告げられない想い

切愛

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4章 ミルクココア

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彼女と僕が喧嘩をしたのは、これが初めてだった。
きっと最初で最後の喧嘩なのだろう。 

思い返してみれば、あの時自分が発した一言が彼女をどれだけ傷付けたかは少し考えれば痛い程分かるものだった。

彼女だって行きたくて行く訳じゃない。
一国の王女として生まれてきたという事実は、彼女や僕がいくら叫んだって変えられるものじゃなかった。

けど、僕は泣かずにはいられなかった。

何故世界は僕と彼女を絶とうとするのだろうか。
何故僕は彼女を想う事を許されないのだろうか。

―――何故彼女は、居たい所に居る事を許されないのだろうか。

不条理が僕らを切り裂いて引き離す。
この苦しみが分かる人間は、一体世界にどれだけ居るのだろうか。

自室に一日籠りっきりで彼女の顔すら見ずに感傷に浸って過ごしていると、召使いが「お嬢様から預かり物をしています」と言って僕に一通の手紙を渡してきた。

「お嬢様からの…手紙?」

昨日の事ならお嬢様が謝るような事でもないし、第1僕はそんな立場じゃなかった。
本当なら昨日すぐに謝っておくべき立場なのに、拗ねて無礼な行為をしているのは僕の方なのだ。

…怒っているのだろうか。
怖々とその手紙の封を開ける。

--------キリトリ線--------
昨日私が我儘言ってしまったのにすぐ謝ってありがとう、昨日はあんな事言ってしまって本当にごめんなさい。

なんだか私は、拗ねてしまっていたのかもしれません。
本当は此処にずっと居たいのに、本当は貴方とずっと一緒に居たいのに無理やり出て行かされることに、きっと私は何処か怒っていたのかもしれません。

私は貴方が羨ましいです。
小さい頃からずっと私の少し先を行ってて、大人っぽくてかっこいい。憧れであり、もしかしたら私はずっと…貴方のことが好きだったのかもしれません。

だから貴方に素直になれなくて、あんな言い方をしてしまったのかも…なんて言い訳ですね。

きっと貴方も同じ事を考えて、でも本当に貴方は大人だから、ずっと我慢してるんだろうなと思います。私だけこんな事を言ってしまったのも申し訳ないくらいです。

けど、我慢しないで教えて欲しいんです。
本当に貴方の気持ちを聞けるのは、あと一ヶ月半しかないんです。

私は聞かずに行くより、貴方の気持ちをちゃんと受け止めてから行きたい。

だからお願いします。
もう我慢しないで、私のことなんて考えずに思ってる事全部教えてください。
我儘なのは承知していますが…貴方も私が我儘なのは知っているでしょう?

だから最後に、もう少しだけ我儘を聞いて頂けませんか?

そうだ、久しぶりにティールームでミルクココアでも飲みませんか?紅茶もいいけれど、たまには甘い物が飲みたいです。
--------キリトリ線--------

…僕は考えるより先にティールームに向かっていた。
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