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プロローグ2
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宿舎に戻ると部下のルッツオーニングがいた。
「あ、中隊長!おかえっす~どうっすぁ?辞めんました?」
辞めることなど言ってなかったのだが。気楽な人間だが、有能。これがルッツオーニングである。この平民出身の男は27で小隊長についている。グリーンの腹心、カプランが推挙した男である。
余談だが、グリーンは保守派でも、革新派でも、どちらでもあったが、どちらでもない。マーリンドルフ家もである。グリーンは貴族主義であるが、実力主義者の典型でもある。つまり、革新派の様に、平民を登用していく人事を好むわけでもなく、保守派の様に血統と爵位で人事を決めるわけでもない。実力のある平民は貴族にする。貴族としてこの国の人民に命を捧げる覚悟を持たせるのである。これがグリーンの持論だ。
だから、平民出身でも近衛の資格さえあれば、騎士という身分さえ与えられれば有能な人物は積極的に登用した。
勿論、これはグリーンだけの考えではない。グリーンの直属の上司、第三大隊長モーガン子爵の考えである。モーガンは禿げあがった頭をもつ眼光の鋭い男で、すこしデブ。見た目だけでいえばヤクザの親分、麻薬密売人の元締めである。ただ、三羽烏のうち2羽を鍛えたのはこの御仁であり、グリーンにとっては頭の上がらぬ上司である。歳は51らしい。この愛すべき不良デブはとんでもない愛妻家としても有名だが、後々語ることになりそうだから割愛しておく。
「おう、おやっさんにゃあばれてねぇよな」
「わぁってやすよぅ。おやっさんにいっちゃあ、こっちまでとばっちゃぁくらぁんなきゃいけぇんすかぁる」
「尻拭いお疲れさん」
「ざぅっす!こんちゃビールおごりっ!」
「わぁったよ!奢ってやっから残りの小隊長呼んでこい」
「うぅっす!」
3分で全員が揃う。これが第12近衛中隊である。各小隊長は非公式の役職だが、分隊長に伝える、分隊長は班長に伝える。これもこの中隊のやり方であった。全員が士官学校、近衛学校出身者であるから、そのままの命令を伝えても理解できるのだ。
「つーわけで、三ヶ月後に退官することが決まったから。あゝ、出仕は大隊長に今日付けで辞めるって言っておく。後任にはアトスを推薦する。」
アトスは40歳で小隊長に選ばれた男である。元々平民で、近衛学校を卒業してから、近衛騎士団に配属されたが、当時の貴族出身の小隊長や中隊長から虐められていた同僚を庇い、叩きのめしたところ上から完全に睨まれた、昇進が全くできなかった男である。指揮は堅実。何よりグリーンが評価したのは公正明大かつ剛毅な人間であったことである。公正明大は、マネージャーにはなれないが、リーダーには必要な素質である。また、年齢も良かった。この中隊の指揮官は若手が多い。そもそも兵士が優秀な年寄りよりも、平凡な若手で固まっていたのだ。
「先輩、まじでやめるんすか?」
グラである。伯爵家の傍流で、ルッツオーニングよりも軽薄な男だが、頭は切れる男である。この男も優秀であるが、24歳という若手中の若手であり、目の鋭さが隠しきれないのだ。
「ああ、辞める。これ程舐めて真似をした王族もはじめてだ。こんな奴に仕えてられんね。」
「ええ、辞めて正解ですよ。だから自分も退官しよ…」
「お前は残れ!」
副官のカプランである。この男はとんでもないほどのサボり癖がある男で、同期、の男である。自分が辞めた後は大隊長のところで幕僚をさせるつもりであった。サボり癖のあるこの男は、参謀よりも指揮官にすべきなのだろうが、驚くほど人望がない。嫌われているわけではないが只々人付き合いさえ面倒だと避けてしまうのである。
「小官は隊長命令でも退官します。」
サラトガである。歳は35。驚くほど生真面目な男で、また寡黙な男であった。地形などに詳しく、全国をくまなく歩く男で、模擬戦では自分より上の男である。しかも、中隊の指揮官の中で唯一子持ちである。
「んじゃ、オイラも。いなかけぇってのーんびりやっけ。」
この男はクレス辺境伯の次男、カインである。とりたてて能力が傑出してるわけでなく、他の中隊の指揮官からも何故こんな若手でもない男が小隊長をするのかわからん、と評されているが、性格が極めて温厚な男でまた冗談も好きな男でいわゆる「座布団」を仕事としていた。
「カプラン、お前は小隊長に相応しい奴を3人選らんどけ。」
「えっ怠い」
「よし、じゃあ頼んだ。」
「…チッ」
ガンガン、と凡そノックには相応しくない音が響く。
「おおぉい、グリィン、聞いたぞ辞めるってなぁ!」
「おやっさん…」
また猪親父が来たよ、と誰かが呟いたがそれはモーガンには聞こえていない。今日も禿げあがった頭が部屋の光を反射している。テッカテカである。テッカテカの親父は鞄から灰皿と煙草を取り出すと、それを頭に叩きつけて一発芸をする、ということはなく、机に起き、煙草を咥えると、胸ポケットのライターで火をつけた。
「おやっさん、ここは禁煙っすよ」
「るせぇや。今日で終わりのくせしやがって」
「…さーせん」
「…チッ。わぁってんならなぁ…」
そこまで言うと、っはぁ、と溜息をついた。煙も同時に吐き出される。時々おやっさんはこんな風に煙草を吸うのだ。部下が死んだ時とか、同僚が退職するとき、あとは賭けごとで擦られた時。賭けごとで擦られた時は流石に言い過ぎだが、とんでもなく辛いことがあると、時々世の中の不幸を全部自分の体ん中に溜めて、抱え込んでいるような顔をして、溜息をつくのだ。
だが、その疲れ果てた姿はとても寂しいものであった。心が寂しいのか、それとも親父殿が寂しいのか。これだから、おやっさんには言いたくなかった。
「おめぇさんみてぇな男が辞めるからなぁ、…チッ、しけるぜ、全く。」
おやっさんの煙草はいつの間にか使い物にならなくなっている。
「まあ、偶にはウチの飯食いにこいや。嫁の飯は美味いからな。気ぐれぇは紛れるかもしんねぇ。」
「おやっさん、幸せ太りは結構ですが、最近太り過ぎっすよ」
グラが憎まれ口をたたいたがおやっさんはジロリと睨むだけであった。
「まあ、達者でやれや。お前んとこにゃ監視ぁいらねぇだろ。俺が上にかけあっといてやらぁ。んじゃ、な。」
おやっさんは手をひらひらと振りながら、ガニ股で出て行った。おやっさんが強がってる時の癖だ。哀愁漂うその背は堪らなく寂しそうなものだった。
「隊長、置手紙が。」
「おう、すまねぇな。」
置手紙は四つ折りであった。開けると、大隊長からのメッセージが書かれていた。
『親愛なる友へ
この度は貴官の退官を非常に遺憾に思う。上司として、貴官の志を賛同してやれなかったことも。大いに悔やまれることである。
さて、親愛なる友に何点か伝えておきたいことがある。
小官は文を書くのが下手であるから、簡潔に箇条書きにしておく。
1,貴官の弟に爵位は譲るものの、復帰する時はいつでも、男爵位が与えられるものとしておく。
2,貴官に反乱などをそそのかすやからが発生すると思うが、乗らないこと。
3,ルマンド侯爵令嬢がお呼びであるから今夜小官の家を訪れること。
4,暗殺者が向けられたりしたら小官に連絡すること
5,金に困ったら小官に頼ること!
君の繁栄を願う
友より』
紙に水滴がポタポタと落ちる。隊長の気遣いが身にしみて有り難かった。
「雨が、降ってるな」
「隊長、ここは部屋の中です。」
「…そうか。」
全てが台無しだ。顔を赤く染めたまま背を翻す。
「全員、中隊長に敬礼!」
アトスが大声で指示を出す。狭い廊下には第12中隊の隊員が一列で並んで敬礼している。グリーンはその中を一人一人の顔を見ながらあるいた。敬礼は廊下が狭いために海軍式になっていた。花道はエントランスでも続いており、門近くでは、隊員が儀礼抜刀をして構えていた。
「隊長…」
アトスが呼び止めた。
「いつでも来てください。一同、我らが指揮官をお待ちしております。」
「呼んでくださったら、行きますぜ!」
「地獄まででもお供いたします!」
まだ口々に言っていたが、これ以上顔を見せてはいけない。グリーンはまた、門の方向へ歩いた。上を向きながらである。
「そういやいってぇ、だぁがおやっつあんに漏らしたんでぇ…」
ルッツオーニングがまっとうなつぶやきを漏らしていた。こっちが知りたいよ、全く。
「あ、中隊長!おかえっす~どうっすぁ?辞めんました?」
辞めることなど言ってなかったのだが。気楽な人間だが、有能。これがルッツオーニングである。この平民出身の男は27で小隊長についている。グリーンの腹心、カプランが推挙した男である。
余談だが、グリーンは保守派でも、革新派でも、どちらでもあったが、どちらでもない。マーリンドルフ家もである。グリーンは貴族主義であるが、実力主義者の典型でもある。つまり、革新派の様に、平民を登用していく人事を好むわけでもなく、保守派の様に血統と爵位で人事を決めるわけでもない。実力のある平民は貴族にする。貴族としてこの国の人民に命を捧げる覚悟を持たせるのである。これがグリーンの持論だ。
だから、平民出身でも近衛の資格さえあれば、騎士という身分さえ与えられれば有能な人物は積極的に登用した。
勿論、これはグリーンだけの考えではない。グリーンの直属の上司、第三大隊長モーガン子爵の考えである。モーガンは禿げあがった頭をもつ眼光の鋭い男で、すこしデブ。見た目だけでいえばヤクザの親分、麻薬密売人の元締めである。ただ、三羽烏のうち2羽を鍛えたのはこの御仁であり、グリーンにとっては頭の上がらぬ上司である。歳は51らしい。この愛すべき不良デブはとんでもない愛妻家としても有名だが、後々語ることになりそうだから割愛しておく。
「おう、おやっさんにゃあばれてねぇよな」
「わぁってやすよぅ。おやっさんにいっちゃあ、こっちまでとばっちゃぁくらぁんなきゃいけぇんすかぁる」
「尻拭いお疲れさん」
「ざぅっす!こんちゃビールおごりっ!」
「わぁったよ!奢ってやっから残りの小隊長呼んでこい」
「うぅっす!」
3分で全員が揃う。これが第12近衛中隊である。各小隊長は非公式の役職だが、分隊長に伝える、分隊長は班長に伝える。これもこの中隊のやり方であった。全員が士官学校、近衛学校出身者であるから、そのままの命令を伝えても理解できるのだ。
「つーわけで、三ヶ月後に退官することが決まったから。あゝ、出仕は大隊長に今日付けで辞めるって言っておく。後任にはアトスを推薦する。」
アトスは40歳で小隊長に選ばれた男である。元々平民で、近衛学校を卒業してから、近衛騎士団に配属されたが、当時の貴族出身の小隊長や中隊長から虐められていた同僚を庇い、叩きのめしたところ上から完全に睨まれた、昇進が全くできなかった男である。指揮は堅実。何よりグリーンが評価したのは公正明大かつ剛毅な人間であったことである。公正明大は、マネージャーにはなれないが、リーダーには必要な素質である。また、年齢も良かった。この中隊の指揮官は若手が多い。そもそも兵士が優秀な年寄りよりも、平凡な若手で固まっていたのだ。
「先輩、まじでやめるんすか?」
グラである。伯爵家の傍流で、ルッツオーニングよりも軽薄な男だが、頭は切れる男である。この男も優秀であるが、24歳という若手中の若手であり、目の鋭さが隠しきれないのだ。
「ああ、辞める。これ程舐めて真似をした王族もはじめてだ。こんな奴に仕えてられんね。」
「ええ、辞めて正解ですよ。だから自分も退官しよ…」
「お前は残れ!」
副官のカプランである。この男はとんでもないほどのサボり癖がある男で、同期、の男である。自分が辞めた後は大隊長のところで幕僚をさせるつもりであった。サボり癖のあるこの男は、参謀よりも指揮官にすべきなのだろうが、驚くほど人望がない。嫌われているわけではないが只々人付き合いさえ面倒だと避けてしまうのである。
「小官は隊長命令でも退官します。」
サラトガである。歳は35。驚くほど生真面目な男で、また寡黙な男であった。地形などに詳しく、全国をくまなく歩く男で、模擬戦では自分より上の男である。しかも、中隊の指揮官の中で唯一子持ちである。
「んじゃ、オイラも。いなかけぇってのーんびりやっけ。」
この男はクレス辺境伯の次男、カインである。とりたてて能力が傑出してるわけでなく、他の中隊の指揮官からも何故こんな若手でもない男が小隊長をするのかわからん、と評されているが、性格が極めて温厚な男でまた冗談も好きな男でいわゆる「座布団」を仕事としていた。
「カプラン、お前は小隊長に相応しい奴を3人選らんどけ。」
「えっ怠い」
「よし、じゃあ頼んだ。」
「…チッ」
ガンガン、と凡そノックには相応しくない音が響く。
「おおぉい、グリィン、聞いたぞ辞めるってなぁ!」
「おやっさん…」
また猪親父が来たよ、と誰かが呟いたがそれはモーガンには聞こえていない。今日も禿げあがった頭が部屋の光を反射している。テッカテカである。テッカテカの親父は鞄から灰皿と煙草を取り出すと、それを頭に叩きつけて一発芸をする、ということはなく、机に起き、煙草を咥えると、胸ポケットのライターで火をつけた。
「おやっさん、ここは禁煙っすよ」
「るせぇや。今日で終わりのくせしやがって」
「…さーせん」
「…チッ。わぁってんならなぁ…」
そこまで言うと、っはぁ、と溜息をついた。煙も同時に吐き出される。時々おやっさんはこんな風に煙草を吸うのだ。部下が死んだ時とか、同僚が退職するとき、あとは賭けごとで擦られた時。賭けごとで擦られた時は流石に言い過ぎだが、とんでもなく辛いことがあると、時々世の中の不幸を全部自分の体ん中に溜めて、抱え込んでいるような顔をして、溜息をつくのだ。
だが、その疲れ果てた姿はとても寂しいものであった。心が寂しいのか、それとも親父殿が寂しいのか。これだから、おやっさんには言いたくなかった。
「おめぇさんみてぇな男が辞めるからなぁ、…チッ、しけるぜ、全く。」
おやっさんの煙草はいつの間にか使い物にならなくなっている。
「まあ、偶にはウチの飯食いにこいや。嫁の飯は美味いからな。気ぐれぇは紛れるかもしんねぇ。」
「おやっさん、幸せ太りは結構ですが、最近太り過ぎっすよ」
グラが憎まれ口をたたいたがおやっさんはジロリと睨むだけであった。
「まあ、達者でやれや。お前んとこにゃ監視ぁいらねぇだろ。俺が上にかけあっといてやらぁ。んじゃ、な。」
おやっさんは手をひらひらと振りながら、ガニ股で出て行った。おやっさんが強がってる時の癖だ。哀愁漂うその背は堪らなく寂しそうなものだった。
「隊長、置手紙が。」
「おう、すまねぇな。」
置手紙は四つ折りであった。開けると、大隊長からのメッセージが書かれていた。
『親愛なる友へ
この度は貴官の退官を非常に遺憾に思う。上司として、貴官の志を賛同してやれなかったことも。大いに悔やまれることである。
さて、親愛なる友に何点か伝えておきたいことがある。
小官は文を書くのが下手であるから、簡潔に箇条書きにしておく。
1,貴官の弟に爵位は譲るものの、復帰する時はいつでも、男爵位が与えられるものとしておく。
2,貴官に反乱などをそそのかすやからが発生すると思うが、乗らないこと。
3,ルマンド侯爵令嬢がお呼びであるから今夜小官の家を訪れること。
4,暗殺者が向けられたりしたら小官に連絡すること
5,金に困ったら小官に頼ること!
君の繁栄を願う
友より』
紙に水滴がポタポタと落ちる。隊長の気遣いが身にしみて有り難かった。
「雨が、降ってるな」
「隊長、ここは部屋の中です。」
「…そうか。」
全てが台無しだ。顔を赤く染めたまま背を翻す。
「全員、中隊長に敬礼!」
アトスが大声で指示を出す。狭い廊下には第12中隊の隊員が一列で並んで敬礼している。グリーンはその中を一人一人の顔を見ながらあるいた。敬礼は廊下が狭いために海軍式になっていた。花道はエントランスでも続いており、門近くでは、隊員が儀礼抜刀をして構えていた。
「隊長…」
アトスが呼び止めた。
「いつでも来てください。一同、我らが指揮官をお待ちしております。」
「呼んでくださったら、行きますぜ!」
「地獄まででもお供いたします!」
まだ口々に言っていたが、これ以上顔を見せてはいけない。グリーンはまた、門の方向へ歩いた。上を向きながらである。
「そういやいってぇ、だぁがおやっつあんに漏らしたんでぇ…」
ルッツオーニングがまっとうなつぶやきを漏らしていた。こっちが知りたいよ、全く。
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