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夜明けの鏡
夜明けの鏡
しおりを挟む凄まじい音を立てて爆発は続く。瓦礫が私の上にも容赦なく降ってくる。
私は意識が遠のく前に、一目だけでいいから尚輝の顔が見たいと思った。
「……尚輝、一目だけでいい。あなたに会いたい……」
私がそういうと玉が虹色に光り出した。私は意識が薄れゆく中、そのまばゆい光を全身に浴びている。光が私の全身を包む。
光が私の全身を包むと瓦礫は光に阻まれ私を傷つけることなく、横にそれる。
私は意識が無くなる前にその光景を最後に見た。そのまま私の意識は無くなった……。
………誰かが呼んでる。懐かしい声。わからないけど、愛しい声……誰だろう?私はもう死んじゃって、あの世に来たんだ。きっと……。
「……かの子!かの子!しっかりしろ、かの子!」
ぼんやり見える顔が私にそう叫んでいる。あれ?あれは……あれは尚輝!
「かの子!気がついた?気がついたんだね!よかった!本当によかった!」
そういうと尚輝が私を抱きしめた。私は夢を見ているに違いないと思った。
「……よかった。夢でも尚輝の顔が見られて……」
「夢じゃない!夢じゃないよ!かの子助かったんだよ!みんなもいるよ」
そういうと尚輝は私を抱え上げて私にみんなを見せた。真希!静佳!久米さんも!みんな無事だったんだ!よかった!
「かの子よかったね!本当に!」
そう言って真希が私に抱きついてきた。
「かの子、本当に良かった!」
静佳もそう言って私に抱きつく。私はこれは現実だとやっと認識できた。よかった……。最後にみんなの顔を見れた。よく見るとそこは森の中だった。遠くに何かが燃えるのが見える。光明寺博士の研究所だろう……。
「尚輝!」
私はそういうと尚輝をおもいっきり抱きしめた。私の目から涙があふれて止まらない。
玉の力だ。あの玉は私と同化したと光明寺博士が言っていた。同化した私が尚輝に会いたいと願ったから私を守って、尚輝やみんなのところに玉が私を連れてきたんだ……。
……でも、私は尚輝と共に生きられない。生きちゃいけないんだ。
私は尚輝から離れると小道を走った。
「かの子!どこに行くんだ!」
尚輝が私に叫んだ。私は生きちゃいけない人間なんだ。尚輝と一緒に生きちゃ……。
「尚輝、私はこの玉でたくさんの人達を殺してしまったわ。だからあなたと一緒に生きられない!ごめんね……私みたいな女の子好きになって……尚輝、本当にごめんね」
「かの子、そんなことはないよ。僕の話を聞いてほしい」
尚輝がそういうと私は玉を前に出して、尚輝に叫んだ。
「近よらないで!近よったら、この玉であなたを殺すわ。お願い、それ以上近よらないで!」
私がそういうと尚輝はその場で立ち止まった。
私は自分が死ぬ前にまずはしなければならないことがある。
そう、あの忌わしい宗教の施設、まだ古ビルが2つ残っている。そして、あの宗教で私を神仙様と呼んでいた人達の、あの宗教にいた記憶を消さないと!
私は玉に念じて、あの古ビルが消えるように念じた!玉は虹色に輝き、私の全身にまで覆う。
「かの子……」
尚輝がそう言ったのが聞こえた。次はみんなの記憶を消さなくては!
私はあの宗教に来ていた人達みんなの記憶を消すように念じた。玉はまた虹色に輝き私の全身を覆う。
でも、光明寺博士はこれほどの科学力を持っていたのに、どこで歪んでしまったんだろう……。私は玉の力を実感して、あらためて思った。
あとは私がけじめをつけるだけ!
「尚輝!さよなら!」
私はそう叫ぶと玉が粉々に砕けるように念じた。私共々砕けるように。私と玉は同化している。玉が砕ければ私も死ぬはず……。
私は玉を空に投げた。虹色の光がキラキラと辺り一面を覆う。
やがて玉は粉々に砕けて虹色の光りを残しながら、地面に落ちた。
夜明けを知らせる太陽が登っていた。その光に照らされて砕けた玉の残がいは日に照らされた鏡のように光り輝いていた。
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