魔王が最弱でスライムが最強の世界!?

クソニート

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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです

第26話 お前とも

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 ――クソ・・・また死んだのか、俺は・・・!

 サタンはまた暗い空間にいた。一度は悔しがるサタン。

 本当によく死ぬな俺!

 しかし、サタンは暗い空間の中、すぐに立ち直った。

 え? 何でかって? そんなの知ってるだろ? 俺は死んでも強くなって生き返れるからだ!

 サタンは暗い空間でグッと手を握る。
 そう、これがサタンに唯一与えられた残念であり最高の能力なのである。

 ま、この展開にもだんだんなれてきたな。かれこれ魔界に来てから十七話目だし。あっ、これはまた違う話か・・・って、それよりもあのドリル男を何とかしねーと、メルとラエルさんが・・・!

 そんな事を考えていると暗い空間の中から一羽のフクロウが現れた。

「今度はフクロウか」
 ――そいつの名前はストラス

 サタンが呟いたのと同時にサタンの中から聞こえてくる声。

「うおっ! びっくりした! いきなり声をかけてくるなよ、アンドロ」

“アンドロ”――一番初めにサタンの中へと入った悪魔だ。

 ――お前がなかなか俺の力を使わないから悲しいんだろ! 使わないでまた死ぬし・・・俺は魔柱72柱の中でも最下位の悪魔だ。だからお前が死ぬ度に俺よりも強い悪魔が次々とお前の中に入ってくるんだよ。そしたら、俺が使われる回数少なくなるじゃん!
「う、うん・・・それもそうだな?」
 ――まぁ、俺のことはどうでもいいから、早く生き返りにいけ!
「あ、ああ。ま、まぁ、出来るだけお前の力?ってやつも使うようにするよ――」


 サタンは目を開けた。目の前には爆発で燃えた炎が混じり合った夜空が見える。

 生き返った・・・!

 サタンの体はドリルで貫かれところが綺麗に傷ひとつない状態に回復していた。

 生き返る時に体も回復されるのか! これで便利だ!

 サタンは手を強く握りしめた。

 俺には親という者の記憶がない・・・だから、ラエルさんがとった選択がメルにとってはどういうものになったのかは分からない・・・けど、このままラエルさんが死んでしまうとメルは絶対に悲しむ・・・!

 サタンは幸せそうに笑っていたメルとラエルの姿を思い出した。

 そんな事絶対にさせるかよ! ただ幸せに暮らせていた二人がこれ以上悲しむような事俺が絶対にさせない!

 サタンは立ち上がった。

 それに、たまには俺が魔王だってところを見せてやらないとな・・・!


「――お母さーーーん!」

 メルの悲鳴がサタンに聞こえた。

 今、俺が助ける!

「死ねぇー!」

 王城の制服を着た男のドリルがラエルに向かっていく。

「待て!」

 サタンは王城の制服を着た男の背後まで一瞬で移動し、腕を掴んだ。

「な!?」
「くらえ――」

 王城の制服を着た男が驚き振り向くよりも先にサタンは勢いよく足を上げ王城の制服を着た男の股間を蹴った。

「~っぅ!?」

 王城の制服を着た男の目の玉と鼻水と舌が飛び出しそうになる。いや、鼻水は飛び出していた。
 王城の制服を着た男は股間を手で押さえながらふらふらと地面に膝をついて倒れた。

「サタン君・・・」

 ラエルは驚いた様子で呟く。

 サタンはラエルを宙吊りに持ち抱えていた部下達の背後へ一瞬で移動すると拳を握りしめた。

「ぶっ飛べ――魔王パンチ!」

 サタンは握りしめた拳で部下のお腹と頬に一撃ずつ拳をめり込ませた。
 殴られて地面に倒れ込む部下達。

「ラエルさん! 大丈夫ですか!?」
「え、ええ・・・けど、サタン君・・・君は一体何者なの・・・?」

 サタンに抱えられたラエルがサタンに問う。

「話は後です! 先ずはメルを助けてきます!」

 しかし、サタンラエルの問いに答えないでメルに向かって走り出した。


「隊長っ!」

 メルを押さえていた部下達は何が起こったのか分からず動揺し始めた。

(一体何が・・・?)

 メルにも目の前で起こった事がどういう事なのか分からない。しかしこの一瞬出来た隙をメルは見逃さなかった。

 部下達をすり抜けてメルは大剣を拾い走った。

「あっ、待て!」

 部下達はメルに手を伸ばすがメルはそれを交わす。

「ちっ・・・! おい! 隊長の命令通り死なない程度に撃て! このままじゃ逃げられる!」

 部下が大砲の狙いをメルにさだめて砲弾を撃った。砲弾はメルに一直線に向かっていく。

(・・・っ、かわせない・・・!)

 メルが砲弾の方を向いた時――。

「メル・・・この剣借りるぞ!」
「えっ!?」

 サタンはメルの手から大剣を奪い取り砲弾に向かっていった。
 そして、目を大きく見開いた。

「千里眼!」

 サタンは目を凝らして砲弾のど真ん中を見つける。砲弾のど真ん中を見抜いたサタンは大剣を縦に構えると寸分ともずれないで砲弾を縦断した。
 サタンとメルの横を通り抜けた割れた砲弾は少ししてから盛大に爆発する。

「くそっ! もう一発撃てぇ!」
「させるか!」

 サタンは大砲に向かってジャンプし大砲の中へ大剣を突き刺した。

「はぁあああ!」

 そして、サタンは大剣を引き抜くとメルを抱えて大砲から急いで離れた。大砲は中の砲弾が爆発して粉々に壊れた。

「ウワァー!」

 大砲の周りにいた部下達は爆風に吹き飛ばされていった。


「お母さんっ・・・!」

 メルはラエルに抱きついた。

「メル・・・! 無事で本当に良かった・・・!」

 ラエルもメルを抱きしめる。

「でも・・・あのクソ男絶対に赦さないわ・・・メルの服を破り棄てて、メルの体に触ろうとするなんて――」

 ラエルがそう言ってサタンは気づいた。

 ヤベェ・・・今まで気づいてなかった!

 サタンはメルの赤い下着がチラチラと見えて目を反らした。

 メル・・・お前、意外と大胆な色のをつけてるんだな・・・

「ほら・・・」

 サタンは自分の制服を脱いでメルの方を見ないまま制服を渡した。

「ありがとうサタン・・・」
「サタン君! 合格っ!」

 メルは頬を紅潮させながらサタンの制服を着、ラエルは涙を流しながらサタンを褒めた。

 何に合格したんだ・・・?

「サタン・・・」

 メルはサタンの体や腕をジィーっと見つめる。

「そんな見詰めるなよ、恥ずかしいだろ!」
「メル・・・サタン君に惚れたの?」

 そんなメルを見てラエルが聞くとメルは顔をボッと蒸発させた。

「ち、違っ! 私はサタンの体の傷を見ていただけで・・・惚れてなんて――」

 メルはサタンの顔をチラッと見て目を反らした。

「確かにサタン君・・・君の体は一体どうなっているんの? 私が言うのは何だけど君は死んだんだよね!?」

 ラエルが聞いた時、サタンが股間を蹴ってからずっと倒れていた王城の制服を着た男が股間を手で押さえながらふらふらと起き上がった。

「そ、そうです・・・私は確かにあなたを殺したはずです・・・」
「全力で蹴ったのにもう立ち上がるのかよ・・・」
「こ、ここまで、こけにされたのは初めてです・・・! あなたは一体何者何ですか?」
「先ず自分の名前を名乗ったらどうだ? 相手の名前を知らない奴に自分の名前は言うなって知らないのか?」
「ふ・・・どこまでもなめたまねを・・・いいでしょう、冥土の土産に教えてあげましょう。私は王城の騎士、ツラリ。さぁ、あなたの名を教えていただきましょうか」
「しょうがね~な・・・俺の名はサタン――魔王サタンだ!」
「魔王!? 魔王はそこのメルさんが討伐しにいったはずでは・・・!?」

 サタンが魔王という事とまだ魔王が生きているという事に驚くツラリ。

「ああ、来た・・・けど、俺が仲間にしたんだよ!」

 ツラリに事実を言うサタン。それにラエルも驚く。

「ほ、本当なのメル!? サタン君が魔王であなたがその仲間になったって・・・」
「うん・・・だから王城にも帰るに帰られなくてサタンの所で暮らしてたの・・・!」
「そう・・・」

(サタン君・・・よくメルを仲間にして王城に帰さないでくれて本当にありがとう・・・)


「魔王・・・魔王ですか・・・ヒヒッ」

 いきなり笑いだすツラリ。

 こいつ、キモいな・・・!

「魔王を倒したとなると王様から褒美が出そうですね」
「そう簡単にやられると思うか? 俺は魔王だぞ」

 サタンをツラリに向かい立つ。

「わ、私も戦います・・・」

 メルが大剣を持ち立とうとする。

「お前は休んでろ」
「で、ですが・・・」
「いいから、ここは俺に任せろ」
「サタン・・・」

 サタンはメルの肩に手を置いてメルを座らせる。

「どうして――どうしてサタンはここまでしてくれるんですか・・・? 正直さっきも言ってましたけど私はサタンを殺そうとしてたんですよ? なのに――」

 メルはサタンに問う。

「言っただろ? 俺の目的は魔界を救う事だって」
「知っています・・・ですが、それはアズラとでしょう? サタンが私とお母さんのためにここまでしてくれるなんて・・・」

 メルは悔しそうに下を向く。すると、サタンはメルの頭にポンと手を乗せた。

「そんなの決まってるだろ。俺がメルとも一緒に魔界を救いたいからだよ。だから、このままメルをアイツみたいなヤツなんかに王城に連れて帰られたくないんだよ!」
「っ・・・サタン・・・」
「だから、ここは俺に任せろ。俺がお前の怒りの分もラエルさんの怒りの分もアイツにぶつけてきてやる!」

 サタンはメルに優しく言うとツラリに向けて拳を突き出した。

「俺がお前を倒す!」
「やれやれ・・・ようやく話が終わったようですね・・・では、私は魔王とラエルさんを殺してメルさんを王城に連れて帰りましょうか」
「そんな事させねーよ!」

 サタンは拳を握りしめてツラリに向かって走っていった。


 しばらくサタンとツラリの攻防が続く。サタンが殴ったのをかわすツラリ。ツラリがドリルを突き出すのをかわすサタン。

「流石自分を魔王とだけ言うだけあってなかなかやりますね・・・私のドリル攻撃をかわすなんて」
「お前の攻撃をかわすなんて簡単な事だ!」
「では、これならどうですか?」

 ツラリはもう一方の手もドリルに変えた。

「フルモードです・・・いきます!」

 右、左、右、左とドリルが交互にサタンを襲っていく。

 クソ・・・かわすのがやっとだ・・・!

 サタンはドリルをかわすのが精一杯で防戦一方になっていた。

「さっきまでの意気込みはどうしました?」
「うるせぇ・・・!」

 悔しいけどアイツの言う通りだ・・・素手じゃドリルに敵わない・・・何か武器があれば・・・

 サタンは辺りを見回した。そして、見つけた。

 あるじゃねぇか・・・メルの大剣が!

「メルその剣を投げてくれ」

 サタンはメルに向かって叫んだ。
 メルは大剣をサタンに向かって投げた。

 サタンは当然掴む事は出来ない。しかし、地面に突き刺さった大剣を拾い後退しながらツラリのドリルを防御する。

 それでも大剣一本では攻撃まで出来ない。

「そらそらそらそらぁ!」

 ツラリの攻撃についに持っていた大剣まではじきとばされた。

「クソ・・・」
「あ~はっはっ魔王と言ってもその程度何ですか?」

 ドリルをサタンに突きつけてゆっくりと近づくツラリ。

 別に死ぬのが怖くて躊躇してるわけじゃない・・・多少はあるけど・・・っと、それよりもどうやってドリルをかわすか・・・だ!

 そんな事を考えていたサタンは足を地面の出っぱっているところにとられて転けた。

 なんでこんな感じんな時に・・・!

「ほら、刺されて死んでください――」

 ドスっと鈍い音が聞こえた。砂ぼこりが舞いサタンの姿が見えなくなった。

「サタンっ!」

 メルはサタンの体がドリルに貫通されたと思った――。

 否――砂ぼこりが消え貫かれたと思われたサタンの体は人間ではあり得ないくらいに曲がっていた。

「えええーーー!?」

 サタンは驚きのあまり叫んでいた。サタンを見ていた人は全員驚いた。

「何故あなたが驚いているんですかーー!?」

 ツラリも目をぎょっとさせて驚く。

 な、なんで、急にこんな曲がりかたしたんだ俺!?
 ――これが、お前の中に入った俺の能力だよ。

 サタンに直接話しかけてくるアンドロ。

 ア、アンドロ!?
 ――前に言ったこと覚えてるか? 変身《マキシム》って言うとビックリする事が起きるって。
 あ、ああ。
 ――その時が今だよ・・・さあ、叫べサタンっ! お前の魂を込めて!

 サタンは魂を込めて叫んだ。

「変身《マキシム》ーーー!!!」

 すると――サタンの体からまばゆい輝きが放たれた。
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