35歳からの楽しいホストクラブ

綺沙きさき(きさきさき)

文字の大きさ
164 / 228
第6章 35歳にして、初めてのメイド喫茶!

おまけ 2-1

しおりを挟む

****

開店前、パラディゾのオーナー室で、哲哉はソファに腰を沈め、煙草をくゆらせていた。
今日は毎月行われる店長との定例会議の日だ。
だが、会議までまだ時間があった。
店内は夜の騒がしさが嘘のようにしん、と静まりかえっている。
早く来たのは、前の予定が早く終わったからというのもあるが、あわよくば開店前の邪魔者がいない時に幸助に会いたいというのが大きい。
ちらりと時計を見る。
もう少しで幸助が出勤してくる時間だ。
自然、心が浮き立った。

すると、コンコン、とドアのノックが響いた。
店長の菱田にしては早すぎる。
ということは……、

(え! まさか幸助さん!?)

思わず哲哉は立ち上がった。
そして急いで鍵を開け、ドアを開けた。

「幸助さん、今日は早いで……」
「お疲れ様です~! オーナー今日は早いですねぇ」

満面の笑みでドアを開け来客を出迎えた哲哉だったが、ドアの向こうに立つ桜季の姿を認めると、その顔から一気に笑顔が消えた。
期待した分、高速で気持ちが急降下する。

「なんだお前か」
「なんだってなんですか~。かなし~。せっかくいいもの持って来たのにぃ」

あからさまに落胆の溜め息を吐く哲哉に、桜季が唇を尖らせた。

「いいもの?」

胡乱げに哲哉は眉間に皺を寄せた。
桜季は、料理の腕はいいが、いかんせん人格に問題がある。
もちろん根はいい奴だが、こうやってにやにやと笑みを浮かべている時には何か裏がある、と勘ぐらせてしまう男なのだ。

「そうです、いいものです~。しかも青りんごに関係することぉ」
「幸助さんに?」

思わず反応すると、桜季の口端がにやりと吊り上がった。

「まぁ、詳しくは中で話しましょうよぉ」

そう言うと桜季は哲哉の背中を押しながら部屋の中に入っていった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

彼はオレを推しているらしい

まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。 どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...? きっかけは突然の雨。 ほのぼのした世界観が書きたくて。 4話で完結です(執筆済み) 需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*) もし良ければコメントお待ちしております。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

人気アイドルが義理の兄になりまして

三栖やよい
BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...