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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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「あ、ど、どうも~、多田野草司って言います~。どうぞよろしく~」
へらへらと笑いながらわざと軽薄な感じを作り出して、リリアに手を差し出す。
結果、俺の嫌われ作戦の第一歩は大成功。
リリアは俺の馴れ馴れしい態度に眉根を寄せた。
よっしゃ……! 作戦成功!
俺は心の中でガッツポーズした。
そして親から譲り受けたこの平凡顔に人生で初めて感謝した。
もし俺がイケメンだったらこの作戦はうまくいっていなかっただろう。
イケメンは軽薄で馴れ馴れしくてもそれが魅力に感じられることもあるからだ。
あー、本当にイケメンじゃなくてよかった~!
そんなひがみ混じりの優越感に浸っていると、リリアがス……と俺の手を取った。
「こちらこそよろしくお願いします……。――まぁ、生きてこの屋敷を出られたらの話ですけれども……」
「え?」
ニヤリ……と微笑んだ彼女の不吉な言葉に目を見開く。
どういう意味かと聞き返す前に、グ……ッとその華奢な手からは想像できないほどの力で手を握られ、俺は顔を顰めた。
「ちょ、ちょっと、リリアちゃん!? 痛いんだけど!?」
「アクシオアバダケダブラシャーンズバレデュクスフォン――」
俺の抗議を無視して、何やら禍々しい呪文のようなものをブツブツと暗い声で唱え始めた。
この世界の魔法とかそういうのよく分からないが、これがヤバいものだというものは本能的に分かった。
いくら手を離そうとしてもビクともしないので、俺は半泣きになりながらドゥーガルドの方を振り返った。
「ちょっ、ちょっと、ドゥーガルド! なにこれ!?」
「……大丈夫だ。リリアは黒魔術を趣味でたしなんでいる。たぶんその呪文だろう」
「なにひとつとして大丈夫な要素が見受けられないけど!?」
むしろ大丈夫とは真逆の方向に一直線な気がしてならない。
というか、そういう趣味をお持ちなら早く言っといてくれよ!
手ぶらの人間とナイフを持った人間に嫌われるとでは意味が違う。
そんな趣味があったなら、もっと慎重に嫌われる方向に持って行ったのに……!
だが、悔やんでいる間にも呪文はどんどん禍々しさを増しながら紡がれていく。
ようやく呪文が途切れると、今まで握りしめていた力が嘘のようにパッと手が離れた。
俺は急いで飛び退いて、彼女から距離をとった。
そんな怯える俺を見ながら、リリアはクスクス……と笑った。
こ、こえーよ……ッ!
展開がホラー過ぎて泣けてくる。
というか、手のひらがじんじん痺れて少し痛い。
まさか、これって黒魔術が発動してるとか……!
「ふふふ……、今、ソウシお義兄様に呪いをかけさせていただきました……」
「やっぱり!?」
そうだよな! あれだけ禍々しい呪文を唱えて逆に何もないわけないよな!
予期していたとはいえ逃れられない死の宣告を受けたような絶望的な気持ちになった。
や、やべぇ……、どうしよう……っ!
顔を青くしてあわあわと狼狽えている俺を見て、リリアはくすり……と笑った。
「大丈夫ですわ……、それは簡単に解ける呪いですから……」
「え! 本当!?」
思わぬ朗報に俺は目を輝かせた。
そして神にも縋る気持ちでリリアに向き直った。
へらへらと笑いながらわざと軽薄な感じを作り出して、リリアに手を差し出す。
結果、俺の嫌われ作戦の第一歩は大成功。
リリアは俺の馴れ馴れしい態度に眉根を寄せた。
よっしゃ……! 作戦成功!
俺は心の中でガッツポーズした。
そして親から譲り受けたこの平凡顔に人生で初めて感謝した。
もし俺がイケメンだったらこの作戦はうまくいっていなかっただろう。
イケメンは軽薄で馴れ馴れしくてもそれが魅力に感じられることもあるからだ。
あー、本当にイケメンじゃなくてよかった~!
そんなひがみ混じりの優越感に浸っていると、リリアがス……と俺の手を取った。
「こちらこそよろしくお願いします……。――まぁ、生きてこの屋敷を出られたらの話ですけれども……」
「え?」
ニヤリ……と微笑んだ彼女の不吉な言葉に目を見開く。
どういう意味かと聞き返す前に、グ……ッとその華奢な手からは想像できないほどの力で手を握られ、俺は顔を顰めた。
「ちょ、ちょっと、リリアちゃん!? 痛いんだけど!?」
「アクシオアバダケダブラシャーンズバレデュクスフォン――」
俺の抗議を無視して、何やら禍々しい呪文のようなものをブツブツと暗い声で唱え始めた。
この世界の魔法とかそういうのよく分からないが、これがヤバいものだというものは本能的に分かった。
いくら手を離そうとしてもビクともしないので、俺は半泣きになりながらドゥーガルドの方を振り返った。
「ちょっ、ちょっと、ドゥーガルド! なにこれ!?」
「……大丈夫だ。リリアは黒魔術を趣味でたしなんでいる。たぶんその呪文だろう」
「なにひとつとして大丈夫な要素が見受けられないけど!?」
むしろ大丈夫とは真逆の方向に一直線な気がしてならない。
というか、そういう趣味をお持ちなら早く言っといてくれよ!
手ぶらの人間とナイフを持った人間に嫌われるとでは意味が違う。
そんな趣味があったなら、もっと慎重に嫌われる方向に持って行ったのに……!
だが、悔やんでいる間にも呪文はどんどん禍々しさを増しながら紡がれていく。
ようやく呪文が途切れると、今まで握りしめていた力が嘘のようにパッと手が離れた。
俺は急いで飛び退いて、彼女から距離をとった。
そんな怯える俺を見ながら、リリアはクスクス……と笑った。
こ、こえーよ……ッ!
展開がホラー過ぎて泣けてくる。
というか、手のひらがじんじん痺れて少し痛い。
まさか、これって黒魔術が発動してるとか……!
「ふふふ……、今、ソウシお義兄様に呪いをかけさせていただきました……」
「やっぱり!?」
そうだよな! あれだけ禍々しい呪文を唱えて逆に何もないわけないよな!
予期していたとはいえ逃れられない死の宣告を受けたような絶望的な気持ちになった。
や、やべぇ……、どうしよう……っ!
顔を青くしてあわあわと狼狽えている俺を見て、リリアはくすり……と笑った。
「大丈夫ですわ……、それは簡単に解ける呪いですから……」
「え! 本当!?」
思わぬ朗報に俺は目を輝かせた。
そして神にも縋る気持ちでリリアに向き直った。
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