音無集★オトナ詩集

善悪ごちゃまぜ人間

　善人なんかじゃない
　分かっているんだ
　聖人君子なんて夢物語だ
　人間って生き物は悪の部分を持ってる
　誰も彼もが闇を抱えて生きているのさ
　光の中を歩きながら闇と共に生き続けてる
　それが人間なんだよ



　期待なんかしたって無意味だ
「そんな人と思わなかった」なんて馬鹿げた言葉さ
　反吐が出るようなことでも
　自身の欲望のためなら何でもないような顔をして
　一線を踏み越えられる
　それが人間ってもんだろ



　優しい人でも誰かのために動ける奴でも
　ほんの少しのきっかけで
　内に秘めたる悪を目覚めさせるものなのさ
　一度でも悪に染まれば抜け出すことはもう不可能
　ずるずると沈んでいくしかない
　深く暗い闇の底へと



　改心とか更生とか考えるだけ無駄さ
　全部が全部悪じゃない
　善の一面も持ち合わせてる
　そのうえで選んだのさ
　悪に手を染める道を



　善人なんかなれやしない
　悪人にもなりきれない
　中途半端な生き物だ
　善悪ごちゃまぜのぐちゃぐちゃな心を受け入れるしかないのさ
　仕方ないよな
　それが人間ってやつだろ