レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー

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一章ー風の都ー

27 様々に告げて

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 大量発生したカースベルグから産まれた、異形の黒鳥。
 四つの翼をはためかせ、六メートルはある巨躯にぎらりと睨む瞳。その恐ろしさは見た目だけに収まらず、数々の被害をもたらして来た。
 しかし、それも今日で終わる。
 カースベルグ自体はこれから徐々に減らしていくしかないが、巨大なカースベルグは先程討伐した。
 だが、問題はまだまだ残っているのだったーー。


「……やべ、なんも言わずに出てっちまったから、親方にめたんこ怒られんだろうなぁ」

 ガレージギングの前で、バックが頭を抱える。

「いやぁもうしょうが無いよ。俺も一緒に謝るし、覚悟決めて行こうぜ」

 俺が気休めの様にそう言うも、彼の表情は暗いままだ。
 しかしいつまでも突っ立っている訳にも行かないと悟ったのだろう、眼差しを真剣なものに変え、扉を開いた。
 オイルやら鉄の匂いが鼻腔を突き、乱雑に置かれた道具と綺麗に置かれた製品の数々が目に入るが、目的の人物はその奥にてハンマーを振るっている。
 二人で近づいていくと、こちらから喋るより先に親方の低い声が響いた。

「バックてめぇ、大遅刻だぞ。ほら、とっとと仕事に戻って遅れを取り戻しやがれぃ」
「……えっ」

 バックは、もっとあれこれ聞かれてると覚悟していたのだろう。

「なぁに呆けてやがる。ほら、さっさと鉄材でも持ってこい!」
「へ、へい!」

 一瞬飛び上がってから倉庫へ向かうバック。
 彼が駆け足で部屋を出ると、親方は立ち上がり太い眉を寄せてこちらに目線を向けた。

「……あのバカが世話になったみてぇだな。礼を言わせてくれ」

 すると、彼は俺に向けて深々と頭を下げる。
 どうやら、親方には色々お見通しだったらしい。

「ちょっ、止めてくださいよ! 俺は、ただ、いつもみたいに余計なお節介かけただけで……」

 そこまで言った所で、扉が力強く開けられる。

「タクマ! 大変。カースベルグの報酬、高額すぎて本人じゃなきゃ受け渡し出来ないんだって!」

 俺の代わりに報酬を受け取りに行ってもらっていたユズリが、汗を垂らしながら現れた。

「……えっと…………」

 出鼻をくじかれた気分だが、そう言われては赴くしか無い。

「行ってくだせぇ。詳しい事は、また後で」
「……分かりました」

 俺は強くうなずいて、ギルドへと向かった。






 驚いた。

「異形のカースベルグ、討伐おめでとうございまーすっ!!」

 ギルドに入って早々、こんな事を職員に言われた。

「え、なんですかコレ」

 困惑の中ワインっぽいものを持たされたり、職員だけでなくその場の冒険者とかにも拍手を贈られる。

「知りませんか? 一定の難易度を超えた依頼を達成された冒険者は、いつもこのように祝福されるのが通例なんですよ!」
「へ、へぇ」

 近くの職員さんがそう答えてくれたが、突然の出来事にまだ整理が追いつかない。
 しかも現在はまだやらなければ行けない事が幾つか残されているのだ。楽しさ百パーセントの心境にはまだ持っていけないだろう。

「ささ! 主役はどうぞこちらへ。お連れの方もどうぞ!」
「あ、ちょっ……!」
「ま、まぁ、折角用意してくれたんだし、ちょっとだけ楽しんでいきましょ?」

 ユズリにそう言われ、乗り気で無かったが程々楽しんだ俺は、報酬を貰いやっと解放されたと言う所でとある場所に向かった。
 因みに、何かあった時面倒事に巻き込まないよう、ユズリには適当な事を行って先に宿屋で休むよう伝えてある。

「……えっと、こうか。よっ」

 俺は借りていたフックショットを用い、とある宿屋の天井にフックを引っ掛ける。
 夜の静けさに溶け込むよう先端に布を巻いておいたのが幸いして、ここまでは誰にも気づかれることは無かった。
 そこから俺は何とか屋根に登り、這うように移動してとある部屋の窓を三回叩く。

「おい、レビン。俺だ、タクマだ。開けてくれ」

 小声で中に響くようにそう言うも、中々出てこない。
 もう寝てしまったのかと一瞬考えるが、部屋の明かりはまだ付いていた。
 警戒して出てこないか……と諦めかけた矢先、カーテンがほんの少し開かれる。
 そして、中の人物が俺と気づくや否や、窓を少し開けた。

「なんだ、こんな時間にこんな場所で」

 彼の問いに対し、俺は一言だけ。

「この前の奴は、もうお前を襲わないよ。それだけ伝えに来た」

 レビンはやや困ったように「そうか」とだけ零し、俺は足早にその場を去るのだった。
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