勇者様の荷物持ち〜こんなモテ期、望んでない!〜

綺沙きさき(きさきさき)

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第1章 異世界でも俺はこき使われる

39

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「……どうした?」
「えーっと、とりあえずみんなこっちに来てくれる?」

みんな首を傾げたが、とりあえず岸に戻ってきてくれた。

「はい、来てくれてありがとう。それじゃあ次に、ここにみんな正座してください」
「え~?」

みんな困惑を深めたが、ドゥーガルドは従順すぎるくらい早く、チェルノは首を傾げながらも割と素直に、ジェラルドはチェルノが正座するならとばかりに彼にならって、正座をした。
アーロンは「何で俺が正座しないといけねぇんだ!」と断固としてしようとはしなかったが、まぁそれはいい。
最初から予想はついていた。
俺はこほん、とひとつ咳払いして口を開いた。

「今から船に乗るわけだけど、確かに敵からの奇襲がこわいよね。わかる。すごくわかるよ。でももうひとつ大事なこと忘れてない?」
「……いってらっしゃいのキス」
「新婚か!」

そんな扱いに困るボケを真顔で答えるな!

「え~なになに~?」
「分かんないよね、チェルノ」
「勿体ぶらずに早く言えよ。俺はじらすのは好きだが、人にじらされるのは大嫌いなんだ」

本当に心当たりがないといったみんなの反応に俺のこめかみがピキリと引きつった。

「~~~っ、どう考えてもこの荷物を船に乗せたら沈没するだろうがっ!」

ドンっ、と投げ捨てるようにして背負っていた荷物を浜に降ろした。
その衝撃で浜の砂が舞い上がった。
降ろした途端、やっと肩に血が巡った。
血をせき止めるほどにこの荷物は重いのだ。
あんなオンボロの木の船に乗せたら、確実に沈むに違いない。
そんな簡単なことすらなぜ予想がつかないのか。

「あ~、そういえばそうだったね~。ずっと背負ってなかったから忘れてたよ~」

でしょうね!
ずっと俺が荷物持ってたからこの重み、忘れてたでしょうね!

「ということで、俺は昨日夜なべして、いるものといらないものを分けました。……その結果がこれだ!」

ドサッ、と荷物の中から不要なものを取り出した。
本やモンスターからかっぱらったアイテムなどなど……。
俺の前には不要物の山ができた。
これが食料やランプなど最低限必要なものを除いたもの全部だ。

「不要なもの多すぎだろ!」

薄々、旅に必要ないものもあるなとは思っていた。
だが、これほどまでに多いとは……。
昨日の夜、選別を終えた俺は不要なものの山の前で膝を突いてうなだれた。
その後、怒りがふつふつと沸き上がってきたことは言うまでもない。

よくも無駄なものを背負わせやがって……!

「まず、アーロン! こんなもの旅に持ってくるな!」
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