魔王が最弱でスライムが最強の世界!?

クソニート

文字の大きさ
27 / 156
第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです

第29話 一緒に住みませんか②

しおりを挟む
「はあぁ~~お母さんと一緒にお風呂に入るなんて何年ぶりだろ~」

 お風呂に浸かりながら幸せの息を漏らしながらメルが呟く。

「本当に久しぶりね~まさかまたメルとお風呂に入れる日がくるなんて思ってもみなかったわ」

 ラエルも体を洗い終えメルを抱きしめながら湯ぶねに浸かった。
 ふにょんふにょん――メルの背中にラエルのやわらかくて大きな胸の感触が伝わる。

「むー・・・私のも、もう少し大きくならないかな・・・」

 メルは自分の胸に手を当てる。ペタペタという訳ではないがやはりもう少し大きくなってほしいメル。

「大丈夫よメルにも私の血が流れているんだからそのうちきっと大きくなるわよ!」
「そうかな~そうだといいけどさ~」

 ブクブクと湯船に口を入れて泡を吹きながら答えるメル。

「メルさん、ラエルさん! お着替えここに置いておきますよ~」

 風呂のドアをノックして声をかけるアズラ。

「あ、ありがとうアズラ」
「は~い」

 パタパタとアズラがかけていく音が聞こえる。

「本当にサタン君といい、アズラちゃんといい、魔界には良い人ばかりね」
「うん!」

(ま、人っていうよりも魔王と悪魔・・・なんだけど――)


 う~む・・・たまには外で一人ってのもなかなかいいもんだな!

 サタンは一人地面に仰向けで寝転び星空を眺めていた。リエノア村で見た景色とは違い綺麗な満天星だ。

「サタンさ~ん、お待たせしました~テント持ってきましたよ~」

 アズラがたたまれているテントを持ってサタンの元へ走ってきた。

「そんなに、急がなくても良かったんだぞ」
「いえいえ、いつまでもサタンさんを放ってなんておけませんから!」

 胸をはりえっへんという感じで言うアズラ。アズラの大きな胸がたわわんと揺れる。
 サタンは目を反らして「ありがとうな」とだけ返事した。


「さぁ、張り切って組み立てていきましょう!」
「俺組み立て方なんて分からねーぞ」
「私が教えるから大丈夫です! それに簡単ですから」

 サタンはアズラにテントの組み立て方の説明を受けてテントを組み立てた。説明を受けて二人で組み立ててみると実際に簡単でテントはすぐに完成した。

「こんなにもすぐに出来るもんなんだな」
「二人ですからね~さ、サタンさん入ってみてください」

 アズラはテントの入り口を開けてサタンを中に入るよう促す。

「あ、ああ」

 サタンは恐る恐るテントの中へ入ってみる。入ってみると中は意外と広くて暖かかった。

「どうですか?」
「なかなかいいな!」
「でしょ! これがキャンプです!」
「キャンプ・・・?」

 サタンは聞き慣れない言葉に反応した。

「キャンプというのはですね、外でご飯を食べたり、友達と一緒にわいわい騒いだり、こうやって外で寝たりして楽しむ事を言うんですよ」
「へ~これがキャンプ・・・人生初だ!」

 サタンは人生初のキャンプに割りと感動していた。

「そう言えば、メルやラエルさんやリエノア村の人達は?」
「皆さんもうお休みになられました」
「そっか・・・色々あったもんな・・・」
「メルさんとラエルさんは同じ布団で寝ていました。寝る前まで二人で盛りあがってたみたいです」
「なら良かった・・・」

 サタンは風呂に入れないので外で体を軽く水で洗ってからいつものジャージに着替えた。制服はメルに渡したので制服の下に着ていたシャツがもうボロボロだ。その間、アズラは城に戻ってサタンの為に夜食を作っていた。

 やっぱり、これが落ち着くな・・・

 いつものジャージに着替えたサタンはテントに戻った。しばらくして、おにぎりを持ったアズラがテントに帰ってきた。

 サタンとアズラは二人で話ながらおにぎりを食べた。

「なんだかこうしてサタンさんと二人でご飯を食べるのも久しぶりですね~」
「そうだな。最近はメルが一緒だったからな」
「ふふ・・・リエノア村の皆さんには少し申し訳ないですけどサタンさんと二人でご飯を食べれて嬉しいです!」
「そうか?」
「はい!」

 ったく・・・可愛い悪魔だ!

 サタンはアズラの満面の笑みに頬を赤くした。


「アズラももう城に戻っていいんだぞ。いきなり沢山動いて疲れただろ?」

 おにぎりも食べ終えると辺りは大分真っ暗になっていた。サタンは城とテントの距離は目と鼻の先だがアズラに何かあってはいけないと思いアズラを城まで送ろうと立った。

「私は大丈夫です。それよりサタンさん座ってください」

 サタンはアズラに言われてアズラの隣に腰をおろした。
 すると、アズラはサタンの頭を抱いた。

「え・・・アズラ・・・?」

 サタンがいきなりの事に動揺しているとアズラは手を動かしサタンの頭を優しく自分の太ももへと誘導する。

「ア、アズラ・・・? これは一体・・・?」
「何ですか・・・?」
「この状況が何か聞いてるんだ・・・」
「これですか? これはひざ枕って言うんですよ・・・」

 サタンはアズラの太ももの上に頭を置かされていた。

「そんなことは流石の俺でも知ってる・・・世の中の全男の憧れだって――って、そうじゃなくて、なんでいきなり・・・?」
「私のひざ枕じゃ嫌でしたか・・・?」
「嫌なわけないだろ! アズラみたいにこんなにも可愛いのにひざ枕なんて・・・他の男が羨ましがる・・・!」

 アズラの太ももはとても気持ち良かった。サタンの頬に感じる柔らかい感触。鼻に漂ってくるアズラのいい香り。まさに天国にいるような気分になるサタン。

「それは・・・良かったです・・・」

 アズラは少し照れながらサタンの頭を優しくなでる。サタンはドキドキして鼓動が早くなる。

 これがひざ枕・・・なんて気持ちよくて最高なんだ! しかも、アズラみたいな超絶美少女とか・・・これも、あれか? アイツが言ってたラノベ展開ってやつなのか!?

「サタンさん・・・今日は本当にお疲れ様でした・・・学校に行って、メルさんとラエルさんを守って、皆さんのために戦って皆さんのために頑張って・・・私はそこにいなかったので分かりませんがサタンさんの頑張りは凄かったと確信しています・・・!」
「べ、別に、俺は魔王としてたまには魔王らしいところを見せようとな・・・そ、それより、ほら、あれ、足し算。そう、足し算! 俺出来るようになったんだよ! この前の1+1は2だろ!?」

 サタンは無理に元気なところをアズラに見せないようにしたが、アズラはしっかりと見抜いていた。

「ええ・・・正解です・・・! 勉強もして賢くなって・・・今日はもうお休みください・・・」
「でも・・・」

 サタンはさっきまであんな事があったので今夜は寝ないで一人で城の見張りをしようと思っていた。

「大丈夫・・・私がいます・・・! サタンさんも一人ではないんですよ・・・!」

 俺は心のどこかで孤独感でも感じていたんだろうか?

 アズラに言われてサタンの心が確かに揺らいだ。

 俺には親の記憶がない。それどころかどうして俺が死んだのかも分からない・・・ただやっぱり・・・メルやラエルさん、リエノア村の皆を見て既に知っていたと思っていた一人でいるという事の悲しさを、家族というのを見て俺は改めて一人は悲しいんだと思った・・・けど――

『私がいます!』

 アズラの言葉に救われた気がした。アズラと俺は互いに独り・・・だけど、今は違う!

 そう思うとサタンはなんだか泣きそうになった。目がうるうるとしてくる。そして、サタンの心につまっている何かが抜けていく気がした。

「・・・っ、そ、そうか・・・? じゃあ・・・」
「はい・・・ゆっくりとお休みなさい・・・」

 サタンはアズラに涙を見せまいと目を瞑った。

「サタンさん・・・もう眠るなんて・・・本当一日頑張ったんですね・・・ゆっくりと寝てください・・・」

 サタンは目を瞑るとはりつめていた気が抜けたのかすぐに眠った。

「大丈夫です・・・サタンさんはもう独りではないですからね・・・!」

(そして、私ももう――)

 アズラはサタンの頭を優しくなで続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

キモおじさんの正体は…

クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。 彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。 その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。 だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...