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第6章 35歳にして、初めてのメイド喫茶!
おまけ 2-1
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開店前、パラディゾのオーナー室で、哲哉はソファに腰を沈め、煙草をくゆらせていた。
今日は毎月行われる店長との定例会議の日だ。
だが、会議までまだ時間があった。
店内は夜の騒がしさが嘘のようにしん、と静まりかえっている。
早く来たのは、前の予定が早く終わったからというのもあるが、あわよくば開店前の邪魔者がいない時に幸助に会いたいというのが大きい。
ちらりと時計を見る。
もう少しで幸助が出勤してくる時間だ。
自然、心が浮き立った。
すると、コンコン、とドアのノックが響いた。
店長の菱田にしては早すぎる。
ということは……、
(え! まさか幸助さん!?)
思わず哲哉は立ち上がった。
そして急いで鍵を開け、ドアを開けた。
「幸助さん、今日は早いで……」
「お疲れ様です~! オーナー今日は早いですねぇ」
満面の笑みでドアを開け来客を出迎えた哲哉だったが、ドアの向こうに立つ桜季の姿を認めると、その顔から一気に笑顔が消えた。
期待した分、高速で気持ちが急降下する。
「なんだお前か」
「なんだってなんですか~。かなし~。せっかくいいもの持って来たのにぃ」
あからさまに落胆の溜め息を吐く哲哉に、桜季が唇を尖らせた。
「いいもの?」
胡乱げに哲哉は眉間に皺を寄せた。
桜季は、料理の腕はいいが、いかんせん人格に問題がある。
もちろん根はいい奴だが、こうやってにやにやと笑みを浮かべている時には何か裏がある、と勘ぐらせてしまう男なのだ。
「そうです、いいものです~。しかも青りんごに関係することぉ」
「幸助さんに?」
思わず反応すると、桜季の口端がにやりと吊り上がった。
「まぁ、詳しくは中で話しましょうよぉ」
そう言うと桜季は哲哉の背中を押しながら部屋の中に入っていった。
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