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第一話 怪我した青い小鳥
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「こほぉ、こほぉ……」
今日も咳が止まらない。このまま良くなる日は来ないのかもしれない。
窓の外の世界は寒そうだ。ヒューと冷たい風が吹いている。
暖かいベッドから出たら、きっともっと病気が悪くなると思う。
そしたら、お父さんとお母さんがもっと心配する。
僕はこのベッドから一生出ない方がいいんだ。
もうこれ以上、誰にも迷惑かけたくない。
「ピピピィ」
「こほぉ、こほぉ……鳥さんはいいなぁ。僕も自由に空を飛べたらよかったのに……」
青空を元気に飛び回る、三羽の茶色い小鳥が見えた。
僕の身体はとても弱い。生まれてから一度も走ったことがない。
体調が悪い時は家の中を歩いただけでも、とても疲れてしまう。
だから、こうやって窓の外を眺めることしか出来ない。
誰かが通るのを、雨が降るのを、木の緑色の葉が茶色になって落ちるのを。
「あれは……何だろう?」
木の下、緑色の雑草に隠れて青い何かが見える。とても鮮やかな青色をしている。
小さいからハンカチだろうか。何処かの家の洗濯物が風に飛ばされたのだろうか。
「あっ」
でも、違うみたいだ。青い何かが動いた。よろよろと動いている。
ジッと目をこらして見てみると、やっと何なのか分かった。
「鳥だ。怪我してるのかな?」
ツバメみたいな細い身体をした、綺麗な青い鳥がよろよろ歩いている。
体調が悪い時の僕と同じだ。僕も歩くのが辛い時はあんな風になる。
「どうしよう……」
助けないと可哀想だ。
でも、お母さんは家にいない。お父さんは仕事で家にいない日が多い。
僕は外に出たらいけない。誰かが助けてくれるのを待つしかない。
「あっ、わぁっ、ああっ!」
駄目だ。心配で見ていられない。今にも鳥さんは力尽きてしまいそうだ。
歩こうとしては倒れている。誰かを待つ時間なんてない。
僕がやるしかない。助けられるか分かんないけど、僕が助ける番が来たんだと思う。
「ぐぅぅぅ!」
杖を頼りにベッドから立ち上がった。今日の体調は良い方だからきっと大丈夫だ。
悪い時は村一番のお婆さんと競走しても負けるけど、今日なら良い勝負できると思う。
それでも無理せずに一歩一歩慎重に進んでいく。
部屋を出ると廊下だ。僕にとっては長い廊下だ。
右手には杖、左手は壁をついて、両手で身体を支えて進んでいく。
「ハァハァ」
ちょっと胸が苦しくなってきた。世界が回っているみたいだ。
鳥さんよりも先に僕の方が力尽きてしまいそうだ。
でも、今、頑張らないとダメだ。僕の人生を助けられるだけの人生で終わらせたくない。
僕だって、誰かを助けたい。このままでいいなんて思っていない。
僕だって、頑張れば何か出来るって信じたい。
「あとちょっと……」
玄関の扉を開けた。右に曲がって、僕の部屋の窓に向かって歩いていく。
もう一度右に曲がると僕の部屋の窓が見えた。その窓の先にある木の下に青い鳥がいた。
地面に倒れている。ゆっくりだけど、僕の最大速度で向かった。
「ハァハァ、もう大丈夫だよ」
地面に座り込むと鳥さんに笑顔で言った。
鳥さんは目を閉じて反応がない。
左手を伸ばして手の平に乗せようとすると……
「ピィーッ!」
「痛っ……!」
飛び起きて鋭いクチバシで左手を突かれてしまった。
手の平に赤い血の線が出来ている。刃物で切られた傷みたいだ。
痛いけど、少しだけだ。引っかかれた程度の小さな傷だ。
きっと怖い目にあったんだと思う。右手に持つ杖を捨てて、両手の手の平を見せて笑顔で言った。
「大丈夫だよ。僕は君を傷つけたりしないから。ほらねぇ?」
「…………」
ジッと小さな目で見ている。
笑顔で見つめていると、その目を閉じて、地面に寝てしまった。
どうやら分かってくれたみたいだ。両手の手の平に優しく乗せると立ち上がった。
傷薬なら人間用ならある。あと用意する物は水と食べ物だ。
しっかり食べて休めば元気になるとお母さんも言っている。
この日から僕の生活はちょっとだけ変わった。僕の生活にピーちゃんが加わった。
食べ物はパンクズよりも木の実の方が好きみたいだ。
大きな木の実は砕いて、食べやすい大きさにするのが僕の仕事だ。
窓の外を眺めるよりも、ピーちゃんの為に頑張る方がずっと楽しい。
でも、ピーちゃんが元気になったら、さよならしなくちゃならない。
今は楽しいけど、その日が来ると思うとちょっと寂しいなぁ。
今日も咳が止まらない。このまま良くなる日は来ないのかもしれない。
窓の外の世界は寒そうだ。ヒューと冷たい風が吹いている。
暖かいベッドから出たら、きっともっと病気が悪くなると思う。
そしたら、お父さんとお母さんがもっと心配する。
僕はこのベッドから一生出ない方がいいんだ。
もうこれ以上、誰にも迷惑かけたくない。
「ピピピィ」
「こほぉ、こほぉ……鳥さんはいいなぁ。僕も自由に空を飛べたらよかったのに……」
青空を元気に飛び回る、三羽の茶色い小鳥が見えた。
僕の身体はとても弱い。生まれてから一度も走ったことがない。
体調が悪い時は家の中を歩いただけでも、とても疲れてしまう。
だから、こうやって窓の外を眺めることしか出来ない。
誰かが通るのを、雨が降るのを、木の緑色の葉が茶色になって落ちるのを。
「あれは……何だろう?」
木の下、緑色の雑草に隠れて青い何かが見える。とても鮮やかな青色をしている。
小さいからハンカチだろうか。何処かの家の洗濯物が風に飛ばされたのだろうか。
「あっ」
でも、違うみたいだ。青い何かが動いた。よろよろと動いている。
ジッと目をこらして見てみると、やっと何なのか分かった。
「鳥だ。怪我してるのかな?」
ツバメみたいな細い身体をした、綺麗な青い鳥がよろよろ歩いている。
体調が悪い時の僕と同じだ。僕も歩くのが辛い時はあんな風になる。
「どうしよう……」
助けないと可哀想だ。
でも、お母さんは家にいない。お父さんは仕事で家にいない日が多い。
僕は外に出たらいけない。誰かが助けてくれるのを待つしかない。
「あっ、わぁっ、ああっ!」
駄目だ。心配で見ていられない。今にも鳥さんは力尽きてしまいそうだ。
歩こうとしては倒れている。誰かを待つ時間なんてない。
僕がやるしかない。助けられるか分かんないけど、僕が助ける番が来たんだと思う。
「ぐぅぅぅ!」
杖を頼りにベッドから立ち上がった。今日の体調は良い方だからきっと大丈夫だ。
悪い時は村一番のお婆さんと競走しても負けるけど、今日なら良い勝負できると思う。
それでも無理せずに一歩一歩慎重に進んでいく。
部屋を出ると廊下だ。僕にとっては長い廊下だ。
右手には杖、左手は壁をついて、両手で身体を支えて進んでいく。
「ハァハァ」
ちょっと胸が苦しくなってきた。世界が回っているみたいだ。
鳥さんよりも先に僕の方が力尽きてしまいそうだ。
でも、今、頑張らないとダメだ。僕の人生を助けられるだけの人生で終わらせたくない。
僕だって、誰かを助けたい。このままでいいなんて思っていない。
僕だって、頑張れば何か出来るって信じたい。
「あとちょっと……」
玄関の扉を開けた。右に曲がって、僕の部屋の窓に向かって歩いていく。
もう一度右に曲がると僕の部屋の窓が見えた。その窓の先にある木の下に青い鳥がいた。
地面に倒れている。ゆっくりだけど、僕の最大速度で向かった。
「ハァハァ、もう大丈夫だよ」
地面に座り込むと鳥さんに笑顔で言った。
鳥さんは目を閉じて反応がない。
左手を伸ばして手の平に乗せようとすると……
「ピィーッ!」
「痛っ……!」
飛び起きて鋭いクチバシで左手を突かれてしまった。
手の平に赤い血の線が出来ている。刃物で切られた傷みたいだ。
痛いけど、少しだけだ。引っかかれた程度の小さな傷だ。
きっと怖い目にあったんだと思う。右手に持つ杖を捨てて、両手の手の平を見せて笑顔で言った。
「大丈夫だよ。僕は君を傷つけたりしないから。ほらねぇ?」
「…………」
ジッと小さな目で見ている。
笑顔で見つめていると、その目を閉じて、地面に寝てしまった。
どうやら分かってくれたみたいだ。両手の手の平に優しく乗せると立ち上がった。
傷薬なら人間用ならある。あと用意する物は水と食べ物だ。
しっかり食べて休めば元気になるとお母さんも言っている。
この日から僕の生活はちょっとだけ変わった。僕の生活にピーちゃんが加わった。
食べ物はパンクズよりも木の実の方が好きみたいだ。
大きな木の実は砕いて、食べやすい大きさにするのが僕の仕事だ。
窓の外を眺めるよりも、ピーちゃんの為に頑張る方がずっと楽しい。
でも、ピーちゃんが元気になったら、さよならしなくちゃならない。
今は楽しいけど、その日が来ると思うとちょっと寂しいなぁ。
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