170 / 228
第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
2
しおりを挟む
蓮さんが僕に頼みたいこと?
僕は首を傾げた。もちろんいつもヘルプに入った時にお世話になっているからできることならなんでもしたい。
でも実際問題、蓮さんに僕ができることなど掃除や荷物運びなど小間使いのような役割しか思い浮かばなかった。
しかしそれではとてもじゃないがこの高級なお肉とは釣り合いがとれない。
「えっと、僕にできることなんて限られていますけど、いつもお世話になっているのでぜひその恩返しをさせてください」
「別にお前の世話なんてしてねぇけど……」
「いえいえ、ヘルプに入った時に何かとフォローして頂いてるので! それで僕に頼みたいことというのは僕でも出来そうなことですか」
「お前じゃないとできないことだよ」
網の上の焼き肉をくるりと蓮さんがひっくり返した。
僕じゃないとできないこと……。
益々見当がつかず、僕は首を傾げた。
「僕にしか出来ないことなんて思い当たることがないんですけど……」
「いや、俺の周りで出来る奴はお前しかいない。……お前に俺の上司の振りをして欲しい」
「え!」
僕が蓮さんの上司の振り!?
「む、無理ですよ! 蓮さんの上司の振りってことはつまりナンバーワンホストのさらに上ってことですよね? この見た目じゃ全く説得力ないですよ!」
手をブンブンと横に振りながら、いかに自分がその役に適していないかを力説すると、蓮さんが呆れたように溜め息を吐いた。
「誰がお前をホストとしての上司になれって言ったよ」
「へ?」
僕は目をパチパチと瞬かせた。
「お前にはサラリーマンとして俺の上司の振りをして欲しいんだ」
そう言うと、蓮さんは網の上の焼き肉を僕のお皿にのせた。
「サラリーマン、ですか」
僕は置かれた焼き肉と蓮さんの顔を交互に見ながら言った。
確かにホストよりサラリーマンの方が僕の見た目にはしっくりくるだろう。たとえリストラされた身とはいえ……。
ただ、ホストである蓮さんの上司なのにサラリーマンというのは無理があるのでは? と思って首を傾げていると、
「来週の日曜日に妹が来るんだ」
新しい肉を網の上に置きながら蓮さんが言った。
「え! 蓮さんって妹さんがいらっしゃるんですか!」
思わず驚いた。蓮さんも人間なのだからきょうだいがいてなんの不思議はないのだけれど、ナンバーワンホストという肩書きの蓮さんは僕にとってどこか遠い世界の人のような感じがするのだ。だからその蓮さんから妹という言葉が出たことに驚いた。
あと単純に、あまり個人的な会話をしない蓮さんのプライベートを少しのぞき見られたようで嬉しかった。
プライベートな部分を見せてくれるってことは少なからず心を許してくれているということだ。
僕は首を傾げた。もちろんいつもヘルプに入った時にお世話になっているからできることならなんでもしたい。
でも実際問題、蓮さんに僕ができることなど掃除や荷物運びなど小間使いのような役割しか思い浮かばなかった。
しかしそれではとてもじゃないがこの高級なお肉とは釣り合いがとれない。
「えっと、僕にできることなんて限られていますけど、いつもお世話になっているのでぜひその恩返しをさせてください」
「別にお前の世話なんてしてねぇけど……」
「いえいえ、ヘルプに入った時に何かとフォローして頂いてるので! それで僕に頼みたいことというのは僕でも出来そうなことですか」
「お前じゃないとできないことだよ」
網の上の焼き肉をくるりと蓮さんがひっくり返した。
僕じゃないとできないこと……。
益々見当がつかず、僕は首を傾げた。
「僕にしか出来ないことなんて思い当たることがないんですけど……」
「いや、俺の周りで出来る奴はお前しかいない。……お前に俺の上司の振りをして欲しい」
「え!」
僕が蓮さんの上司の振り!?
「む、無理ですよ! 蓮さんの上司の振りってことはつまりナンバーワンホストのさらに上ってことですよね? この見た目じゃ全く説得力ないですよ!」
手をブンブンと横に振りながら、いかに自分がその役に適していないかを力説すると、蓮さんが呆れたように溜め息を吐いた。
「誰がお前をホストとしての上司になれって言ったよ」
「へ?」
僕は目をパチパチと瞬かせた。
「お前にはサラリーマンとして俺の上司の振りをして欲しいんだ」
そう言うと、蓮さんは網の上の焼き肉を僕のお皿にのせた。
「サラリーマン、ですか」
僕は置かれた焼き肉と蓮さんの顔を交互に見ながら言った。
確かにホストよりサラリーマンの方が僕の見た目にはしっくりくるだろう。たとえリストラされた身とはいえ……。
ただ、ホストである蓮さんの上司なのにサラリーマンというのは無理があるのでは? と思って首を傾げていると、
「来週の日曜日に妹が来るんだ」
新しい肉を網の上に置きながら蓮さんが言った。
「え! 蓮さんって妹さんがいらっしゃるんですか!」
思わず驚いた。蓮さんも人間なのだからきょうだいがいてなんの不思議はないのだけれど、ナンバーワンホストという肩書きの蓮さんは僕にとってどこか遠い世界の人のような感じがするのだ。だからその蓮さんから妹という言葉が出たことに驚いた。
あと単純に、あまり個人的な会話をしない蓮さんのプライベートを少しのぞき見られたようで嬉しかった。
プライベートな部分を見せてくれるってことは少なからず心を許してくれているということだ。
61
あなたにおすすめの小説
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
人気アイドルが義理の兄になりまして
三栖やよい
BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる