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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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「え、ぁ、え、あ、あの……っ」
「きゃ~! 本物のソウちゃんだ~! 噂通り可愛い~!」
当惑する俺などお構いなしに、美女は興奮気味にさらにぎゅ~と抱擁を強めた。
く、苦しい……!
男として美女の抱擁はもちろん嬉しいが、力加減は必要だ。
「ちょ、ちょっと、あの、く、苦し……」
「あっ、私ったらつい興奮して……!」
俺の遠慮がちに上げたうめき声に気づいた美女は俺を腕から解放した。
「ごめんなさいっ。本物のソウちゃんに会えたのがあまりに嬉しくて……。もしかして私のこと嫌いになっちゃったかしら……?」
今まで可愛らしくはしゃいでいたのが嘘のように、しゅんと眉を下げて俺の顔を覗き込んでくる。
美女にこんな可愛い表情、仕草で問われて平静でいられる男などいない。
俺は慌ててブンブンッと手を横に振った。
「い、いやっ、全然そんなことないです! むしろこんな美人な方に抱きつかれるなんて、こ、光栄です……っ!」
「本当に! ふふふ、嬉しい~! あ、自己紹介が遅れたわね。私、アシュリー。ドゥーガルドの母です」
「お、お母さん!?」
俺は思わず目を白黒させた。
いや、確かに普通に考えて、ドゥーガルドの両親の部屋にいるし、話の流れ的にも彼女がドゥーガルドの母であることは何の不思議もない。
むしろ当然と言ってもいいくらいなのだが、それでもとてもドゥーガルドのような大きな息子がいる母親には見えなかった。
ドゥーガルドの姉と言っても何の違和感もないくらいだ。そのくらい若々しく、どこかあどけない少女のような雰囲気さえあるせいで、母親という言葉と全く結びつかなかった。
「お、お若いですね……」
「あらっ、ソウちゃんったらお上手なのね! ふふふ、ソウちゃんとは仲良く出来そうだわ~!」
上機嫌で歌うように言いながら俺の手を取ってくるくるとその場で回り出したアシュリーさん。
まさに言動、姿ともに天真爛漫という言葉が似合う彼女に、俺は愛想笑いを片頬に引っかけなされるがままにくるくると回るしかなかった。
そんな俺の反応に、今までソファに座っていた壮年の男が見るに見かねたのか、やれやれという風に苦笑しながら溜め息を吐いて立ち上がった。
そしてアシュリーさんの傍らに立ち、その肩を優しく叩いた。
「アシュリー、はしゃぐ気持ちも分かるが落ち着きなさい。ソウシ君が困っているぞ」
男の言葉にアシュリーさんは足を止めると、頬を膨らませて振り返った。
「も~、せっかくソウちゃんと仲良しになってるのに水を差さないでよね。あ、さては、私とソウちゃんがあまりにも仲良しでヤキモチ焼いたんでしょ~?」
「はははっ、そうだな。いくら嫁とはいえ最愛の妻と仲良く手を繋いでいるのは少し妬けるな」
「ふふふ、あなたったら本当にヤキモチ焼きなんだから……」
いつの間にか互いの手を取り合い二人だけの世界に入るアシュリーさんたちに、俺は完全に一人置いてけぼり状態になった。
初対面の赤の他人のイチャラブを見せつけられるのは、なかなかきついものだ。
というか、何気に二人のイチャつきのダシに使われた気がするんですけど……。
リア充爆発しろという言葉は今まで何度も冗談交じりに使ってきたが、冗談抜きで心の底から湧き上がってきたのは初めてだった。
「きゃ~! 本物のソウちゃんだ~! 噂通り可愛い~!」
当惑する俺などお構いなしに、美女は興奮気味にさらにぎゅ~と抱擁を強めた。
く、苦しい……!
男として美女の抱擁はもちろん嬉しいが、力加減は必要だ。
「ちょ、ちょっと、あの、く、苦し……」
「あっ、私ったらつい興奮して……!」
俺の遠慮がちに上げたうめき声に気づいた美女は俺を腕から解放した。
「ごめんなさいっ。本物のソウちゃんに会えたのがあまりに嬉しくて……。もしかして私のこと嫌いになっちゃったかしら……?」
今まで可愛らしくはしゃいでいたのが嘘のように、しゅんと眉を下げて俺の顔を覗き込んでくる。
美女にこんな可愛い表情、仕草で問われて平静でいられる男などいない。
俺は慌ててブンブンッと手を横に振った。
「い、いやっ、全然そんなことないです! むしろこんな美人な方に抱きつかれるなんて、こ、光栄です……っ!」
「本当に! ふふふ、嬉しい~! あ、自己紹介が遅れたわね。私、アシュリー。ドゥーガルドの母です」
「お、お母さん!?」
俺は思わず目を白黒させた。
いや、確かに普通に考えて、ドゥーガルドの両親の部屋にいるし、話の流れ的にも彼女がドゥーガルドの母であることは何の不思議もない。
むしろ当然と言ってもいいくらいなのだが、それでもとてもドゥーガルドのような大きな息子がいる母親には見えなかった。
ドゥーガルドの姉と言っても何の違和感もないくらいだ。そのくらい若々しく、どこかあどけない少女のような雰囲気さえあるせいで、母親という言葉と全く結びつかなかった。
「お、お若いですね……」
「あらっ、ソウちゃんったらお上手なのね! ふふふ、ソウちゃんとは仲良く出来そうだわ~!」
上機嫌で歌うように言いながら俺の手を取ってくるくるとその場で回り出したアシュリーさん。
まさに言動、姿ともに天真爛漫という言葉が似合う彼女に、俺は愛想笑いを片頬に引っかけなされるがままにくるくると回るしかなかった。
そんな俺の反応に、今までソファに座っていた壮年の男が見るに見かねたのか、やれやれという風に苦笑しながら溜め息を吐いて立ち上がった。
そしてアシュリーさんの傍らに立ち、その肩を優しく叩いた。
「アシュリー、はしゃぐ気持ちも分かるが落ち着きなさい。ソウシ君が困っているぞ」
男の言葉にアシュリーさんは足を止めると、頬を膨らませて振り返った。
「も~、せっかくソウちゃんと仲良しになってるのに水を差さないでよね。あ、さては、私とソウちゃんがあまりにも仲良しでヤキモチ焼いたんでしょ~?」
「はははっ、そうだな。いくら嫁とはいえ最愛の妻と仲良く手を繋いでいるのは少し妬けるな」
「ふふふ、あなたったら本当にヤキモチ焼きなんだから……」
いつの間にか互いの手を取り合い二人だけの世界に入るアシュリーさんたちに、俺は完全に一人置いてけぼり状態になった。
初対面の赤の他人のイチャラブを見せつけられるのは、なかなかきついものだ。
というか、何気に二人のイチャつきのダシに使われた気がするんですけど……。
リア充爆発しろという言葉は今まで何度も冗談交じりに使ってきたが、冗談抜きで心の底から湧き上がってきたのは初めてだった。
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