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第1章・異世界転移編
第13話・日本人完敗
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意外とハナの左肩の傷は深いです。急いで治療しないと出血死する可能性もあります。なんとか血が止まっても、肉が腐ってしまうのも時間の問題です。この異世界を人間のままで生きるのは難しいようです。そして1番の問題はとにかく痛いです。
「ゼェ~…ゼェ~…ミッキーマウスは嫌い…」(ついでにピカチュウも嫌い。)
「まさかネズミに殺されるとはな。」(あとミッキーは全然悪くないぞ。)
「亜紀斗さん!ハナさんはまだ死んでいませんよ!ルミルミさん、街に到着すれば治療出来ますよね?」
ハナは車椅子でグッタリとしています。虫の息です。本人は少し前まで死にたがっていたので丁度いいかもしれません。生前の希望通りにこのまま安らかに死なせてあげるのも優しさかもしれません。
「人グルミン用の治療薬はあるルミ。僕の力で反グルミン化すれば人間にも使えるようになるルミ。でも、効果は不明ルミ。試してみて駄目なら諦めるんだルミ。」
「…な…何でもいいから…早く助けて…」(死んだら殺せない。)
「ハナちゃん、喋ったら駄目ですよ!体力は温存しないと助かるものも助かりませんよ!」
「…うるせいババア…何で私が刺されて…お前が…」
「ハナちゃん………」
ハナは意識が朦朧としているのか、誰かれ構わずに当たり散らしています。でも、すぐに静かになるので放って置きましょう。それが優しさなんです。
「源さん、このままじゃヤバイよな?どうにかならねぇのかよ。」
「あぁ、そうだな。この辺に生えてる草綿に薬草でもあれば少しは違うとは思うんだが、済まん俺には分からん。ルミルミさん、傷を治す植物はないだろうか?」
「あるルミ。癒し草と治し草の2つがあるルミ。でも、そのまま使っても効果はほとんどないルミ。だから調合職人に頼んで治療薬を作ってもらうしかないルミ。多分、クマクマが治療薬を何本か持ってるから分けて貰うルミ。」
送迎車の巨大なヌイグルミを運びながら、源造とハチは、ハナを助ける方法を話し合っていました。ルミルミが教えてくれた効果が低い薬草を探すのも時間稼ぎにはなりそうですが、やはり街に急いで到着する方が助かる見込みがありそうです。車椅子を押す弦音の腕にもいつも以上の力が入ります。
❇︎
「あっ!やっぱりクマクマ達が迎えに来てくれていたルミ。おーい、おーい、僕は人質じゃないルミよぉ~。攻撃したら駄目ルミよぉ~。」
早めに言わないと斧や槍でハナがトドメを刺されてしまいます。やっぱり目の前の亜人4人の武器は物グルミン化が解除されて、反グルミン化されていました。布と綿の武器から、重量感のある鉄の武器に変化しています。
「チュウタから話は聞いたクマ。でも、人間がマスターズに選ばれたなんて聞いた事がないクマ。そいつらがインチキしたかもしれないクマ。キチンと調べるべきだクマ。」(身体検査クマ。)
「それはないルミ。間違いなく伝説の聖石に選ばれたマスターズなんだルミ。クマクマ、1人怪我してるから治療薬を分けて欲しいルミ。」
「人間にはその辺の草綿で十分だウキ。それに血を流しているのなら、その女はマスターズじゃないウキ。ただの人間は用無しなんだウキ。さっさと捨てて来るんだウキ。」
どうやら異世界人は歓迎されないようです。もしかして、源造達が日本人だからでしょうか。もしも、源造達がアメリカ人ならば大歓迎してくれたかもしれません。
「頼む。仲間が怪我をしているんだ。治療薬を分けて欲しい。治療薬を分けて貰えるのなら、俺に出来る事は何でもするつもりだ。だから頼む!治療薬を分けて欲しい。」
「いいや、源さんだけじゃねぇ!俺も何でもしてやるよ!ここにいる全員、仲間を助けてくれるなら何でもする覚悟は出来ている。さあ、何でも言ってくれ。」
「私も何でもします!だから、ハナさんを助けてください!クマクマさん、お願いします!」
「「「………」」」
源造、ハチ、弦音は亜人達の前に出て、ハナを助けて欲しいとお願いします。でも、残りの4人は動きません。1人は動けないとしても、残りの3人はまだまだ様子を見ています。ちょっと慎重過ぎです。
「1、2、3人だけクマか?全員が同じ気持ちではないようクマね。別に治療薬を分けてもいいクマ。でも、3人の誰か1人でもマスターズの資格があるか試験させてもらうクマ。ウキウキ、ちょっと3人の相手をしてやるんだクマ。」(力の差を教えてやるんだクマ。)
「分かったウキ。3人まとめて、かかって来るんだウキ。根性見せるんだウキ。」
【ウキウキ】:戦闘能力Cランク。武器・皮のグローブ。亜人五人衆の1人。皮のボクシンググローブをはめて、強力なパンチと素早いフットワークで相手を翻弄する。入手アイテム・猿の手。
どうやら戦闘能力を見たい訳ではないようです。マスターズは伝説の職人であって、伝説の戦士ではありません。パンパンとボクシンググローブを鳴らして、猿のウキウキとの戦いが始まりました。
「ウィーー♪ラリアット‼︎」(必殺の首ギロチンだぜ!)
(遅いウキ!)「クロスカウンター」『パァーグン‼︎』
「ぐぅべぇ‼︎」『バァタン‼︎』
ハチは大好きなプロレスラー・スタンハンセンのラリアットで勝負に出ました。右腕を上げて突っ込んで行きましたが、ウキウキの強烈な右拳のクロスカウンターを喰らって、土綿の地面に倒されてしまいました。ハァ~、まったく日本人の恥晒しです。
「源造さん!1人じゃ勝てません。2人で戦いましょう!」(このお猿さん強いです!)
「あぁ、分かってる!行くぞ!」『ダッー!』
今度は源造が勇敢にタックルでウキウキに突っ込んで行きました。体格的には源造が有利かもしれませんが、ウキウキはボクサーではありません。キックボクサーです!
(速いウキ!)「でも、無駄ウキ!」『ドォシン!』
「おっふ!」(蹴りだと⁈)
強烈な膝蹴りが源造の顎を直撃しました。意識を失いかけましたが、それでも何とか意地で踏ん張ります。日本人がこの程度で倒される訳には行きません。
『ガァツ!』「まだまだ!弦音ちゃん、俺がコイツを押さえているから、攻撃してくれ!ぐぅ…早く…」
「えっ!えっ~~と?」(首を絞めたらいいのかな?)
喧嘩など一度もした事がない平成生まれの女の子が、いきなり戦える訳がありません。殴る事も蹴る事も出来ず、その場で右往左往するだけで役に立ちません。無意味な時間が流れるだけでした。
「こっちは手加減しているウキよ。ほらほら、離れないと殴られるだけウキ。ほらほら、頑張っても痛いだけウキよ♪」『ボフゥ!ガァン!ポフゥポフゥ!』
「ぐぅっ…ううっ…クソったれめ…」
源造とハチはコテンパンにやられてしまいました。ヌイグルミの身体になった事で若い頃と同じぐらいに動けましたが、実力差があり過ぎました。ウキウキの執拗な連続攻撃を必死に耐えていた源造もついに力尽きました。
「フッ♪もういいクマ。こんなに弱いなんて驚きクマ。治療薬はあげるクマが、街に住む事は許さないクマ。街の端に空き地があるから、そこで暮らすんだクマ。全員がマスターズになれたら、家ぐらいは用意してやるんだクマ。」(戦闘能力はFランク程度クマか。ある意味、安心したクマ。)
「やっぱり日本人は贅沢に慣れているピョン。ハングリー精神がないピョン。そんなに弱いと街の外に出ても、獣グルミンにすぐにやられるだけなんだピョン。マスターズ失格だピョン。」
どうやら、クマクマ達は日本人は根性もやる気も向上心もない民族だと決めつけているようです。日本の高度経済成長を支えた70代、80代を完全に舐めています。
◆次回に続く◆
「ゼェ~…ゼェ~…ミッキーマウスは嫌い…」(ついでにピカチュウも嫌い。)
「まさかネズミに殺されるとはな。」(あとミッキーは全然悪くないぞ。)
「亜紀斗さん!ハナさんはまだ死んでいませんよ!ルミルミさん、街に到着すれば治療出来ますよね?」
ハナは車椅子でグッタリとしています。虫の息です。本人は少し前まで死にたがっていたので丁度いいかもしれません。生前の希望通りにこのまま安らかに死なせてあげるのも優しさかもしれません。
「人グルミン用の治療薬はあるルミ。僕の力で反グルミン化すれば人間にも使えるようになるルミ。でも、効果は不明ルミ。試してみて駄目なら諦めるんだルミ。」
「…な…何でもいいから…早く助けて…」(死んだら殺せない。)
「ハナちゃん、喋ったら駄目ですよ!体力は温存しないと助かるものも助かりませんよ!」
「…うるせいババア…何で私が刺されて…お前が…」
「ハナちゃん………」
ハナは意識が朦朧としているのか、誰かれ構わずに当たり散らしています。でも、すぐに静かになるので放って置きましょう。それが優しさなんです。
「源さん、このままじゃヤバイよな?どうにかならねぇのかよ。」
「あぁ、そうだな。この辺に生えてる草綿に薬草でもあれば少しは違うとは思うんだが、済まん俺には分からん。ルミルミさん、傷を治す植物はないだろうか?」
「あるルミ。癒し草と治し草の2つがあるルミ。でも、そのまま使っても効果はほとんどないルミ。だから調合職人に頼んで治療薬を作ってもらうしかないルミ。多分、クマクマが治療薬を何本か持ってるから分けて貰うルミ。」
送迎車の巨大なヌイグルミを運びながら、源造とハチは、ハナを助ける方法を話し合っていました。ルミルミが教えてくれた効果が低い薬草を探すのも時間稼ぎにはなりそうですが、やはり街に急いで到着する方が助かる見込みがありそうです。車椅子を押す弦音の腕にもいつも以上の力が入ります。
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「あっ!やっぱりクマクマ達が迎えに来てくれていたルミ。おーい、おーい、僕は人質じゃないルミよぉ~。攻撃したら駄目ルミよぉ~。」
早めに言わないと斧や槍でハナがトドメを刺されてしまいます。やっぱり目の前の亜人4人の武器は物グルミン化が解除されて、反グルミン化されていました。布と綿の武器から、重量感のある鉄の武器に変化しています。
「チュウタから話は聞いたクマ。でも、人間がマスターズに選ばれたなんて聞いた事がないクマ。そいつらがインチキしたかもしれないクマ。キチンと調べるべきだクマ。」(身体検査クマ。)
「それはないルミ。間違いなく伝説の聖石に選ばれたマスターズなんだルミ。クマクマ、1人怪我してるから治療薬を分けて欲しいルミ。」
「人間にはその辺の草綿で十分だウキ。それに血を流しているのなら、その女はマスターズじゃないウキ。ただの人間は用無しなんだウキ。さっさと捨てて来るんだウキ。」
どうやら異世界人は歓迎されないようです。もしかして、源造達が日本人だからでしょうか。もしも、源造達がアメリカ人ならば大歓迎してくれたかもしれません。
「頼む。仲間が怪我をしているんだ。治療薬を分けて欲しい。治療薬を分けて貰えるのなら、俺に出来る事は何でもするつもりだ。だから頼む!治療薬を分けて欲しい。」
「いいや、源さんだけじゃねぇ!俺も何でもしてやるよ!ここにいる全員、仲間を助けてくれるなら何でもする覚悟は出来ている。さあ、何でも言ってくれ。」
「私も何でもします!だから、ハナさんを助けてください!クマクマさん、お願いします!」
「「「………」」」
源造、ハチ、弦音は亜人達の前に出て、ハナを助けて欲しいとお願いします。でも、残りの4人は動きません。1人は動けないとしても、残りの3人はまだまだ様子を見ています。ちょっと慎重過ぎです。
「1、2、3人だけクマか?全員が同じ気持ちではないようクマね。別に治療薬を分けてもいいクマ。でも、3人の誰か1人でもマスターズの資格があるか試験させてもらうクマ。ウキウキ、ちょっと3人の相手をしてやるんだクマ。」(力の差を教えてやるんだクマ。)
「分かったウキ。3人まとめて、かかって来るんだウキ。根性見せるんだウキ。」
【ウキウキ】:戦闘能力Cランク。武器・皮のグローブ。亜人五人衆の1人。皮のボクシンググローブをはめて、強力なパンチと素早いフットワークで相手を翻弄する。入手アイテム・猿の手。
どうやら戦闘能力を見たい訳ではないようです。マスターズは伝説の職人であって、伝説の戦士ではありません。パンパンとボクシンググローブを鳴らして、猿のウキウキとの戦いが始まりました。
「ウィーー♪ラリアット‼︎」(必殺の首ギロチンだぜ!)
(遅いウキ!)「クロスカウンター」『パァーグン‼︎』
「ぐぅべぇ‼︎」『バァタン‼︎』
ハチは大好きなプロレスラー・スタンハンセンのラリアットで勝負に出ました。右腕を上げて突っ込んで行きましたが、ウキウキの強烈な右拳のクロスカウンターを喰らって、土綿の地面に倒されてしまいました。ハァ~、まったく日本人の恥晒しです。
「源造さん!1人じゃ勝てません。2人で戦いましょう!」(このお猿さん強いです!)
「あぁ、分かってる!行くぞ!」『ダッー!』
今度は源造が勇敢にタックルでウキウキに突っ込んで行きました。体格的には源造が有利かもしれませんが、ウキウキはボクサーではありません。キックボクサーです!
(速いウキ!)「でも、無駄ウキ!」『ドォシン!』
「おっふ!」(蹴りだと⁈)
強烈な膝蹴りが源造の顎を直撃しました。意識を失いかけましたが、それでも何とか意地で踏ん張ります。日本人がこの程度で倒される訳には行きません。
『ガァツ!』「まだまだ!弦音ちゃん、俺がコイツを押さえているから、攻撃してくれ!ぐぅ…早く…」
「えっ!えっ~~と?」(首を絞めたらいいのかな?)
喧嘩など一度もした事がない平成生まれの女の子が、いきなり戦える訳がありません。殴る事も蹴る事も出来ず、その場で右往左往するだけで役に立ちません。無意味な時間が流れるだけでした。
「こっちは手加減しているウキよ。ほらほら、離れないと殴られるだけウキ。ほらほら、頑張っても痛いだけウキよ♪」『ボフゥ!ガァン!ポフゥポフゥ!』
「ぐぅっ…ううっ…クソったれめ…」
源造とハチはコテンパンにやられてしまいました。ヌイグルミの身体になった事で若い頃と同じぐらいに動けましたが、実力差があり過ぎました。ウキウキの執拗な連続攻撃を必死に耐えていた源造もついに力尽きました。
「フッ♪もういいクマ。こんなに弱いなんて驚きクマ。治療薬はあげるクマが、街に住む事は許さないクマ。街の端に空き地があるから、そこで暮らすんだクマ。全員がマスターズになれたら、家ぐらいは用意してやるんだクマ。」(戦闘能力はFランク程度クマか。ある意味、安心したクマ。)
「やっぱり日本人は贅沢に慣れているピョン。ハングリー精神がないピョン。そんなに弱いと街の外に出ても、獣グルミンにすぐにやられるだけなんだピョン。マスターズ失格だピョン。」
どうやら、クマクマ達は日本人は根性もやる気も向上心もない民族だと決めつけているようです。日本の高度経済成長を支えた70代、80代を完全に舐めています。
◆次回に続く◆
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