バツイチアラフォー女とUMA (未確認生物)の同居生活

京川夏女

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#3【疑念】

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「〈異世界転生〉ってさ、実は転生とかじゃなくて、単に意識不明中の夢の中とかなんじゃないかな?」

今日は休日なので、朝食の時間には遅い食事を済ませてから小説に読み耽っている。部屋の窓からは紺碧の青い空が見え、締め切った部屋にも青々とした葉を茂らせた木々から蝉の合唱が聞こえて来る。

UMA(ユーマ)=未確認生物との同居生活?も数ヶ月が過ぎた。未だ、UMAが不意に視界に入ると一瞬(大きい虫だと勘違いして)驚きはあるものの、同じ空間に居ることに違和感はなくなっている。というか、存外すんなり馴染んでしまった。
UMAの体長が6センチ程と小さいのと、何といってもその見た目が麗しいのが一番の理由だろう。見た目がヤバ目な感じならこんなにすんなり同居生活を受け入れることは出来なかっただろう。

私の〈異世界転生〉についての発言にあいつは『またこいつは訳のわらないことを言ってるな』と言うような呆れた顔を向けてくる。私は気にせず話を続ける。

「だって大体、主人公の前世の記憶って事故だったり、過労だってりで意識なくして…はい、転生!みたいな流れじゃん?」
『まぁな。』

何だかんだと私より暇なあいつは〈異世界〉系小説をかなりのハイペースで読んでいる。その為、〈異世界〉は私たちの会話の中でも頻度に出てくる話題の一つだ。

「だから、実は死んでなくて意識不明中で、長い夢を見てるってオチなんじゃない?」
『意識不明の時って夢とか見てるのか?』
「見てるらしいけどね。よくは知らないけど。あ、じゃぁさ、あの世とこの世の狭間にいるとか?」
『何だよ[あの世とこの世の狭間]って』

呆れたような顔をしてこちらを見てくる。

お前みたいなこの世のものとは思えない存在がそれ言う?

と思ったけど、それは言わないでおく。

「だってさ、〈異世界〉って地球じゃないってことでしょ?何かゲームの世界の転生話しも多いし。大体、3次元から2次元の世界になんて生まれ変われる訳ないじゃん?どういうこと??」
『それを言ったらお終いだな。現実世界だと共感できないから、異世界くらいあり得ない設定にしておいた方が逆に入り込めるんだろ。お前も前にそう言ってたよな?』
「それは…仰る通りだけどさ~、考え出したら疑念が……」

尻窄みになる私の言葉にUMAの溜息が重なる。

『はぁ~、考えるなよ。深く考えなくて、ありえない設定を楽しむのが〈異世界〉の醍醐味だろ?』
「はい…すんません。」

肩をすくめて私は何故か謝罪する。

『というか、作者的に自由に設定作れるから扱いやすいんだろうな。イベントとか食事とかも時代背景考えなくて済むし、主人公に有利な状況も作りやすいからな。スキルとかチートってやつか?』
「あー、中世ヨーロッパっぽいのにバレンタインの内容が日本文化丸出しだったり、前世の知識で[ざまぁ]回避したり、領地改革したり、新たな食事メニュー開発したり的なやつね。」
『ご都合主義ってやつだな。』
「………」

うん、深く考えなきゃ良かったな。

少しこの疑念を口にした事を後悔する。その後も〈異世界〉の何たるかをUMAに延々と語られてしまったが、異世界は[考えるな、感じろ]ってことで納得した。
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