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#8【持つ者と持たざる者】
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「転生とか転移とかループする主人公って、スキル高過ぎない?!もはや、共感出来なくなってきたわ~」
『元々[共感]していたことに驚くな』
本日のテレワーク業務も終了し、出掛ける予定のない私は簡単に夕食を済ませ1人侘しく梅酒を飲みしながらUMAに絡む。
「そこは恋愛小説を読む醍醐味でしょーよ。主人公に自分を置き換えて楽しむものでしょ~」
『まー、分からなくもないな』
「おっ!UMAさんも置き換えちゃったりするの?!」
いつも偉そうな俺様超絶美形UMAが案外可愛いことしてるんじゃな~いと、ニヤニヤしながら揶揄うように言うと、
『はっ、それはないな。[人間の心理としてあるんだろうな]ということだ』
「何だよ、つまんない奴だなー」
私はぷくーっと頬を膨らませながら「プンプン」とUMAを睨む。
『はっ、何だ?歳で頬が痩けて来たから意識的に空気を入れているのか?』
UMAの口が愉しそうに弧を描き、私に容赦のない言葉を投げかけて来た。確かに……年甲斐のない事をしましたよっ!恋愛小説の主人公とかが怒るとするでしょー!
梅酒6杯目となり、完全に酔いが回って来ているようだ。いつもなら絶対しないことをしてしまった………酔いと羞恥心で顔が火照る。
とりあえず、話しの方向性を少し変えることにする。
「じゃ、あれは?攻略対象のイケメン達がこぞって主人公を好きになるとかは?なくない?」
『逆ハーか?何が悪いんだ?』
「だって、元々断罪されるような悪役令嬢が[転生]とか[ループ]とか認識しただけでモテ期到来するのはどうなの?」
『容姿も良いからだろう』
そうでした、悪役令嬢は家柄が良いだけでなく容姿端麗な設定が大半だ。
「いや、家柄と容姿は元の設定のままでしょ?それに加えて性格が良くなった程度であんなにモテるかな?!」
『いや、むしろ、容姿と性格の他にあと何が必要なんだ?』
確かに!!と、一瞬怯んだが持ち直す。
「いや………いやいやいやいや、容姿も性格も好みは千差万別でしょっ!」
『なるほどな。確かに、嗜好は人それぞれだな』
「でしょ、こぞって主人公を好きになるのはどうでしょう?!」
『アイドルとかはそんなもんだろう。万人受けする容姿と性格はあるだろうからな。』
畜生……何も言えないっ。
返す言葉が見つからない私を尻目にUMAは続ける。
『話の都合上もあるだろうしな。それに主人公に自己投影するならモテる方が嬉しいんじゃないか?お前のような2次元に恋愛を求める側としては』
「身も蓋もないな!」
『つまり、恋愛面も含めて主人公に自己投影はするけど、モテ過ぎるとそれはそれで共感しにくくなり投影出来なくなる——と言うことだろ?ふっ、可哀想だな』
「分析要らない」
真綿で首を絞めるように追い詰められて行く……堪らず私はUMAに掌を向け、それ以上の発言を制止する。
話を戻そう…
「性格はまぁ、断罪を避ける為に良くなるのは分かるけど、スキルは?経営なり、料理なり、コミュ力なり、高すぎない?!しかも、転生前は大体モテてなかったりパッとしなかったりなのに、異世界では何もかも上手く行き過ぎると思うんだけど?!」
『いや、そう言うものだろ?ご都合主義』
「……あ、思い出した。そうでしたねぇ~(ご都合主義)」
いつかのUMAとのやりとりを思い出し、私は遠い目をする。そして溜息を吐きながら訴える。
「あ~、現実はこんなに厳しいのにな~私も転生したーーい!!」
悲痛に叫ぶ私にUMAは眉尻を下げ、卑下するように口を開く。
『はっ、バツイチのアラフォーじゃーな、転生したところで——』
プシャーーー
殺虫剤噴射っ!!今日の会話はこれにて終了!!!
『元々[共感]していたことに驚くな』
本日のテレワーク業務も終了し、出掛ける予定のない私は簡単に夕食を済ませ1人侘しく梅酒を飲みしながらUMAに絡む。
「そこは恋愛小説を読む醍醐味でしょーよ。主人公に自分を置き換えて楽しむものでしょ~」
『まー、分からなくもないな』
「おっ!UMAさんも置き換えちゃったりするの?!」
いつも偉そうな俺様超絶美形UMAが案外可愛いことしてるんじゃな~いと、ニヤニヤしながら揶揄うように言うと、
『はっ、それはないな。[人間の心理としてあるんだろうな]ということだ』
「何だよ、つまんない奴だなー」
私はぷくーっと頬を膨らませながら「プンプン」とUMAを睨む。
『はっ、何だ?歳で頬が痩けて来たから意識的に空気を入れているのか?』
UMAの口が愉しそうに弧を描き、私に容赦のない言葉を投げかけて来た。確かに……年甲斐のない事をしましたよっ!恋愛小説の主人公とかが怒るとするでしょー!
梅酒6杯目となり、完全に酔いが回って来ているようだ。いつもなら絶対しないことをしてしまった………酔いと羞恥心で顔が火照る。
とりあえず、話しの方向性を少し変えることにする。
「じゃ、あれは?攻略対象のイケメン達がこぞって主人公を好きになるとかは?なくない?」
『逆ハーか?何が悪いんだ?』
「だって、元々断罪されるような悪役令嬢が[転生]とか[ループ]とか認識しただけでモテ期到来するのはどうなの?」
『容姿も良いからだろう』
そうでした、悪役令嬢は家柄が良いだけでなく容姿端麗な設定が大半だ。
「いや、家柄と容姿は元の設定のままでしょ?それに加えて性格が良くなった程度であんなにモテるかな?!」
『いや、むしろ、容姿と性格の他にあと何が必要なんだ?』
確かに!!と、一瞬怯んだが持ち直す。
「いや………いやいやいやいや、容姿も性格も好みは千差万別でしょっ!」
『なるほどな。確かに、嗜好は人それぞれだな』
「でしょ、こぞって主人公を好きになるのはどうでしょう?!」
『アイドルとかはそんなもんだろう。万人受けする容姿と性格はあるだろうからな。』
畜生……何も言えないっ。
返す言葉が見つからない私を尻目にUMAは続ける。
『話の都合上もあるだろうしな。それに主人公に自己投影するならモテる方が嬉しいんじゃないか?お前のような2次元に恋愛を求める側としては』
「身も蓋もないな!」
『つまり、恋愛面も含めて主人公に自己投影はするけど、モテ過ぎるとそれはそれで共感しにくくなり投影出来なくなる——と言うことだろ?ふっ、可哀想だな』
「分析要らない」
真綿で首を絞めるように追い詰められて行く……堪らず私はUMAに掌を向け、それ以上の発言を制止する。
話を戻そう…
「性格はまぁ、断罪を避ける為に良くなるのは分かるけど、スキルは?経営なり、料理なり、コミュ力なり、高すぎない?!しかも、転生前は大体モテてなかったりパッとしなかったりなのに、異世界では何もかも上手く行き過ぎると思うんだけど?!」
『いや、そう言うものだろ?ご都合主義』
「……あ、思い出した。そうでしたねぇ~(ご都合主義)」
いつかのUMAとのやりとりを思い出し、私は遠い目をする。そして溜息を吐きながら訴える。
「あ~、現実はこんなに厳しいのにな~私も転生したーーい!!」
悲痛に叫ぶ私にUMAは眉尻を下げ、卑下するように口を開く。
『はっ、バツイチのアラフォーじゃーな、転生したところで——』
プシャーーー
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