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第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
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「おいくつなんですか?」
「今年で十六」
「わぁ、花の女子高生ですね!」
「言い方がおっさん臭い。俺の妹を変な目で見るなよ」
蓮さんに若干引かれて慌てて手をブンブンと横に振る。
「そ、そんなことしませんよっ。……って、もしかして会わせてくれるんですか!」
身を乗り出すと、さらに蓮さんは引いた。目には侮蔑の色さえ浮かんでいた。
誤解されていそうなので急いで弁解した。
「あ、違うんですよ! 女子高生に会えるのが嬉しいんじゃなくて、蓮さんが妹さんに会わせてくれるってことが嬉しいんです!」
「なんでそんなに嬉しいんだよ。気持ちわりぃ……」
「だって僕なんかにわざわざ会わせてくれるなんて嬉しいじゃないですか」
「お前しか会わせられそうな奴が俺の周りにはいないんだよ」
「どういう意味ですか?」
蓮さんの言葉にまたまた首を傾げた。
蓮さんの周りには素敵な人がたくさんいる。そんな人たちを差し置いて僕が妹さんに会わせてもらうのが申し訳ないくらいだ。
「言葉の通りだ。俺の周りで普通なのはお前くらいだ。他はホストばっかりだしな」
「桜季さんはホストじゃないですよ」
「あんなパンク野郎、妹に会わせられるか!」
教育に悪い! と蓮さんが目を尖らせる。その鋭さにひっと思わず肩を竦めた。
「す、すみません。でも桜季さんは確かに見た目は奇抜ですけどすごく優しいですし……」
「中身がどうとかの話じゃないんだよ」
蓮さんは溜め息を吐いた。
「とにかく妹には俺が普通の仕事をしているって思わせないといけないんだよ。だからお前に頼んでるんだ」
びしり、と肉を掴んだトングの先をこちらに向けられる。
「普通の仕事をしているって思わせないといけないって、ホストしていることご家族に言っていないんですか?」
「当たり前だろう。言えるわけねぇ」
苦々しく吐き捨てるようにして蓮さんが言った。
その表情にハッとした。何か事情があることは明らかだった。
確かに家族にホストをしているとは言いにくいだろう。僕も未だに家族には言えていない。それは家族が心配するだろうということと、自分があまりにホストという華やかな職業に向いていないからだ。
蓮さんは売れっ子ホストで何も恥じることはないけれど、人の事情は様々だ。僕が口出ししていいことじゃない。
「……分かりました。じゃあ僭越ながら蓮さんの上司役、がんばってやらせてもらいます!」
不安にさせないよう胸元をドンと拳で叩いて言うと、蓮さんの口元に笑みが微かに浮かんだ。
「よし、交渉成立だな」
蓮さんはまた僕の皿の上に焼き肉を置いた。
「食えよ。冷めるぞ」
「はい! いただきます」
手を合わせてから、肉を口に運ぶ。口の中にじゅわりと肉汁が広がった。肉の旨味がたっぷりなのにしつこくないその味に、顔の筋肉がとけるほどに緩んだ。
蓮さんが小さく笑った。
「情けねぇ顔。俺の上司役をする時はそんな顔するなよ」
「は、はい!」
慌てて姿勢を正して崩れた表情をキリリと立て直す。
「今は別に気にしなくていいし。本番は頼んだぞ」
蓮さんは苦笑すると網の上の肉をひっくり返した。肉の表面で炙られた肉汁がぱちぱちと弾けていた。
僕はごくりと唾を飲み込んだ。
「今年で十六」
「わぁ、花の女子高生ですね!」
「言い方がおっさん臭い。俺の妹を変な目で見るなよ」
蓮さんに若干引かれて慌てて手をブンブンと横に振る。
「そ、そんなことしませんよっ。……って、もしかして会わせてくれるんですか!」
身を乗り出すと、さらに蓮さんは引いた。目には侮蔑の色さえ浮かんでいた。
誤解されていそうなので急いで弁解した。
「あ、違うんですよ! 女子高生に会えるのが嬉しいんじゃなくて、蓮さんが妹さんに会わせてくれるってことが嬉しいんです!」
「なんでそんなに嬉しいんだよ。気持ちわりぃ……」
「だって僕なんかにわざわざ会わせてくれるなんて嬉しいじゃないですか」
「お前しか会わせられそうな奴が俺の周りにはいないんだよ」
「どういう意味ですか?」
蓮さんの言葉にまたまた首を傾げた。
蓮さんの周りには素敵な人がたくさんいる。そんな人たちを差し置いて僕が妹さんに会わせてもらうのが申し訳ないくらいだ。
「言葉の通りだ。俺の周りで普通なのはお前くらいだ。他はホストばっかりだしな」
「桜季さんはホストじゃないですよ」
「あんなパンク野郎、妹に会わせられるか!」
教育に悪い! と蓮さんが目を尖らせる。その鋭さにひっと思わず肩を竦めた。
「す、すみません。でも桜季さんは確かに見た目は奇抜ですけどすごく優しいですし……」
「中身がどうとかの話じゃないんだよ」
蓮さんは溜め息を吐いた。
「とにかく妹には俺が普通の仕事をしているって思わせないといけないんだよ。だからお前に頼んでるんだ」
びしり、と肉を掴んだトングの先をこちらに向けられる。
「普通の仕事をしているって思わせないといけないって、ホストしていることご家族に言っていないんですか?」
「当たり前だろう。言えるわけねぇ」
苦々しく吐き捨てるようにして蓮さんが言った。
その表情にハッとした。何か事情があることは明らかだった。
確かに家族にホストをしているとは言いにくいだろう。僕も未だに家族には言えていない。それは家族が心配するだろうということと、自分があまりにホストという華やかな職業に向いていないからだ。
蓮さんは売れっ子ホストで何も恥じることはないけれど、人の事情は様々だ。僕が口出ししていいことじゃない。
「……分かりました。じゃあ僭越ながら蓮さんの上司役、がんばってやらせてもらいます!」
不安にさせないよう胸元をドンと拳で叩いて言うと、蓮さんの口元に笑みが微かに浮かんだ。
「よし、交渉成立だな」
蓮さんはまた僕の皿の上に焼き肉を置いた。
「食えよ。冷めるぞ」
「はい! いただきます」
手を合わせてから、肉を口に運ぶ。口の中にじゅわりと肉汁が広がった。肉の旨味がたっぷりなのにしつこくないその味に、顔の筋肉がとけるほどに緩んだ。
蓮さんが小さく笑った。
「情けねぇ顔。俺の上司役をする時はそんな顔するなよ」
「は、はい!」
慌てて姿勢を正して崩れた表情をキリリと立て直す。
「今は別に気にしなくていいし。本番は頼んだぞ」
蓮さんは苦笑すると網の上の肉をひっくり返した。肉の表面で炙られた肉汁がぱちぱちと弾けていた。
僕はごくりと唾を飲み込んだ。
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