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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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妄想を根幹に据えた持ち前の強引さに加え、ここはドゥーガルドの実家、つまり相手のテリトリーだ。
不利にならないわけない。
しかしもうこれ以上ケツを掘られるのは勘弁願いたい。
どうにかして寝室直行という最悪の展開から逃れられないものかと血が出そうなくらい頭をひねって考えていると、
「ドゥーガルド様。恐れながら、指摘すべき点がございます」
俺たちの攻防戦に無表情のエリンさんが割って入ってきた。
「エリンさん……!」
俺は救いの女神を見るようにエリンさんを見た。
今までのエリンさんの言動を振り返ると、少しドゥーガルドに対して妄信的なところが見られたが、そんなエリンさんから見ても、さすがに今のドゥーガルドの言動は目に余ったのだろう。
真面目でいい人そうだからきっとドゥーガルドの間違いを修正してくれるはずだ。
そうそう! いくら主とは言え、間違っている時は正しく進言するのが真の意味でいい従者だ!
いいぞ! 完膚なきまで突っ込んでくれ!
そして妄想から奴の目を醒まさせるんだ!
俺は心の中でエリンさんに声援を送った。
「……どうした、エリン」
「まず新婚の夫婦とのことですが――まだ婚約の段階と伺っていますが」
「突っ込むところそこ!?」
見当違いなツッコミに目を剥く。
いや、確かに新婚ではないけど、婚約もしてねぇから!
というかエリンさん、真面目! だけど突っ込むところすげぇズレてる!
だからこそこちらも強くエリンさんに突っ込めないのがもどかしい……!
俺のツッコミに、エリンさんは表情一つ変えず淡々と答えた。
「重要なことです。ベレスフォード家の掟では、婚約の段階と新婚では、寝室に飾る花の種類が変わりますので」
「まさかのベッドメイキング事情!?」
というか、もうベッドメイキングしてんの!?
ようやく自分の味方になる人間が出てきたと少しでも期待した俺がバカだった。
完全にエリンさんもドゥーガルド側の人間だった……。
「……すまない、気持ち的にはもう結婚しているくらいの気持ちだからつい言い間違えてしまった」
「いえ、お気持ちは分かります。傍から見ても長年連れ添った夫婦のような貫禄がありますので、当人であればなおさらでしょう」
「長年連れ添ったどころか少し前まで住む世界すら違った赤の他人ですけど!?」
エリンさん、目を覚ましてくれ!
絶対それ、ドゥーガルドからの間違った情報で歪んだ先入観が入ってるから!
だが、俺のツッコミくらいでエリンさんの誤解だらけの先入観もドゥーガルドの妄想も崩れるわけがなかった。
「少し前まで住む世界も違ったというのに、このような夫婦然とした空気を纏っているとは、運命としかいいようがありませんね」
「……ふふ、そうだろう。俺もそう思う」
「エリンさんやめてぇぇぇぇ!」
ドゥーガルドの妄想がどんどん加速していくのを感じて、俺は悲鳴に近い声で叫んだ。
頼むからこの妄想レーシングカーにこれ以上ガソリンを注がないでくれ……!
「……それじゃあ俺たちは運命を確固たるものにするために寝室に行ってくる」
「やっぱりそうきたかぁぁぁ!」
今までの経験上、話の流れは見えていたが、それでもドゥーガルドの妄想願望まっしぐらの強引さに頭を抱えた。
これはもう何としてもここから逃げ出さなくては……!
ドゥーガルドの家なのでかなり不利なのは承知だが、このまま黙ってケツを掘られるわけにもいかない。
とりあえずまずはドゥーガルドの腕の中から飛び降りて……と考えていると、
「ドゥーガルド様、それはなりません」
エリンさんが淡々とした声できっぱりと言い切った。
不利にならないわけない。
しかしもうこれ以上ケツを掘られるのは勘弁願いたい。
どうにかして寝室直行という最悪の展開から逃れられないものかと血が出そうなくらい頭をひねって考えていると、
「ドゥーガルド様。恐れながら、指摘すべき点がございます」
俺たちの攻防戦に無表情のエリンさんが割って入ってきた。
「エリンさん……!」
俺は救いの女神を見るようにエリンさんを見た。
今までのエリンさんの言動を振り返ると、少しドゥーガルドに対して妄信的なところが見られたが、そんなエリンさんから見ても、さすがに今のドゥーガルドの言動は目に余ったのだろう。
真面目でいい人そうだからきっとドゥーガルドの間違いを修正してくれるはずだ。
そうそう! いくら主とは言え、間違っている時は正しく進言するのが真の意味でいい従者だ!
いいぞ! 完膚なきまで突っ込んでくれ!
そして妄想から奴の目を醒まさせるんだ!
俺は心の中でエリンさんに声援を送った。
「……どうした、エリン」
「まず新婚の夫婦とのことですが――まだ婚約の段階と伺っていますが」
「突っ込むところそこ!?」
見当違いなツッコミに目を剥く。
いや、確かに新婚ではないけど、婚約もしてねぇから!
というかエリンさん、真面目! だけど突っ込むところすげぇズレてる!
だからこそこちらも強くエリンさんに突っ込めないのがもどかしい……!
俺のツッコミに、エリンさんは表情一つ変えず淡々と答えた。
「重要なことです。ベレスフォード家の掟では、婚約の段階と新婚では、寝室に飾る花の種類が変わりますので」
「まさかのベッドメイキング事情!?」
というか、もうベッドメイキングしてんの!?
ようやく自分の味方になる人間が出てきたと少しでも期待した俺がバカだった。
完全にエリンさんもドゥーガルド側の人間だった……。
「……すまない、気持ち的にはもう結婚しているくらいの気持ちだからつい言い間違えてしまった」
「いえ、お気持ちは分かります。傍から見ても長年連れ添った夫婦のような貫禄がありますので、当人であればなおさらでしょう」
「長年連れ添ったどころか少し前まで住む世界すら違った赤の他人ですけど!?」
エリンさん、目を覚ましてくれ!
絶対それ、ドゥーガルドからの間違った情報で歪んだ先入観が入ってるから!
だが、俺のツッコミくらいでエリンさんの誤解だらけの先入観もドゥーガルドの妄想も崩れるわけがなかった。
「少し前まで住む世界も違ったというのに、このような夫婦然とした空気を纏っているとは、運命としかいいようがありませんね」
「……ふふ、そうだろう。俺もそう思う」
「エリンさんやめてぇぇぇぇ!」
ドゥーガルドの妄想がどんどん加速していくのを感じて、俺は悲鳴に近い声で叫んだ。
頼むからこの妄想レーシングカーにこれ以上ガソリンを注がないでくれ……!
「……それじゃあ俺たちは運命を確固たるものにするために寝室に行ってくる」
「やっぱりそうきたかぁぁぁ!」
今までの経験上、話の流れは見えていたが、それでもドゥーガルドの妄想願望まっしぐらの強引さに頭を抱えた。
これはもう何としてもここから逃げ出さなくては……!
ドゥーガルドの家なのでかなり不利なのは承知だが、このまま黙ってケツを掘られるわけにもいかない。
とりあえずまずはドゥーガルドの腕の中から飛び降りて……と考えていると、
「ドゥーガルド様、それはなりません」
エリンさんが淡々とした声できっぱりと言い切った。
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