告げられない想い

切愛

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終章 遠く離れても

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それから僕は随分と素直になった。
彼女に行って欲しくないこと、好きだって言ってくれて嬉しかったこと、
―――僕も彼女が好きだったこと。

全部全部話して、一緒に泣いて、涙を枯らし切ったらまた一緒に笑った。

今までの何倍も楽しい日々を謳歌して、もう戻らない2人だけの幸せを味わっていた。
まるで夢のようで、「夢ならずっと覚めないで欲しいね」なんて言い合っていた。


―――そんな日々もあっという間に終わりを告げた。

4月10日、別れの日。
国中を挙げての盛大な送り出しを受け、沢山の贈物に感謝を告げた後、移動用の馬車の前で最後の別れ時間が取られた。

「本当に今までありがとう、もう…本当にお別れだね」

「そう…だね。
でもお嬢様との時間は本当に楽しかった。
本当はちゃんと御礼したかったんだけど、ろくに出来なくてごめんね」

「そんなのお互い様よ。
ねぇ…貴方にとっては私はただのお嬢様かもしれないけど、最後くらい…呼んでくれ、ても、いいん」

煽るような目はあっという間に恥ずかしさに伏せられ、豊潤な果実のように真っ赤になった顔にゆっくりと顔を近付け耳元でそっと囁いた。

「照れるな、ちゃんと堂々としてろ…×××。」

その瞬間彼女の瞳は零れそうなくらいに見開かれ、温かい涙が溢れた。

「愛してる」

そういって3歩ほど下がり、「またな」と微笑む彼は御目付け役でも執事でもない

―――ただ彼女の事を愛すだけの彼だった。

ドアが閉じられ動こうとしている馬車の窓を開けて最後に彼女はこう叫んだ。

「今までありがとう、絶対に、どれだけ遠く離れたとしても貴方の事は忘れない!」

彼はただ微笑み見送った。


--------キリトリ線--------
「奥様、先程の御目付け役からお荷物を預かっております」
 
「荷物?」

「はい、小包を1つ…お渡ししても?」

「え、ええ…受け取るわ」
 
揺れる馬車の中で小包を開いた彼女は乾いたはずの涙をまた零し、「ありがとう…」と小声で呟いた。
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