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1章 ロベリアの女
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「おい、こっちだ!ロベリアの女がいるぞ!!」
真昼の寂れた村に響き渡るのは大きな男の声。
村の住人が何事かと窓から顔を出す頃には、もう何十人もの衛兵の装備を身にまとった大男たちが舗装されていない裏道を走り抜ける音が聞こえる。
「いるぞ!殺せ殺せ!!!」
集団の先頭にいた男は川辺にいた女を指差し集団を鼓舞するように叫びをあげる。
「嗚呼、もう来たんだな…ったく、邪魔してくれるぜ」
ロベリアの女、と呼ばれたその女はゆっくりと立ち上がり、その両手に刀剣を持った。
「さぁ、頑張って私への賞金を上げるんだなぁ!」
そういうと女は集団に向け迷いなく走り出し、
──先頭の男を断頭した。
「な…隊長がいきなり?!」
一気に戦意を削がれた集団達にまるで羽が舞うかのように刀剣を振り下ろし、次々と薙ぎ倒していく。
その流れは普通の女には出来ない芸当だった。
身体全体を使って大きく振り上げた刀剣を、傭兵が丸一人分避けたその先に振り下ろし、確実に致命傷を負わせる。
右から回り込み攻撃してくる別の男は先程刺した傭兵をぶら下げたまま刀剣を右に振り回し防御する。後ろから刀剣で処理出来ない攻撃をされれば素早く剣を離し懐のダガーで敵の手を切断する。
「お前らそんなに金が欲しいか!
嗚呼欲しいだろうなぁ、普段なんの仕事もしてねぇお前らが血眼になってお勤めしようとしてるんだもんなぁ!」
怒りとも憎しみとも恨みとも取れる叫びを上げ、
次々と死体を作り上げていく。
一連の流れに一切の躊躇も無駄もなく、またその刃から逃れられる者は1人も居なかった。
最早傭兵は彼女の剣の餌となるためにそこに立ち
殺されると言ってもおかしくなかったほどに、彼女の振る剣はその場の静と動を、生と死を支配していた。
やがてその足元は血潮とただの肉塊になり、
静寂が包んだ。
「きゃあ、殺人、殺人よ!!!誰かぁ!」
全てが終わった後に村人達が悲鳴を上げだし、あちらこちらへと散り出した。
「おう、私はまた人を殺した!
せいぜい役人達に「またロベリアの女が人を殺した」って伝えるといいさ!」
私は明るい声で彼女らにそう叫び、また川辺に座り返り血がついた服と剣を洗った。
「…これでえっと…79人?
あれ、もうちょっと居たと思うんだがな…」
まだだ、まだ足りない。
人1人殺して付く賞金が1000ゴールド。
今じゃあ79000ゴールドにしかならない。
「もっと、もっと殺さないと…
あと何人だ…121人か。
道は遠いな…」
また溜息を漏らしてしまった。
「弱音なんて吐けねぇ、私はもうこうするしかねぇんだ…! 」
血を拭い去り元に戻った私は、もう戻らない魂の器を一瞥し、振り返ることなくその場を去った。
真昼の寂れた村に響き渡るのは大きな男の声。
村の住人が何事かと窓から顔を出す頃には、もう何十人もの衛兵の装備を身にまとった大男たちが舗装されていない裏道を走り抜ける音が聞こえる。
「いるぞ!殺せ殺せ!!!」
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「嗚呼、もう来たんだな…ったく、邪魔してくれるぜ」
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「さぁ、頑張って私への賞金を上げるんだなぁ!」
そういうと女は集団に向け迷いなく走り出し、
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「な…隊長がいきなり?!」
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その流れは普通の女には出来ない芸当だった。
身体全体を使って大きく振り上げた刀剣を、傭兵が丸一人分避けたその先に振り下ろし、確実に致命傷を負わせる。
右から回り込み攻撃してくる別の男は先程刺した傭兵をぶら下げたまま刀剣を右に振り回し防御する。後ろから刀剣で処理出来ない攻撃をされれば素早く剣を離し懐のダガーで敵の手を切断する。
「お前らそんなに金が欲しいか!
嗚呼欲しいだろうなぁ、普段なんの仕事もしてねぇお前らが血眼になってお勤めしようとしてるんだもんなぁ!」
怒りとも憎しみとも恨みとも取れる叫びを上げ、
次々と死体を作り上げていく。
一連の流れに一切の躊躇も無駄もなく、またその刃から逃れられる者は1人も居なかった。
最早傭兵は彼女の剣の餌となるためにそこに立ち
殺されると言ってもおかしくなかったほどに、彼女の振る剣はその場の静と動を、生と死を支配していた。
やがてその足元は血潮とただの肉塊になり、
静寂が包んだ。
「きゃあ、殺人、殺人よ!!!誰かぁ!」
全てが終わった後に村人達が悲鳴を上げだし、あちらこちらへと散り出した。
「おう、私はまた人を殺した!
せいぜい役人達に「またロベリアの女が人を殺した」って伝えるといいさ!」
私は明るい声で彼女らにそう叫び、また川辺に座り返り血がついた服と剣を洗った。
「…これでえっと…79人?
あれ、もうちょっと居たと思うんだがな…」
まだだ、まだ足りない。
人1人殺して付く賞金が1000ゴールド。
今じゃあ79000ゴールドにしかならない。
「もっと、もっと殺さないと…
あと何人だ…121人か。
道は遠いな…」
また溜息を漏らしてしまった。
「弱音なんて吐けねぇ、私はもうこうするしかねぇんだ…! 」
血を拭い去り元に戻った私は、もう戻らない魂の器を一瞥し、振り返ることなくその場を去った。
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