2 / 10
お嬢さまの彼氏役
2話
しおりを挟む
カフェ店内にはこの時間帯だからか、あまり客はいなかった。
俺たちは店員さんに席へと案内され、向かい合うように腰を下ろした。
学校から徒歩十分、茶色を基調としたお洒落なカフェで、やはり俺一人で来るのにはハードルが高いな。
なんか少し緊張する。
「ご注文お決まりでしたらお呼び下さい」
「あ、えーっと、これ一つお願いします」
席に着くと直ぐに店員さんが注文を取りに来た。お洒落なカフェなだけあって、店員さんも凄くお洒落で可愛らしい。
愛奈はメニュー表を指さしてパフェを注文した。
メニュー表に載っているパフェの上には、デカデカとカップル限定メニューと記されていた。
どうやら愛奈の言っていた通り本当にカップル限定らしい。
なんで限定なんかにするのだろうか……誰でも食べれるように限定になんてしなければいいのに。
「ん? こっちじゃダメだったのか?」
俺はメニュー表に載っているカップル限定のパフェとは別のパフェを指さして愛奈に聞いた。
大きさはカップル限定パフェと比べれば小さいが、美味しそうだ。
それにこっちのパフェにすれば俺と来なくても一人で注文ができる。
「こっちのパフェはもう食べたことあるもの」
「そうか」
「あの、他にご注文はございませんか?」
「私はパフェだけ良いのだけれど、あなたは他に何か注文する?」
「いや、俺もパフェだけで良い」
この大きさのパフェを食べて、更に他にも料理を食べるのは俺には不可能だ。
無理をすれば食べれないことはないが、夕飯が食べれなくなってしまうのでそんなことはしない。
「かしこまりました、ではカップルであるための証明として恋人繋ぎをしていただけますか?」
「「…………は?」」
俺と愛奈は店員さんの言葉を聞いて口を開いた。
そんなの聞いていない。
愛奈も俺と同じ反応をしたという事は、この事を知らなかったのだろう。
メニュー表にもそんなことは書いていない。
「一応カップル限定パフェでございますので、ご協力お願いします」
予想外の事態にどうしたら良いのか俺には分からない。
やっぱり今からでも実はカップルじゃないって言った方が良いか?
愛奈は顔を赤くして俯いているし。
でもせっかく来たんだからって気持ちも少しある。
どうする……こういうのは男である俺から繋ぎに言った方が良いのか?
でも無理やり繋いだりなんてしたら何か言われるかもしれない。しかもただの手繋ぎじゃない。恋人繋ぎだ。
そう迷っていると、愛奈は右手を俺に差し出してきた。
「え?」
「な、なによ。私たち恋人なんだからこれくらいの事はできるでしょ?」
そんな顔を赤らめて言われたらこっちまで恥ずかしくなってくる。
「あ、ああ……」
俺は愛奈の小さな右手を優しく握った。
真っ白で綺麗な肌、握ったら折れてしまうのではないかと思わせるほどの小さな指。
「ありがとうございます! では直ぐにご用意させていただきますので少々お待ちください」
そう言って店員さんは軽く頭を下げた。そして――
「彼女さん、可愛いですね」
店員さんは愛奈には聞こえないように俺の耳元でそう言った。
「ッ! ……は、はい」
そして厨房へと向かって行った。
そうだよな。店員さんは俺と愛奈の事を本当の恋人同士だと思っているんだよな。
俺は愛奈の顔を見つめる。
「な、なによ」
「いや、なんでもない」
改めて見てもそこらのアイドルなんかよりも全然可愛い。
俺はそんな愛奈のフリとはいえ彼氏なんだよな。まぁ、今だけだけど。
「気になるじゃない」
「ただぼーっとしていただけだ」
「……まぁ、そう言うことにしておいてあげるわ。あなたには借りもあるし」
「借り? 俺何かしたか?」
俺は今まで愛奈に貸しを作るようなことをした覚えは無い。
「何言ってるの? たった今この状況がそうじゃない」
「カフェに来ていることか?」
「そうよ。私の彼氏のフリをしてくれていることよ」
「そんなことか」
でも俺からしたらさっき愛奈の手を握った時点でこんな貸しなんて無くなったも同然なんだけどな。
「そんなことって。フリとはいえ、私の彼氏になるの嫌じゃないの?」
「嫌なわけないだろ」
何を言っているんだこいつは。
こんな可愛い女の子の彼氏になるのが嫌な男子が居るわけがない。フリだけど……
そのうえ、放課後デートのような事までできるなんてな。
「そ、そう……なら良いのだけれど」
「ん? どうかしたのか?」
愛奈の顔は何故か少しだけ赤い。
「な、なんでもない!」
「いや、でも顔赤いし」
「あ、赤くないから!」
そう言って愛奈は下を向いてしまった。
俺たちは店員さんに席へと案内され、向かい合うように腰を下ろした。
学校から徒歩十分、茶色を基調としたお洒落なカフェで、やはり俺一人で来るのにはハードルが高いな。
なんか少し緊張する。
「ご注文お決まりでしたらお呼び下さい」
「あ、えーっと、これ一つお願いします」
席に着くと直ぐに店員さんが注文を取りに来た。お洒落なカフェなだけあって、店員さんも凄くお洒落で可愛らしい。
愛奈はメニュー表を指さしてパフェを注文した。
メニュー表に載っているパフェの上には、デカデカとカップル限定メニューと記されていた。
どうやら愛奈の言っていた通り本当にカップル限定らしい。
なんで限定なんかにするのだろうか……誰でも食べれるように限定になんてしなければいいのに。
「ん? こっちじゃダメだったのか?」
俺はメニュー表に載っているカップル限定のパフェとは別のパフェを指さして愛奈に聞いた。
大きさはカップル限定パフェと比べれば小さいが、美味しそうだ。
それにこっちのパフェにすれば俺と来なくても一人で注文ができる。
「こっちのパフェはもう食べたことあるもの」
「そうか」
「あの、他にご注文はございませんか?」
「私はパフェだけ良いのだけれど、あなたは他に何か注文する?」
「いや、俺もパフェだけで良い」
この大きさのパフェを食べて、更に他にも料理を食べるのは俺には不可能だ。
無理をすれば食べれないことはないが、夕飯が食べれなくなってしまうのでそんなことはしない。
「かしこまりました、ではカップルであるための証明として恋人繋ぎをしていただけますか?」
「「…………は?」」
俺と愛奈は店員さんの言葉を聞いて口を開いた。
そんなの聞いていない。
愛奈も俺と同じ反応をしたという事は、この事を知らなかったのだろう。
メニュー表にもそんなことは書いていない。
「一応カップル限定パフェでございますので、ご協力お願いします」
予想外の事態にどうしたら良いのか俺には分からない。
やっぱり今からでも実はカップルじゃないって言った方が良いか?
愛奈は顔を赤くして俯いているし。
でもせっかく来たんだからって気持ちも少しある。
どうする……こういうのは男である俺から繋ぎに言った方が良いのか?
でも無理やり繋いだりなんてしたら何か言われるかもしれない。しかもただの手繋ぎじゃない。恋人繋ぎだ。
そう迷っていると、愛奈は右手を俺に差し出してきた。
「え?」
「な、なによ。私たち恋人なんだからこれくらいの事はできるでしょ?」
そんな顔を赤らめて言われたらこっちまで恥ずかしくなってくる。
「あ、ああ……」
俺は愛奈の小さな右手を優しく握った。
真っ白で綺麗な肌、握ったら折れてしまうのではないかと思わせるほどの小さな指。
「ありがとうございます! では直ぐにご用意させていただきますので少々お待ちください」
そう言って店員さんは軽く頭を下げた。そして――
「彼女さん、可愛いですね」
店員さんは愛奈には聞こえないように俺の耳元でそう言った。
「ッ! ……は、はい」
そして厨房へと向かって行った。
そうだよな。店員さんは俺と愛奈の事を本当の恋人同士だと思っているんだよな。
俺は愛奈の顔を見つめる。
「な、なによ」
「いや、なんでもない」
改めて見てもそこらのアイドルなんかよりも全然可愛い。
俺はそんな愛奈のフリとはいえ彼氏なんだよな。まぁ、今だけだけど。
「気になるじゃない」
「ただぼーっとしていただけだ」
「……まぁ、そう言うことにしておいてあげるわ。あなたには借りもあるし」
「借り? 俺何かしたか?」
俺は今まで愛奈に貸しを作るようなことをした覚えは無い。
「何言ってるの? たった今この状況がそうじゃない」
「カフェに来ていることか?」
「そうよ。私の彼氏のフリをしてくれていることよ」
「そんなことか」
でも俺からしたらさっき愛奈の手を握った時点でこんな貸しなんて無くなったも同然なんだけどな。
「そんなことって。フリとはいえ、私の彼氏になるの嫌じゃないの?」
「嫌なわけないだろ」
何を言っているんだこいつは。
こんな可愛い女の子の彼氏になるのが嫌な男子が居るわけがない。フリだけど……
そのうえ、放課後デートのような事までできるなんてな。
「そ、そう……なら良いのだけれど」
「ん? どうかしたのか?」
愛奈の顔は何故か少しだけ赤い。
「な、なんでもない!」
「いや、でも顔赤いし」
「あ、赤くないから!」
そう言って愛奈は下を向いてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる