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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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「あ、あの、失礼ですがお歳は……?」
「今年で十二になる」
「十二!?」
胸を張って答えるそのあまりにも幼い数字に、俺は目を剥いた。
う、嘘だろ!? どう見ても俺より年上だろ!?
とても十二歳の顔つきじゃないし、身長じゃない。
これで十二歳とか老けすぎだろ!
というか、十二歳の子どもに身長を二十センチも抜かれていることがショックだ……。
「ん? どうした?」
「あ、いえ、とても大人びていらっしゃると思いまして、ははは……」
まさか老けているなどとは言えず、ポジティブな言葉に言い換えて答えると、男はまんざらでもないようにフフンと鼻を鳴らした。
「まぁな、よく言われる。将来この国を背負うのだ、大人びて見えるのも当然だ」
「へっ!?」
得意げに語られる言葉にまたもや俺は目を剥いた。
この国を背負うってまさか……。
目の前にいる人物がとんでもなく高貴な人間という可能性に冷や汗がたらりとこめかみを伝う。
「つ、つかぬことをお聞きしますが、もしかしてあなた様は……」
「ん? ああ、そうか、お前は今日配属になったと言っていたな。ならば名乗った方がよいな」
そう言って男は俺から手を離し、スッと居住まいを正した。
「私は国王エゼルバルドが嫡男、エグバード・セルディック。――つまり次期国王だ」
気品ある微笑みを浮かべて堂々と言い放ったその自己紹介に、目眩が襲ってきて危うく倒れそうになった。
次期国王の前でノーパン女装姿……。
バレたが最後、不敬罪で確実に殺されるに違いない。
スカートの中で下半身が急激に冷たくなるのを感じた。
生きて帰れる気がしない……。
だが異世界で不本意の女装の罪で処刑されるなんてあまりにもひどい結末だ。
絶対そうなってたまるか……!
俺は泣きそうになりながらも、何とか自分を奮い立たせて男――エグバードに頭を下げた。
「し、失礼しましたっ。なにぶん世間知らずの田舎者でして……」
「よいよい、気にするな。次期国王たる者、そのくらいのことでわめき立てたりはせん」
気分がいいのだろう、エグバードは鷹揚に頷いた。
「ところで、お前の名は?」
「え、えっと……、多田野草司です……」
できれば本名は明かしたくなかったが、ここで偽名を使って後々厄介なことになっても困るし、そもそも偽名が思いつかないので、仕方なく本名を名乗った。
「タダノソウシ? 聞き慣れない名だな。何と呼べばいい?」
「えっと、ソウシで構いません」
「ならばソウシ」
エグバードは俺の名前を呼んで、にこりと眩しい王族スマイルを俺に向けた。
「迷子になった付き人が私のところに戻ってくるまでお前に護衛を頼みたいのだが、よいか?」
「は、はい、よろこんで……」
本当は一秒でも早くこの場から逃げ去りたかったが、もちろんそういうわけにはいかず、力なく頷くより他なかった。
次期国王様直々の頼みを誰が断れるだろうか……。
しかも王直属の白銀の翼を騙っているのだ、なおさら断れない。
「うむ、よかった。城内とはいえ何があるか分からないからな。頼りにしておるぞ」
「は、ははは……、お任せください~……」
は、早く! 付き人さん、早く迎えに来てくれ……ッ!!
「今年で十二になる」
「十二!?」
胸を張って答えるそのあまりにも幼い数字に、俺は目を剥いた。
う、嘘だろ!? どう見ても俺より年上だろ!?
とても十二歳の顔つきじゃないし、身長じゃない。
これで十二歳とか老けすぎだろ!
というか、十二歳の子どもに身長を二十センチも抜かれていることがショックだ……。
「ん? どうした?」
「あ、いえ、とても大人びていらっしゃると思いまして、ははは……」
まさか老けているなどとは言えず、ポジティブな言葉に言い換えて答えると、男はまんざらでもないようにフフンと鼻を鳴らした。
「まぁな、よく言われる。将来この国を背負うのだ、大人びて見えるのも当然だ」
「へっ!?」
得意げに語られる言葉にまたもや俺は目を剥いた。
この国を背負うってまさか……。
目の前にいる人物がとんでもなく高貴な人間という可能性に冷や汗がたらりとこめかみを伝う。
「つ、つかぬことをお聞きしますが、もしかしてあなた様は……」
「ん? ああ、そうか、お前は今日配属になったと言っていたな。ならば名乗った方がよいな」
そう言って男は俺から手を離し、スッと居住まいを正した。
「私は国王エゼルバルドが嫡男、エグバード・セルディック。――つまり次期国王だ」
気品ある微笑みを浮かべて堂々と言い放ったその自己紹介に、目眩が襲ってきて危うく倒れそうになった。
次期国王の前でノーパン女装姿……。
バレたが最後、不敬罪で確実に殺されるに違いない。
スカートの中で下半身が急激に冷たくなるのを感じた。
生きて帰れる気がしない……。
だが異世界で不本意の女装の罪で処刑されるなんてあまりにもひどい結末だ。
絶対そうなってたまるか……!
俺は泣きそうになりながらも、何とか自分を奮い立たせて男――エグバードに頭を下げた。
「し、失礼しましたっ。なにぶん世間知らずの田舎者でして……」
「よいよい、気にするな。次期国王たる者、そのくらいのことでわめき立てたりはせん」
気分がいいのだろう、エグバードは鷹揚に頷いた。
「ところで、お前の名は?」
「え、えっと……、多田野草司です……」
できれば本名は明かしたくなかったが、ここで偽名を使って後々厄介なことになっても困るし、そもそも偽名が思いつかないので、仕方なく本名を名乗った。
「タダノソウシ? 聞き慣れない名だな。何と呼べばいい?」
「えっと、ソウシで構いません」
「ならばソウシ」
エグバードは俺の名前を呼んで、にこりと眩しい王族スマイルを俺に向けた。
「迷子になった付き人が私のところに戻ってくるまでお前に護衛を頼みたいのだが、よいか?」
「は、はい、よろこんで……」
本当は一秒でも早くこの場から逃げ去りたかったが、もちろんそういうわけにはいかず、力なく頷くより他なかった。
次期国王様直々の頼みを誰が断れるだろうか……。
しかも王直属の白銀の翼を騙っているのだ、なおさら断れない。
「うむ、よかった。城内とはいえ何があるか分からないからな。頼りにしておるぞ」
「は、ははは……、お任せください~……」
は、早く! 付き人さん、早く迎えに来てくれ……ッ!!
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