35歳からの楽しいホストクラブ

綺沙きさき(きさきさき)

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第6章 35歳にして、初めてのメイド喫茶!

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「特大パフェはどのパフェですかね?」
「ああ、この『テラカワユスwwうさたんパフェ』だな」
「え、えっと、テラ? テラス? えっととりあえずこのうさぎのパフェですね!」

よく分かっていないようだが、一秒でも早くここを出たいのだろう。
幸助はせかせかと話を進めた。

「あ、あと俺、昼食べてないからこのオムライスも」

『起こしちゃだめ!おひるね中のふたごのくまたんオムライス』と書かれた、チキンライスで作った二匹のクマの上に薄く焼いた卵焼きをのせたものを指差す。

「分かりました! みかりんさーん! 注文決まりました!」

大きな声でみかりんを呼ぶ幸助の顔は必死そのものだった。

「はぁい! それじゃあおかりん、注文されたものを言ってくね!」

みかりんがニコニコと幸助に笑顔を向けた。

「え、えっと、このうさぎの……」

メニュー本を開いて注文するものを指差そうとすると、

――ダァンッ!

みかりんの手が勢いよくメニュー本をテーブルに叩きつけた。
これには幸助も顔を強ばらせた。
しかしみかりんはにっこりと笑顔のままだ。

「もぉ、あおりん、今日は見習いメイドなんだよ~? メニューを見ながら注文して良いのはご主人様だけ。あおりんはメイドなんだからちゃんとメニュー覚えないと☆」
「そ、そんな……」

幸助の顔が青くなる。
しかしみかりんは慈悲の欠片も見せることなく、みかりんは笑顔で幸助に詰め寄った。

「さぁさぁ、あおりん、聞いた注文ちゃんと教えて~」
「う、う、うぅ……」

幸助の目元には涙の気配すら漂っている。
確かにみかりんは笑顔は萌え系の可愛い笑顔だが、逆らえない圧力を醸し出しているのでおののくのも仕方がないことだろう。

「えっと、あの、うさ、うさぎのパフェと……」
「え~? うさぎのパフェ? うちにはいっぱい種類があるから正式名称で言わないと~」

がんばって何とか記憶の糸を手繰る幸助をみかりんがばっさり切る。
その顔は至極愉しそうだ。

(こいつ、相当なドエスだな……)

みかりんのエスっぷりに若干引きながら聖夜はその二人のやりとりを見守った。

「え、えっと……確か、テラスダブリュー、ダブリュー、うさぎパフェ……?」
「ぶっ、ぶー! ちがいまーす!」

許しを乞うように半笑いで首を傾げる幸助に、みかりんは容赦なく指で作ったバツ印を向けた。

「えっと、えっと……」

幸助は困り切ってしまって眉をハの字にして目を泳がせた。
するとみかりんは溜め息を吐いた。
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