【R18】「いのちだいじに」隠遁生活ー私は家に帰りたいー

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第二章:周囲の状況に気を付けましょう

1.森の隠者、決意を新たにする

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 この世界に転移してから、3か月が過ぎた。
 
 ゆったりと朝起きて、朝ごはんを食べて、庭で農作業のような収穫作業をして、昼ご飯を食べて、ハンドメイドの雑貨や薬品を作ったり魚を捕って加工したりして、夕飯を食べて、ペットと戯れつつ風呂に入って寝る。そして翌日も朝起きて、朝ごはんを食べて、庭で…………

 毎日毎日こんな感じで3か月……なんてロハスなカントリーライフ……。
 元の世界で毎日せかせかと就職活動していた頃のことを思い出すと、夢でも見てたのかと思う。
 私が面接行こうとしていた会社……なんだったっけ? ………ああ、中堅の医療機器メーカーだったな…
 あんまりにも現在とかけ離れてしまったせいか、思い出すのにちょっと時間がかかるなぁ…。
 ホント、最近ゆるーい生活に慣れて来たせいか、物忘れが……って、違うっ!

 こんな陸の孤島で馴染んでる場合じゃないっつーの! …まぁ、私が好んで『孤島』でいるんだけどもね!

 しかし、『孤島』は『孤島』なりに、すっかり生活基盤が整ったので、そろそろ次のフェーズに進めないといけないな…と思うわけで。
 やっぱりあっちの世界には家族や友人がいるし、これまで23年以上育ってきた土地には郷土愛もある
 いくらこっちの居心地が案外悪くなかったとしても、元の世界にはやっぱり戻りたいと思う。
 なれど、精霊さんや黒電話さんたちに、進捗状況を尋ねても

≪わからない≫
≪しらなーい≫
≪転移者が流されてくる間隔が不定期すぎ、手掛かりがなさ過ぎて確かなことがわからないのだ≫

 などという回答ばかりで、芳しい情報は得られず、このままでは状況が進む気がしない。
 …ちなみに、マーリンとタロウには私が転移者であることは伝えていない。 …なんとなく。

 さて、これからどうしたものか…と思いながら、クーコクーコ寝息を立てて私の胸に顔を埋めている艶のあるサラサラ白髪のネコミミ猫尻尾の美ショタと、背中にぴっとりくっついてスヤスヤ眠っている時折銀色にも見えるアッシュグレイのボサボサ頭のイヌミミ犬尻尾のイケショタを眺める。

 …こいつら、なんで人化してんの……?

 出会って1か月程経ったときだろうか、ある朝もう少し今より小さいサイズの二人が一緒に寝ていて、目を疑った。
 3歳位の幼児というサイズだったので、同じベッドで見知らぬ男が寝ていたとはいえ悲鳴までは上げなかったが。

 事情を聞くと、家で生活することによって、止まっていた成長期がようやくやってきたとのこと。というのも、安全な環境下で与えられる餌と魔力が豊富だったためらしい。
 同じ上位種の魔獣であっても、これらが得られず幼体のまま喰われたり襲われたりして命を落とすことも珍しくない程過酷な環境から救ってくれたため、私にはとても感謝しているそうな。
 …の割には結構ナメられてる気がするのですが…。気のせいですか?そうですか。

 これらは、私に合わせて変態した姿で、本来現在のマーリンはこの5か月程度で地球の豹程度のサイズになっており、タロウに至っては日本のヒグマ位には大きくなっている。
 そして、やたらと図体がデカくなっても、こいつらはやたらと私のベッドにもぐりこんでは引っ付きたがるので、いつか寝返りをうっただけで潰されそうで怖いからベッドに入らないよう宣言したら…嫌だ嫌だとゴネられた後…こうなっていました。
 現在は小学校低学年程度のサイズだろうか?

 異世界魔獣のメタモルフォーゼ期が出鱈目すぎて怖い………。

 そしてふと、遠い目でその頃を思い出していると、

『ウニュウニュ……ごしゅじんン……』

 と、サラサラ白髪のネコミミ美ショタが寝ぼけながら、私のCカップの胸を柔くもみもみしつつ狭間にスリスリしてきて、

『むふぅ……』

 と、背中では、ボサボサ頭のイヌミミイケショタが後ろから私の首筋の匂いをスンスン嗅いでは『ムハー…』と吐息を漏らすので、私は自分の手で口を押えて、変な声を上げそうになるのを堪えた。

 か、か、かわいすぎるやろっ!!

 自分にはショタ属性などなかったはずなのだが、これはイケない。こんなの犯罪だ!と声を上げたくても、ケモミミショタとか、暴力的に私の萌えに火を付けてくる。

 相手は100歳近いとはいえ、見かけは7~8歳のショタなのだ。
 幼体だったと言っていたので、本当に精神もその程度かもしれない。…かもしれない。

 いえいえいえいえ、違いますよ? 別に子供に如何わしいことがしたいとかじゃないんです、本当に!!
 そういう意味では、自分は『YESショタ、NOタッチ』を推奨する淑女であります!
 そのことについては、曇り無き眼で訴えたいと思います! しかしですね、この状況…ちょっとヤバくないですか?
 親子でも親戚でもないショタと同衾する24歳の独身女子……ローブ一枚。
 そう、ローブ一枚なんです、未だに……トホホ。

 そして、こいつらの異常なまでのスキンシップの多さ……。異世界(外国)だからなんだろうか……。

 なんか時々モヤモヤするんです…。…無邪気に…へんなとこにふれてくるし…(小声)

 今も、なんか最近やたらと敏感になった項とか、胸の先っぽとかにスリスリしてくるので、声を殺して悶えてしまったり…。

 ここの世界に淫行条例があるとは思えないが、薄手のローブ1枚越しにやたらとくっつきたがるショタとか、己の倫理的にこれはヤバいと脳内で警鐘を鳴らす。
 この国の法が私を裁かなくても、私の良心が私の精神を殺しにかかってくるだろう。


 …本当に、早く元の世界に帰らないと…色々な意味でヤバい。 しかし、今ならまだセーフだ。


 そう思い、私は故郷に帰るという決意を新たにした。
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