バツイチアラフォー女とUMA (未確認生物)の同居生活

京川夏女

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#9【名前】

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「異世界系の小説って面白いんだけど、名前が似たり寄ったりで混乱しない?」
『……』

本日もテレワーク業務が終了し、晩餐がてらUMAとの語らいが始まる。少し前まで熱帯夜が続いていたのに、最近では夜風が涼しくて心地よい。窓を開けていると虫の音も聞こえて来る。

…それにしてもUMAの反応が薄い…私は蟋蟀コオロギや松虫と会話をしているのか?仕方がない、UMAにも分かるよう更に付け加えて説明してあげよう。

「いや、複数の小説を同時読みすると、どの小説の登場人物だったのか分からなくならない?」
『何で同時読みするんだよ』

お、反応した。

「読んでる小説の新話が出るまで、ただ待てと?他にも面白そうなのあったら読むでしょ!?」
『まー、俺も5つくらい同時読みてるけどな』
「何だよ、やっぱり(暇人)仲間だもんね!で?混乱しない?ソフィアとか、マリアとか多くない?」
『……』

またも反応が薄い……虫の音がよく聞こえる……UMAは普段から感情面をあまり顔に表さないが、芸術品のような顔面に感情がないと言い知れない不安を感じる……つまり、はっきり言って怖いのだ。私は何かしらの反応が欲しくて続けて話す。

「あと、似たような響きの名前とか!例えばマリアで言うと、アリアとかアリシアとか。愛称読みでマリーとかアリーとかリアとかなってくると、もうどちらのリアさんでしたっけ?ってなっちゃう!」
『アメリアとかな』
「あはっ!」

私はようやく通じ合えた喜びに声をあげる。普段、私よりも暇を持て余し、私以上に小説を読み耽っているUMAなら分かってくれると予想していたのだ。だが喜びも束の間、すぐに一蹴される。

『混乱するなら、同時読みする小説のジャンルを変えたら良いだろう。』

おっしゃる通り過ぎて何にも言えない……好きなジャンルばかり読むので、名前や内容が多少なりとも似てしまううえ、主人公と脇役で名前が被ることもあり混乱してしまうのだ。

「や、そこはやっぱ好きなジャンルを読んじゃうよねぇ。」

そう、これはもう仕方がない。好きなものを読みたいんだから。

『大体、凝っていれば良いもんでもないだろう。』
「そうなんだよねぇ、長かったり、発音しにくかったりすると…読みにくいし、覚えられないし。」
『[寿限無ジュゲム]だな』

しかしこのUMA(未確認生物)は落語の知識もあるんかい!と、心の中でツッコミを入れる。

「正直、名前の最初の2~3文字程度で人物特定できるから、序盤から名前を最後まで読まなくなるんだよねぇ。」
『名前は受け入れやすい無難な方が良いと言う事だろう』
「確かに~、でも、名前被ると混乱するし、愛称呼びしてるのとしてないのとで比べちゃうんだよねぇ。こっちのアリアちゃんは他人行儀だなとか、こっちのリアちゃんはラブラブね、とか。」
『親戚のおばちゃんだな』
「そうねぇ、[最近の若い子は]目線で見てしまうこともなく……ないわ、流石にそれはないわ。」

ときめき求めて読んでいる恋愛小説を何故に親戚のおばちゃん目線で見なくてはならないのか…悲しすぎるわ!

と、思いながらも突如として虚無感に襲われる……あれ?でもおばちゃん目線でも確かに見てるわー

結婚していた時は内容は屑とはいえ、見た目と物腰がタイプな旦那と過ごしていたので今より女として潤っていたと思う。
離婚はしたが生理的に嫌いどころか、生理的には好きだったので夜の生活も実は離婚直後まで営んでいた。

…が、今はどうだろう?

日々恋愛小説を読み漁り、外出も最小限、唯一の話し相手は得体の知れないUMA一匹……あれ?これ枯れてるどころか、人生詰んでる??

いや、今の思考には蓋をして、離婚によって[実年齢と精神年齢が近付いて来た=成長した]と見做ミナすことにしよう。そうして、今日も生きて行こう。

私は深く頷いた。
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