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第4章 35歳にして、初のホストクラブ!!

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晴仁が浴槽に湯をはってくれていたので、僕は体を念入りに洗った後、お湯につかった。
その温もりに思わず口から「はぁ~」と至福の吐息が零れる。
目を瞑って今日のことを思い出す。
わずか数時間の間に、ピアスを空けられそうになったり、知らない男の子とキスをした上変態のレッテルを張られたりといろいろなことがあった。
明日から不安がないわけではないけれど、でも頑張ろうと思えるのはやっぱり職場の人がいい人だからだ。
テツ君の脅しに怯えている子もたくさんいるけど、きっと少しずつ打ち解けていけるはずだ。
うん、大丈夫! と自分に言い聞かせようとした時、ふとナンバーワンホストの蓮さんの顔が脳裏に過った。
誤解とはいえ、あの嫌悪を露わにした顔。
……彼とは打ち解けるのに難儀しそうだなぁと苦笑する。
でも桜季さんと仲が良さそうだったので、悪い人ではないだろう。
うん、大丈夫!
今度こそ心の中で言い切って、僕はお風呂から上がった。



「あ~、いいお湯だったぁ。晴仁、ありがとう。お湯をはっていてくれ……ぐわ!」

リビングに入り、晴仁にお礼を言うと突然また抱きしめられた。
まだ濡れたままの髪の中に晴仁は鼻を埋めた。
そして、

「やっぱりこーすけはこの匂いが一番似合うね」
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