月の叙事詩~聖女召喚に巻き込まれたOL、異世界をゆく~

野々宮友祐

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神話 花の章 15

花神は言った
わたくしの子どもたち、もっともっと早く成長しないかしら

ここのところ、花たちの成長が遅く樹木神に馬鹿にされていたからだ

大地神に栄養を送ってもらっても、水神に水を余分にもらっても
花は小さく背の低いまま

花神は考えた
そうだわ、太陽の光が足りないんだわ

花神は太陽神に会い、言った
太陽神さま、昼の時間を増やしていただけないかしら?

太陽神は言った
昼の時間は決まっていて、変えられない

次に花神は月神に会い、言った
月神さま、夜の時間を短くしていただけないかしら?

月神は言った
夜の時間は決まっていて、変えられない

二大神に断られても花神は諦められなれなかった

花神は考えた
では、月の宝珠を奪ってわたくしが夜をなくしてしまいましょう

花神は月神殿に忍び込み、月の宝珠を奪い逃げた
そうして宝珠を使い、夜をまったくなくしてしまった

太陽は沈まなくなり、ずっとずっと昼が続いた
花たちは成長し、大きくなった

月神は言った
宝珠を返しておくれ、このままでは大変なことになってしまうよ

花神はそれを無視し、さらにずっと昼が続いた
太陽がずっと照っているせいで、世界はだんだんと暑くなっていった

それでも花神は宝珠を返さなかった

海がちいさくなり、雨が降らなくなった
大地が干からび、森が焼けた

花たちはすべて枯れてしまった

そうしてやっと、花神は自分のしたことに気がついた

花神は言った
ああ、ああ、わたくしの子どもたちがみな枯れてしまった
わたくしはなんということをしたのでしょう

花神は月神に宝珠を返し、やっと夜が戻ってきた

世界に夜がめぐり、暑くなりすぎた空気を冷やしていった
海も、大地も、森も、そして花たちも、しだいに元にもどっていった

そうして世界は元通りになった



 
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