異世界転生したけど殺されました

勇崎シュー

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サウスサウサ編

28話 森のヌシ

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 ディアボルボア。
 紫の体毛に包まれ、背中は岩石のような見た目をし、非常に固い。
 身体の節々に苔が生えており、本当に生き物なのか怪しくなる。
 そして数メートル程もある巨大な牙が与える威圧感は、並みではない。

 そもそもこのモンスターの討伐依頼が来たのは、この湖が占領されてしまったからである。
 元々この湖はサウスサウサの名物である、疲労回復の効果をもつ清水が汲める場所だった。
 それを五十年程前から、このモンスターが居座り、汲みに来るものを襲い掛かってくるのである。
 昔百人の冒険者で討伐しようと試みたが、約半数の冒険者が地に還る結果となってしまった。
 その圧倒的強さから、森のヌシと皮肉も込めて讃えられているのだ。

「ブモオオオオォォッ!」

 俺は今、そのバケモノを討伐しようとしているわけだが、自棄になった訳でも調子づいている訳でもない。
 俺は力を手に入れたのだ。無謀な戦いなどではない。
 
「ライトランス」

 左手を突き出しながら唱えると、俺の目の前に光の槍が五本、ずらっと水平に並ぶ。
 インポディティヴも常に使っているので、合計で六の魔法を同時に使用しているわけだが、これは毎日魔法の反復練習で得た力だ。
 本来、一日や一瞬で強く成れる筈はない。
 神様の件が異質すぎたのだ。
 しかし、それ故か俺は、最強と呼べる力を当時はもっていなかった。
 だから、毎日剣を振るい、地道に強くなってきたのだ。
 今日はその、けじめをつける為に山のヌシに勝負を挑んだ。
 無事勝てたら、この街から出よう。そう心に決めたのだ。

「行け」

 俺が突きだした左手を横にふると、五本の槍はディアボルボア目掛けて直進する。

「ブモオッ!?」
「ちぃっ」

 光の槍の一本はディアボルボアの片目を貫き、三本は額辺りに浅く突き刺さる。残りの一本は、飛び出ている牙を掠たのみだった。
 この攻撃で両目を潰しておきたかったのだが......仕方ない。
 この距離からでは魔法を使う間に轢かれてしまうだろう。
 そう考えた俺は、ディアボルボア目掛けて走り出し、牙に向かって跳び、足をかけ再び跳躍し、ディアボルボアの背中へ飛び乗った。

「ライトランス」

 今度は地面に平行でなく垂直に、俺の周りに五本出現させる。
 そしてその槍を皮膚に飛ばすが、金属音のような音をたて、弾かれる。

「思ったより固いな......よし」

 ライトランスでさえ弾かれるということは、剣でも弾かれるということだ。
 そう悟った俺はフォトンパージを五つ発射し、ディアボルボアの右側面にぶつける。

「ブモオオォ」

 うん。やはり効いているな。
 ライトランスは突きの魔法だが、フォトンパージは打撃の魔法。
 こういう固い敵には打撃で内面をじわじわダメージを与えるのが効率的だ。
 俺は未だ走り回っているディアボルボアに、再びフォトンパージの五連弾を撃ち込む。

「ブモッ!?」

 遂にディアボルボアは脚を挫き、慣性の法則に従い、身体を地面に引きずりながら滑り、数メートル巨体の後を残して静止する。
 俺は間髪入れず攻撃を仕掛ける為、ディアボルボアから降り、今度は下から持ち上げるようにフォトンパージを撃ち込む。
 微力だが俺も剣を下から上に振り上げた。

「ブモゥ......」

 仰向けになったディアボルボアを見て、確信する。
 やはり腹部は柔らかそうだ。

「うおおおぉッ!」

 俺はディアボルボアの腹部に乗る瞬間、剣を突き刺し、十ものライトランスを突き立て、撃ち込んだ。
 鮮血が鮮やかに空を舞う。

「ブモオオォ......」

 命が尽きる、音がした。
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