マスターズ‼︎老人達のサバイバル奮闘記‼︎〜ヌイグルミ達の異世界で一流職人を目指します〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
13 / 58
第1章・異世界転移編

第13話・日本人完敗

しおりを挟む
 意外とハナの左肩の傷は深いです。急いで治療しないと出血死する可能性もあります。なんとか血が止まっても、肉が腐ってしまうのも時間の問題です。この異世界を人間のままで生きるのは難しいようです。そして1番の問題はとにかく痛いです。

「ゼェ~…ゼェ~…ミッキーマウスは嫌い…」(ついでにピカチュウも嫌い。)

「まさかネズミに殺されるとはな。」(あとミッキーは全然悪くないぞ。)

「亜紀斗さん!ハナさんはまだ死んでいませんよ!ルミルミさん、街に到着すれば治療出来ますよね?」

 ハナは車椅子でグッタリとしています。虫の息です。本人は少し前まで死にたがっていたので丁度いいかもしれません。生前の希望通りにこのまま安らかに死なせてあげるのも優しさかもしれません。

「人グルミン用の治療薬はあるルミ。僕の力で反グルミン化すれば人間にも使えるようになるルミ。でも、効果は不明ルミ。試してみて駄目なら諦めるんだルミ。」

「…な…何でもいいから…早く助けて…」(死んだら殺せない。)

「ハナちゃん、喋ったら駄目ですよ!体力は温存しないと助かるものも助かりませんよ!」

「…うるせいババア…何で私が刺されて…お前小夜が…」

「ハナちゃん………」

 ハナは意識が朦朧もうろうとしているのか、誰かれ構わずに当たり散らしています。でも、すぐに静かになるので放って置きましょう。それが優しさなんです。

「源さん、このままじゃヤバイよな?どうにかならねぇのかよ。」

「あぁ、そうだな。この辺に生えてる草綿に薬草でもあれば少しは違うとは思うんだが、済まん俺には分からん。ルミルミさん、傷を治す植物はないだろうか?」

「あるルミ。癒し草と治し草の2つがあるルミ。でも、そのまま使っても効果はほとんどないルミ。だから調合職人に頼んで治療薬を作ってもらうしかないルミ。多分、クマクマが治療薬を何本か持ってるから分けて貰うルミ。」

 送迎車の巨大なヌイグルミを運びながら、源造とハチは、ハナを助ける方法を話し合っていました。ルミルミが教えてくれた効果が低い薬草を探すのも時間稼ぎにはなりそうですが、やはり街に急いで到着する方が助かる見込みがありそうです。車椅子を押す弦音の腕にもいつも以上の力が入ります。

 ❇︎

「あっ!やっぱりクマクマ達が迎えに来てくれていたルミ。おーい、おーい、僕は人質じゃないルミよぉ~。攻撃したら駄目ルミよぉ~。」

 早めに言わないと斧や槍でハナがトドメを刺されてしまいます。やっぱり目の前の亜人4人の武器は物グルミン化が解除されて、反グルミン化されていました。布と綿の武器から、重量感のある鉄の武器に変化しています。

「チュウタから話は聞いたクマ。でも、人間がマスターズに選ばれたなんて聞いた事がないクマ。そいつらがインチキしたかもしれないクマ。キチンと調べるべきだクマ。」(身体検査クマ。)

「それはないルミ。間違いなく伝説の聖石に選ばれたマスターズなんだルミ。クマクマ、1人怪我してるから治療薬を分けて欲しいルミ。」

「人間にはその辺の草綿で十分だウキ。それに血を流しているのなら、その女はマスターズじゃないウキ。ただの人間は用無しなんだウキ。さっさと捨てて来るんだウキ。」

 どうやら異世界人は歓迎されないようです。もしかして、源造達が日本人だからでしょうか。もしも、源造達がアメリカ人ならば大歓迎してくれたかもしれません。

「頼む。仲間が怪我をしているんだ。治療薬を分けて欲しい。治療薬を分けて貰えるのなら、俺に出来る事は何でもするつもりだ。だから頼む!治療薬を分けて欲しい。」

「いいや、源さんだけじゃねぇ!俺も何でもしてやるよ!ここにいる全員、仲間を助けてくれるなら何でもする覚悟は出来ている。さあ、何でも言ってくれ。」

「私も何でもします!だから、ハナさんを助けてください!クマクマさん、お願いします!」

「「「………」」」

 源造、ハチ、弦音は亜人達の前に出て、ハナを助けて欲しいとお願いします。でも、残りの4人は動きません。1人は動けないとしても、残りの3人はまだまだ様子を見ています。ちょっと慎重過ぎです。

「1、2、3人だけクマか?全員が同じ気持ちではないようクマね。別に治療薬を分けてもいいクマ。でも、3人の誰か1人でもマスターズの資格があるか試験させてもらうクマ。ウキウキ、ちょっと3人の相手をしてやるんだクマ。」(力の差を教えてやるんだクマ。)

「分かったウキ。3人まとめて、かかって来るんだウキ。根性見せるんだウキ。」

ウキウキ猿の亜人】:戦闘能力Cランク。武器・皮のグローブ攻撃力24。亜人五人衆の1人。皮のボクシンググローブをはめて、強力なパンチと素早いフットワークで相手を翻弄ほんろうする。入手アイテム・猿の手。

 どうやら戦闘能力を見たい訳ではないようです。マスターズは伝説の職人であって、伝説の戦士ではありません。パンパンとボクシンググローブを鳴らして、猿のウキウキとの戦いが始まりました。

「ウィーー♪ラリアット‼︎」(必殺の首ギロチンだぜ!)

(遅いウキ!)「クロスカウンター魔の十字路」『パァーグン‼︎』

「ぐぅべぇ‼︎」『バァタン‼︎』

 ハチは大好きなプロレスラー・スタンハンセンのラリアットで勝負に出ました。右腕を上げて突っ込んで行きましたが、ウキウキの強烈な右拳のクロスカウンターを喰らって、土綿の地面に倒されてしまいました。ハァ~、まったく日本人の恥晒しです。

「源造さん!1人じゃ勝てません。2人で戦いましょう!」(このお猿さん強いです!)

「あぁ、分かってる!行くぞ!」『ダッー!』

今度は源造が勇敢にタックル渾身の体当たりでウキウキに突っ込んで行きました。体格的には源造が有利かもしれませんが、ウキウキはボクサーではありません。キックボクサーです!

(速いウキ!)「でも、無駄ウキ!」『ドォシン!』

「おっふ!」(蹴りだと⁈)

 強烈な膝蹴りが源造の顎を直撃しました。意識を失いかけましたが、それでも何とか意地で踏ん張ります。日本人がこの程度で倒される訳には行きません。

『ガァツ!』「まだまだ!弦音ちゃん、俺がコイツを押さえているから、攻撃してくれ!ぐぅ…早く…」

「えっ!えっ~~と?」(首を絞めたらいいのかな?)

 喧嘩など一度もした事がない平成生まれの女の子が、いきなり戦える訳がありません。殴る事も蹴る事も出来ず、その場で右往左往するだけで役に立ちません。無意味な時間が流れるだけでした。

「こっちは手加減しているウキよ。ほらほら、離れないと殴られるだけウキ。ほらほら、頑張っても痛いだけウキよ♪」『ボフゥ!ガァン!ポフゥポフゥ!』

「ぐぅっ…ううっ…クソったれめ…」

 源造とハチはコテンパンにやられてしまいました。ヌイグルミの身体になった事で若い頃と同じぐらいに動けましたが、実力差があり過ぎました。ウキウキの執拗な連続攻撃を必死に耐えていた源造もついに力尽きました。

「フッ♪もういいクマ。こんなに弱いなんて驚きクマ。治療薬はあげるクマが、街に住む事は許さないクマ。街の端に空き地があるから、そこで暮らすんだクマ。全員がマスターズになれたら、家ぐらいは用意してやるんだクマ。」(戦闘能力はFランク程度クマか。ある意味、安心したクマ。)

「やっぱり日本人は贅沢に慣れているピョン。ハングリー精神がないピョン。そんなに弱いと街の外に出ても、獣グルミンにすぐにやられるだけなんだピョン。マスターズ失格だピョン。」

 どうやら、クマクマ達は日本人は根性もやる気も向上心もない民族だと決めつけているようです。日本の高度経済成長を支えた70代、80代を完全に舐めています。

 ◆次回に続く◆


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~

スィグトーネ
ファンタジー
 年収が低く、非正規として働いているため、決してモテない男。  それが、この物語の主人公である【東龍之介】だ。  そんな30歳の弱者男は、飲み会の帰りに偶然立ち寄った神社で、異世界へと移動することになってしまう。  異世界へ行った男が、まず出逢ったのは、美しい紫髪のエルフ少女だった。  彼女はエルフの中でも珍しい、2柱以上の精霊から加護を受けるハイエルフだ。  どうして、それほどの人物が単独で旅をしているのか。彼女の口から秘密が明かされることで、2人のワークライフがはじまろうとしている。 ※この物語で使用しているイラストは、AIイラストさんのものを使用しています。 ※なかには過激なシーンもありますので、外出先等でご覧になる場合は、くれぐれもご注意ください。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...