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第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
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夕食の後片付けを終えたのと同じくらいに桜季さんがお風呂からあがったので、僕が大量に買ったデザートを食べることにした。
夕食を食べて少し時間が空いたので大丈夫かと思っていたけれど、三十半ばになると胃の消化力もずいぶん落ちているようで、二個目の半分で胃がもたれてきた。
僕がそんな情けない状態だというのに、連さんと桜季さんは既に三個完食しており、四個目に手をつけていた。
「う~ん! おいしぃ!」
苺色のホイップクリームを口に含んで桜季さんが声を弾ませた。
わ、若いってすごい……!
若者の消化力に感嘆すると同時に、二人との歳の差をあらためて痛感した。
結局、僕は二個目でギブアップし、蓮さんは五個、桜季さんは七個食べきった。残りは三人で持ち帰ることにした。
メインのデザートを食べ終え、そろそろお暇しようとしたところで、桜季さんが「もう遅いしお泊まり会しようよぉ」と提案した。
夕食もご馳走してもらった上、泊まらせてもらうのは迷惑なんじゃ……と思って連さんの方を窺うと、案の定、顔を顰めていた。
「は? なに言ってんだ、お前の家は近いだろ。帰れ」
眉間に皺を寄せて蓮さんは虫でも追い払うように手を振った。
不貞腐れるように桜季さんが唇を尖らせる。
「えぇ~、いいじゃん~! もうお外真っ暗だよぉ? こんな中おれを帰らせる気ぃ? 襲われちゃうよぉ」
「お前みたいないかにも危なそうな奴、誰も襲うわけないだろ」
蓮さんが呆れたように目を眇めて、桜季さんの特徴的な外見を視線でなぞる。
確かに桜季さんのような強そうな人を暴漢もわざわざ狙わないだろう。
もっともな蓮さんの言葉に、桜季さんが「ひどぉい」と頬を膨らませる。
「でもこの辺最近ひったくりとか痴漢が出るって言うじゃん~」
「だから、テメェみたいな一目でヤバいってわかる奴、誰も襲わねぇよ」
「決めつけはだめだよぉ。まぁ、おれはともかくとしてぇ、青りんごとか恰好の餌食じゃん~」
「え?」
思いも寄らず自分に水を向けられ、目を丸くする。
でも確かに、痴漢はともかくとしてひったくりには僕のような抜けた人間は恰好の餌食に違いないだろう。
「ははは、確かにそうですね。でも大丈夫ですよ、絶対盗られないよう前でバックをしっかり持っときますので」
ぎゅっと胸の前で自分のバックを抱きしめる僕を見て、桜季さんは肩を竦めて首を横に振った。
「でもおやじ狩りみたいに集団で来られたらアウトじゃん~」
「た、確かに……」
以前、聖夜さんとゲームセンターに行った時にカツアゲにあったことを思い出して身震いした。
すると、
「あ! いいこと思いついたぁ!」
桜季さんが目を輝かせてポンと手を叩いた。
「青りんごうちに泊まりなよぉ!」
「え?」
「はぁ?」
思いもよらないお呼ばれに目を丸くする僕の横で、なぜか蓮さんが顔をしかめた。
「いや、待て。なんでお前の家なんだよ」
「えぇ~、だってぇレンコンが泊めさせてくれないからじゃん?」
「別に泊めなくてもいいだろ。心配なら駅まで送っていけば……」
「青りんごはおれの家泊まるのいやぁ?」
まだ話しているの途中の蓮さんを無視して桜季さんが僕の方へくるりと向き直った。
夕食を食べて少し時間が空いたので大丈夫かと思っていたけれど、三十半ばになると胃の消化力もずいぶん落ちているようで、二個目の半分で胃がもたれてきた。
僕がそんな情けない状態だというのに、連さんと桜季さんは既に三個完食しており、四個目に手をつけていた。
「う~ん! おいしぃ!」
苺色のホイップクリームを口に含んで桜季さんが声を弾ませた。
わ、若いってすごい……!
若者の消化力に感嘆すると同時に、二人との歳の差をあらためて痛感した。
結局、僕は二個目でギブアップし、蓮さんは五個、桜季さんは七個食べきった。残りは三人で持ち帰ることにした。
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夕食もご馳走してもらった上、泊まらせてもらうのは迷惑なんじゃ……と思って連さんの方を窺うと、案の定、顔を顰めていた。
「は? なに言ってんだ、お前の家は近いだろ。帰れ」
眉間に皺を寄せて蓮さんは虫でも追い払うように手を振った。
不貞腐れるように桜季さんが唇を尖らせる。
「えぇ~、いいじゃん~! もうお外真っ暗だよぉ? こんな中おれを帰らせる気ぃ? 襲われちゃうよぉ」
「お前みたいないかにも危なそうな奴、誰も襲うわけないだろ」
蓮さんが呆れたように目を眇めて、桜季さんの特徴的な外見を視線でなぞる。
確かに桜季さんのような強そうな人を暴漢もわざわざ狙わないだろう。
もっともな蓮さんの言葉に、桜季さんが「ひどぉい」と頬を膨らませる。
「でもこの辺最近ひったくりとか痴漢が出るって言うじゃん~」
「だから、テメェみたいな一目でヤバいってわかる奴、誰も襲わねぇよ」
「決めつけはだめだよぉ。まぁ、おれはともかくとしてぇ、青りんごとか恰好の餌食じゃん~」
「え?」
思いも寄らず自分に水を向けられ、目を丸くする。
でも確かに、痴漢はともかくとしてひったくりには僕のような抜けた人間は恰好の餌食に違いないだろう。
「ははは、確かにそうですね。でも大丈夫ですよ、絶対盗られないよう前でバックをしっかり持っときますので」
ぎゅっと胸の前で自分のバックを抱きしめる僕を見て、桜季さんは肩を竦めて首を横に振った。
「でもおやじ狩りみたいに集団で来られたらアウトじゃん~」
「た、確かに……」
以前、聖夜さんとゲームセンターに行った時にカツアゲにあったことを思い出して身震いした。
すると、
「あ! いいこと思いついたぁ!」
桜季さんが目を輝かせてポンと手を叩いた。
「青りんごうちに泊まりなよぉ!」
「え?」
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思いもよらないお呼ばれに目を丸くする僕の横で、なぜか蓮さんが顔をしかめた。
「いや、待て。なんでお前の家なんだよ」
「えぇ~、だってぇレンコンが泊めさせてくれないからじゃん?」
「別に泊めなくてもいいだろ。心配なら駅まで送っていけば……」
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