転生乙女のケセラセラ

ケセラセラ

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再会

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私の今世の名前は、神谷菜津。

父親の名前はタケシ、母親の名前は覚えてない。

まだこの世に生を受けて3年で、あまり話しかけてくれる両親ではなかった為、菜津としての情報があまりない。
知ってることが少ないのだ。


知ってる言葉が、ママとパパ、おなかすいた、うれしい、かなしい、キライ、スキ 後は、おはように、おやすみなさい、ごめんなさい。本当に記憶を探ってもそれくらいの語彙力。


父親のタケシは、私に無関心のようだった。妻に裏切られて、自暴自棄のようになっていたのかも。多少は同情はするけど、子供を放置するのは許せない。
よく、愛情の反対は憎しみとか言う人居るけど、何かの本で、愛情の反対は無関心と聞いたことがある。
私は、妙に納得した。
タケシは、娘の菜津に対して愛情がない無関心だったのだから。


数日後、タケシが警察の人と一緒にやってきた。
娘の私が、タケシに対してどう反応するのかを知りたいのだろう。
タケシは、居心地悪そうに「な、菜津」と声をかけてきた。

「パパ?もうパパいらない。帰って」

私は、ツンとそっぽを向いた。


タケシは慌てた。

「菜津!何を言ってるのかわかってるのか?そんなこと言えば、もう一緒に暮らせなくなるぞ!」

タケシが慌てたのには訳がある。3才の子供を放置していたのだ、もちろん罪に問われる。下手をしたら死んでいたのだから当たり前だ。だが、子供の態度次第では罪が軽くなることもあるらしい。


私は、はっきり言って父親とは認めれない!!
二度と一緒に暮らしたくなどない。
実際、叩かれた記憶も残っているのだ。



「パパきらい!ごはん食べれなくてしんじゃうところだったんだよ。たたかれたこともイヤだった」

私は、目に涙をいっぱい貯めて睨んでやった!


「このっ!今までみてやった恩も忘れやがって!知るかっ!」

タケシは、怒りを込めて娘を睨みつけ、手をグーにして殴りかけてきたところで、警察の方々に止められ、更に心証を悪くしたのだった。


その後、山崎先生が頭を優しく撫でてくれた。
私の気持ちを案じているようだった。

「菜津ちゃん、明日霧島先生が来るって言ってたからね」

「ほんと?うれしい」

私は、ニコリと笑った。




え、え、え!?





病室に、お父さんとお母さん、兄の遠弥に弟のカズ、それに真人も。
まさか、みんなで一緒に来るとは思わなかったよ!


でも、こんなトリッキーなこと、自分の目でみない限り信じられるわけないもんね。

それにしてもー。
4年という月日が否応なしにのし掛かる。

兄は、元々成人していたので、大人の色気が増したくらいだが、中学生だった弟が今は17才だから高校2年となって、背も高く、男らしく変貌していて、ちょっと悲しい。

真人は、もう20才?
高校生の時には、なかった男の色気があり、優し気だった顔立ちが、少し影のある男になっている!!
か、かっこいい!

両親もだけど、みんな顔面偏差値高過ぎない?






「菜津ちゃん、今日は霧島先生のご家族で来てくれたよ。お話できる?」

山崎先生は、私が普通の3才児と思ってるから、なるべくわかりやすく、ゆっくりとお話をしてくれる。
うん、ありがたいけど、この家族一同の前では、何だか恥ずかしいね。
山崎先生、退場!


「山崎せんせ、ありがとう。私、お話するから大丈夫」

と言って、チラリとドアを見る。
出ていけとは言わない。空気を読めと言いたい。

「はい、はい。菜津ちゃんの言う通りにするよ。じゃあ、先輩、菜津ちゃんをよろしく」

ちょっと山崎先生は悲しそうなのは多分気のせい。

「あ、ああ。」


真由パパは、どうも戸惑いを感じてるね。
伝言を聞いただけで、まだ信じられないのだろう。
それは、真由ママも兄も弟もそうだ。

私は、少し離れたところに立っている真人を見た。
ビクッと大きく肩が揺れた。
お、おう。動揺してるのが分かるよ。


山崎先生が部屋を出て行くと、部屋がシーンと静まりかえった。
みんなが私に注目をしている。
痩せた身体を痛ましげに眉を潜めているのも感じる。


「お父さん」

私は、お父さんに話しかけた。

「あ、ああ。…真由なのか?」

「うん、そう。……ごめんね、親不孝な娘でさ。死の間際に謝りたいなって、ずっと思ってた」


私は、心残りのことを思い出した。
お父さんは、ただ涙をスーと流して、歯をくいしばっている。口を開くと、嗚咽が出るのを我慢してるいるのだ。

「お母さん」

「ひゃっ、ひゃい!」

お母さん、飛び上がって変な声が出た。


「お母さん、沢山泣かせちゃったよね?ごめんなさい」

「や、やだっ、真由だよ、ホントに真由だ」

お母さんは、ポタポタと涙の大粒を溢しながら笑った。
笑顔の母は、本当に可愛いくて、大好きだ。


「お兄ちゃん」

「うん、真由。お帰り。出かけてから4年はずいぶん長いよ。」

困ったような、優しい笑顔で仕方ないなって、微笑む笑顔も涙でいっぱいだった。
お兄ちゃんにもずいぶん悲しい思いをさせてしまったね。


「カズ」

「ね、姉ちゃん」

「カズ、死んじゃってごめんね、悲しい思いさせたんじゃないかって心配してたんだよ」

「悲しいに決まってるよ!みんな姉ちゃんが居なくなって、毎日泣いてたよ。生きていくのが苦しかったよ!」

カズが思いの丈を正直にぶつけてくれた。
ボロボロ涙を流しながら叱ってくれた。

「ありがとうカズ」


そして、最後に真人に顔を向ける。
真人の真剣な眼差しが私の胸を熱くする。

「ま、真人」

「あ、ああ。」

「真人とデート待ち合わせ、すごく楽しみだった」

真人の目がハッと大きく開き、次第に充血していく。

「俺もだよ。真由を待ってる時の、ブレーキ音と悲鳴が聞こえるまでだけど、な」

軽口を叩いていても、それがどんな重さを残してるのか。

「う、うん。トラウマ残したよね?ずっと謝りたかったよ。最後に、沢山声を掛けてくれて呼んでくれたの真人でしょ?近くまで来てくれてたの嬉しかったよ」

「当たり前だろ?事故にあったのがお前じゃなければいいって、何度も思って駆け寄ったらお前でさ。信じられなかったよ。でも、俺の声が届いてたんだな」


真人は、その時の情景を思い出したのか、目頭を押さえた。


しばらくシクシクと皆が声を詰まらせながら静かに涙を流すなか、真人が口火を切った。

「真由、またお前が死にそうにだったって聞いたけど本当?」

真人は、苦し気に声を紡ぐ。
その質問は、霧島家族もピリリとした空気が流れた。


え、な、なんかめちゃ((( ;゚Д゚)))怖い。
タケシ、殺られるじゃない?社会的な意味で。


「は、ハイ。で、でもそのおかげで、真由の記憶が戻ったの」

タケシを庇うわけじゃないけど、一応良かったとこも言っておかないとね。

はぁ、と真人がため息をついた。


「真由は、優し過ぎるよ。栄養失調で意識不明の重体だったって聞いてる」

真人が言うと、お父さんも怖い顔をしながら「俺も許せん」とギリギリと歯ぎしりが聞こえた。
お母さんもカズも恐ろしい顔をしている。


まぁ、昨今ネグレストで小さな命が消えていってるのは間違いないし、私だって許せないと思っている。


「みんな、ありがとう。もう、父親とは認めるつもりないから、警察と一緒に来た時に、会いたくないとはっきり言ったよ。多分、罪重くなるんじゃないかな?」

私が、そう言うと、少しほっとしたのか空気が緩んだのがわかった。また私がその父親と暮らすことをのぞんでるのかと心配したのだろう。
それは、ないよ。ない、ない。


何もわからない普通の3才児なら、父親が恋しくて許しちゃうかもしれないけどね。

「あんなのと暮らすくらいなら養護施設の方を取るよ」

私の言葉に、バッとみんなが目を丸くした。

「ま、真由は、養護施設に行くのか?」

信じられないといった声でお父さんが呟く。

「それしかないと思ってる。お父さん達は、前世の家族であって、今の家族ではないし。遠い親戚って嘘ついて山崎先生に話したけど、本当は違うから引き取りできないと思うよ」

私が諦めたように言うと、「ま、待て!真由と私は、遠い親戚で間違いないよ」と言う。

「え!」


何でも、私のことを調べるうちに色々なことが分かり、遠縁であることは間違いなかったらしい。
なんと、お父さんのお兄さんのお嫁さんの妹さんが私の母親だった!
マジか!あれ?でも他人?いや、親戚!

どっちかというと、叔父さんの方が血が近い。
フム。




「じゃ、じゃあ、私はまたみんなと暮らせるの?」

私が恐る恐る聞くと、「当たり前だ!」とみんなが一斉に声をあげた。


私は、転生した(もしかしたら取り憑いた?)ものの、前世のことを疑われてしまうことが怖くて、それなら嘘がつけない幼児のうちに、みんなと会いたかった。
みんなの肩の荷を卸してあげることが生まれ変わった使命のようにも感じたけど、本当は寂しかった。
ひとりぼっちになった今の環境に。

でも、16年間生きた自我がそれくらいでへこたれるなと叱咤激励するから我慢してた。


でも!でも!本当は、我慢なんてしたくない!
みんなと一緒にいたい!


う、うえっ!

「うわーーんっ!」

嗚咽と共に、私は声を紡ぐ出して泣き崩れた。



みんなのが優しく私を抱きしめてくれたけど、ますます私は涙を止めるまで大変だった。
でも、体力のない私は、その内スッと意識を失ってしまったのだった。









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