていく。
「アイツは俺が追う! 仲間がいるかもしれないから、あんたら二人はレビンを守っとけ!」
明らかに歳上の騎士二人に粗い言葉遣いをしてしまうが、今は緊急事態なので許して欲しい。
そう頭で考えつつ、俺は少年の足取りを追った。
「待てっ!」
翌々考えれば待てと言われて素直に従うわけはないのだが、万が一に賭けて叫ぶ。
しかし少年は当然疾駆を止めなかった。
俺は微かな胸のざわめきだけを原動力に追いかけるが、中々追いつけそうにない。
こうなれば……。
「《剣招来》っ!」
我が黒剣を召喚し、少年に向かって突き刺す。
当然距離がある為接触はしないが、目の前に小さな異次元の隙間が出来る。
これにより辺りの空気が一瞬だが収束した。
「……っ!」
茶ローブの少年も踏ん張るが、その吸収力には勝てず後転する。
俺はよし、と心中で頷き右手に握る黒剣を四散させながら駆け寄った。そしてその素顔を拝もうとローブに手を伸ばす。
しかしその瞬間、彼はローブの下に隠していたのであろう固く小さい“何か”をこちらに投げつけて来た。
「っで!」
痛いすら言葉に出来ないほどの唐突な事態に困惑しつつ、クリーンヒットした額を抑えながら再度駆ける。
もう一度剣を呼び戻し転ばそうと画策するも、常に塀を越えたり壁が背になる状況になるよう逃げられ、上手く躱される。
「くっそ……!」
ここ数日でほんの少しばかり上がった体力に限界が近づいてきた所で、少年は腰から何かを取り出し、それを三メートルはある塀に向かって投げた。
それは先端が返しになっており、鎖に繋がれ射出出来るアイテム……。
「フックショット!?」
勿論、これは俺が勝手に言っているだけで正式名称は別だろうが、某ゲームを彷彿とさせるそれは夜を駆ける猫の如し機能で、一呼吸する間に向こう岸へ去ってしまった。
登ることも一瞬考えたが、今行った所でもう追いつけないだろう。
「……ぜぇ、はぁ……っ、取り逃した、かっ……!」
俺は重い足取りでみんなの元へ帰る途中、何かをぶつけられた所である物を探す。
固くて、小石位の大きさの物は、近辺でひとつしか見つからなかった。
「……これは」
俺は犯人探しの手がかりになるだろうそれを紺青色の右ポケットにそっと入れる。
そして、今度こそ饅頭屋へ戻るのだった。
饅頭屋へ戻った後、ユズリの案内の元レビンが泊まっているらしいとある宿屋の一室へ移動した。
「全く、どういうことだ!」
憤慨しているのは、当然レビンだ。まぁ、殺されかけたのだからしょうがない。
「それで、アレから何かあった?」
俺がユズリに問うも、彼女は首を左右に振るのみだった。
特に仲間とかに追撃はされていない……か。
「おい、ニセ勇者。犯人を取り逃しておいてノコノコ帰ってきたからには、何か有益な情報を手に入れたのだろうな?」
レビンに言われて一瞬むっ、とするも、仕方無く得た情報を開示する。
「とりあえず子供っぽかったかな。男か女かは分からない。けど上手く地形を利用して逃げられたから、きっとこの街に住んでる奴だ」
この発言には一つ虚偽が隠されている上、俺のポケットには重要アイテムが入っているが……。
ここでは敢えて、提出はしなかった。
「そうか……もういい、色々手間をかけさせたな」
「なんだよお前らしくねーな。まぁ、また何か分かったら教えるよ」
貴族相手に大分横柄な態度を取るが、特に周りの騎士に責められる事も無かったのであまり気にしないようにし、部屋から退室する。
そして少し歩いた後、俺はユズリの手を引き裏路地へ引き込んだ。
「ど、どうしたの?」
そう聞かれ、俺は真剣な眼差しで。
「調べたい事がある」
どこか違和感を覚える挙動に訝しんでいると……。
少年は懐からペティナイフを取り出し、鬼気迫る眼差しでこちらに向かってきた。
「なっ……!」
瞬間、俺は頭を働かせる。
何故、の前に、誰を狙っているのかを先ずは思考した。
一番可能性があるのは貴族であるレビンだ。本人又はその家系の誰かに恨みを持っているのだろう。
どの道騎士か俺達二人が狙われたところで防具をしているのだから大した怪我は負わない。ならば少し癪だがレビンを守ることが第一だ。
「おい、レビン!」
叫ぶと同時に貴族は振り向き、目を見開いた。
不味い、と思った頃には俺の足は既に動いている。
間に合え……! と心中で叫びつつローブの少年に体当たりを見舞った。
こうして、重い衝突音が鳴る。
「ぐぅっ……!」
裏路地の方へと転んだ少年。俺はその背丈や声、ちらりと見えた肌色に既視感を覚える。
しかし少年はお構い無しに落としたナイフを拾い上げ、街の影へと駆けていく。
「アイツは俺が追う! 仲間がいるかもしれないから、あんたら二人はレビンを守っとけ!」
明らかに歳上の騎士二人に粗い言葉遣いをしてしまうが、今は緊急事態なので許して欲しい。
そう頭で考えつつ、俺は少年の足取りを追った。
「待てっ!」
翌々考えれば待てと言われて素直に従うわけはないのだが、万が一に賭けて叫ぶ。
しかし少年は当然疾駆を止めなかった。
俺は微かな胸のざわめきだけを原動力に追いかけるが、中々追いつけそうにない。
こうなれば……。
「《剣招来》っ!」
我が黒剣を召喚し、少年に向かって突き刺す。
当然距離がある為接触はしないが、目の前に小さな異次元の隙間が出来る。
これにより辺りの空気が一瞬だが収束した。
「……っ!」
茶ローブの少年も踏ん張るが、その吸収力には勝てず後転する。
俺はよし、と心中で頷き右手に握る黒剣を四散させながら駆け寄った。そしてその素顔を拝もうとローブに手を伸ばす。
しかしその瞬間、彼はローブの下に隠していたのであろう固く小さい“何か”をこちらに投げつけて来た。
「っで!」
痛いすら言葉に出来ないほどの唐突な事態に困惑しつつ、クリーンヒットした額を抑えながら再度駆ける。
もう一度剣を呼び戻し転ばそうと画策するも、常に塀を越えたり壁が背になる状況になるよう逃げられ、上手く躱される。
「くっそ……!」
ここ数日でほんの少しばかり上がった体力に限界が近づいてきた所で、少年は腰から何かを取り出し、それを三メートルはある塀に向かって投げた。
それは先端が返しになっており、鎖に繋がれ射出出来るアイテム……。
「フックショット!?」
勿論、これは俺が勝手に言っているだけで正式名称は別だろうが、某ゲームを彷彿とさせるそれは夜を駆ける猫の如し機能で、一呼吸する間に向こう岸へ去ってしまった。
登ることも一瞬考えたが、今行った所でもう追いつけないだろう。
「……ぜぇ、はぁ……っ、取り逃した、かっ……!」
俺は重い足取りでみんなの元へ帰る途中、何かをぶつけられた所である物を探す。
固くて、小石位の大きさの物は、近辺でひとつしか見つからなかった。
「……これは」
俺は犯人探しの手がかりになるだろうそれを紺青色の右ポケットにそっと入れる。
そして、今度こそ饅頭屋へ戻るのだった。
饅頭屋へ戻った後、ユズリの案内の元レビンが泊まっているらしいとある宿屋の一室へ移動した。
「全く、どういうことだ!」
憤慨しているのは、当然レビンだ。まぁ、殺されかけたのだからしょうがない。
「それで、アレから何かあった?」
俺がユズリに問うも、彼女は首を左右に振るのみだった。
特に仲間とかに追撃はされていない……か。
「おい、ニセ勇者。犯人を取り逃しておいてノコノコ帰ってきたからには、何か有益な情報を手に入れたのだろうな?」
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この発言には一つ虚偽が隠されている上、俺のポケットには重要アイテムが入っているが……。
ここでは敢えて、提出はしなかった。
「そうか……もういい、色々手間をかけさせたな」
「なんだよお前らしくねーな。まぁ、また何か分かったら教えるよ」
貴族相手に大分横柄な態度を取るが、特に周りの騎士に責められる事も無かったのであまり気にしないようにし、部屋から退室する。
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「ど、どうしたの?」
そう聞かれ、俺は真剣な眼差しで。
「調べたい事がある」
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