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第5章・異世界終戦編
第56話・世界樹崩壊
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「うおおぉぉ‼︎」
「きゃあああ‼︎」
マクシム大尉が奇声を上げて、飛び起きました。弦音も悲鳴を上げてしまいました。いい加減にしないと、グーパンで弦音が殴ります。
「ここは………帰って来れたようだな。早くアックスを探さないとな」
アックスは弦音のコードネームです。アックスならば運転席でいつでも発進出来るように待機しています。
「ハァ…ハァ…ハァ…もう!静かに起きられないですか!」
「そこにいたか!さっさと口を開けろ。俺が出してやる」
「はぁっ⁇何言ってんですか?とりあえず、まずは防具を着てください」
全裸の外人が口を開けろとか、出してやるとか言うと、どう聞いても変態にしか思えませんが、今は時間がありません。無理矢理に弦音の口に太い右腕を突っ込みました。
「むぐぐぐぅゔゔ!!!」
「もっと奥にあるのか?ここか?」
綿人間の身体だから可能な力技です。実際の人間にやると呼吸が出来ずに死んでしまいます。絶対にやめましょう。
「ふぐゔ‼︎ゔ~ゔぃぐぐ!!!」
これは胃カメラの検査と同じです。我慢してください。ちょっと違うのは、麻酔がないのと、カメラが太い右腕だという事だけです。
「これか!セイ!」
『ブチブチ』
「ゔぅぐぐぐっ‼︎」
マクシム大尉は無事に聖石を見つけて、取り出す事に成功しました。腕の中にはキラキラと輝く赤い聖石が握られていました。
「ハァヒィ…ハァヒィ…ハァヒィ…‼︎殺すつもりですか‼︎」
「いや、世界を救うつもりだ。行くぞ、アックス!」
「はひぃ?」
マクシム大尉は運転席に座る弦音に、源造の所に向かうように命令しました。弦音は危険だと反対しますが、上官の命令に従わない者は銃殺刑です。さっさと車を飛ばした方がいいです。
『ブォーーン』
「しっかりとシートベルトを締めないと、放り出されて泣きを見ますよ!」
「行け、アックス!」
「飛ばします!」
相変わらず車の運転をすると、弦音の性格は豹変するようです。時速120㎞以上で車を飛ばします。世界樹とドラゴンの攻撃は源造に集中しています。世界樹もドラゴンも送迎車が向かって来ているのに気づいているのに、まったく攻撃を仕掛けて来ません。
「ぐぅ!」
(どういう事だ?力がそこまで上昇しない。ここが俺の限界なのか……)
源造の現在の戦闘能力 はAランクです。6個目の聖石の力を上手くコントロール出来ずに、5個目のハナの聖石を取り込んだ時とほとんど同じ強さです。ドラゴンと良くて互角というぐらいの強さしかありません。正直、7個目の聖石を取り込んでも強さが変わるとは思えません。
「アックス、そのまま突っ込め!源造~~‼︎俺の腕に掴まれ~~‼︎」
「生きてたか!」
送迎車とマクシムに気づいた源造は、急いで高倉剣を口に咥えると、送迎車から見える大尉の左腕を、自分の左腕を伸ばして掴みました。大尉によって力尽くで送迎車に引っ張り上げられました。
「説明はあとだ。コレを飲め!お前の仲間のハゲ頭がこれで聖石の力が安定すると言っていた」
「これは?ハッ、弦音の聖石か。分かった。貸せ!」
『ゴクリ』
全ての聖石が源造の身体の中で1つになりました。大きさだけなら、世界樹が持つ聖石には足元にも及ばないでしょうが、量より質です!これで勝てなければ日本の未来はありません。
「………どういう事だ?力が消えて行くぞ」
「なっ!そんなはずはないんだが……」
源造の身体で暴れ回っていた聖石の力が、どんどん小さくなっています。まさか、聖石の力が安定した事でパワーダウンしたのでしょうか?
「いや、待て‼︎来る!来る!来るぞ!力が来る‼︎うおおおおぉーーーー‼︎」
『選ばれし者達よ。お前達の望む力を与えてやろう。それは全てを破壊し、再生する力か。それは全てを殺し、生かす力か。さあ、選べ。さあ、望め。そして、叫べ。世界を救い、滅ぼす…その言葉…その存在は…』
「パーフェクト・マスターズ~~!!!!!!!」
全ての達人達、名人達の頂点に君臨する完全無欠の存在、そうそれが《パーフェクト・マスターズ》です。
『ピッカーー!!!!!!!』
「「ぎゃあああ!!」」
世界を変える光が、世界樹とドラゴンに襲い掛かります。さあ、泣き叫び、後悔する時です。この世界に日本人を連れて来た事が間違いだったと死をもって知りなさい!
「源さん…」
「源造…」
弦音と大尉は源造の右肩に彫られた不気味な般若の入れ墨を見ています。今までは気にならなかったものの、今は目が離せません。
「お前も昔の血が騒ぐか……力を貸せ!」
動いていた般若の入れ墨がピタリと止まると、源造の失った右腕が右肩から、右肘と少しずつ再生していきます。失った右腕が再生するたびに入れ墨も少しずつ消えていきます。そして、五本の指までが再生すると、右肩にあった般若の入れ墨が完全に消えていました。
「ありがとうよ。これで勝てる」
「あり得ない‼︎こんな事はあり得ない!何をした日本人!どんな魔法を使ったんだ!」
世界樹が初めて動揺しています。
「自分が理解出来ない現象がそんなに怖いか。この程度で怖くてどうする。俺達はお前達を殺す。行くぞ!剣さん!」
源造はしっかりと両手で高倉剣を握ると、勝利を宣言します。この戦いは日本とアメリカの同盟国の勝利です。勝利の時です。
『チャキ‼︎』
「成敗」
その台詞は松平剣の方を連想するので、やめた方がいいですが、もうどうでもいいです。源造は世界樹とドラゴンに向かって特攻します。死を覚悟した無謀な特攻ではなく、勝利を得る為の特攻です。向かって来る世界樹の木の根を高倉剣で薙ぎ払います。
『ズバァーン‼︎』
「ぎゃあああ‼︎ルミルミ、お前が殺れ!」
世界樹は木の根を斬られた事で身体に激痛が走ります。まだまだ、世界樹に傷つけられた者達の痛みはこんなものではありません。もっともっと、この世界の痛みを知るべきです。
「邪魔だ、トカゲ。オリャー‼︎」
《一刀流居合・飛車角》
源造は高倉剣を背中に背負うと、真っ直ぐに走って来るドラゴンに向かって、剣を両手でしっかりと握り締めて、思い切り振り下ろしました。
『ザァシャーンン‼︎』
「ゴォギャアアア!」
ドラゴンは頭から真っ二つに両断されました。絶叫を上げながら、大量の血綿を撒き散らしています。さすがはドラゴンです。即死しないだけでも凄い生命力です。
「凄い!強過ぎます」
「ああ、そうだな。あれなら倒せるだろうな……」
(問題は精霊王を倒した後に、あれがどう動くかだな)
大尉は源造の勝利をほぼ確信しているようですが、精霊王が倒れた後の源造がどう動くのか心配しているようです。日本に帰るのか、それとも、この世界を支配するのか、どちらにしても強大な力を手に入れた者が、その力を使わずに大人しく暮らすとは思えません。
「ぐうぅ!……分かった、私の負けだ。日本に帰れる道を用意する事を約束しよう。少し時間が欲しい。1週間で準備しよう」
その1週間で源造を倒す準備をするのか、何とか逃げる方法を見つけるだけでしょう。往生際が悪い木です。
「無駄な事を考えるな。お前には死んでもらう。せめて楽に殺してやるよ」
「巫山戯るなよーー‼︎日本人の分際で我に命令」
「成敗」
《一刀流居合・網走番外地》
最早、居合斬りでも何でもありません。高倉剣による凄まじいラッシュ攻撃が、世界樹の幹をズタボロに斬り裂いて行きます。
『ミシィ…ミシィ…』
「やめろぉー!やめろぉー!倒れる!倒れる!我が死んだらこの世界は終わりだぞ!誰が新たな生命を作る?誰が世界を管理する?よく考えろ!我を殺す事は世界を殺す事だぞ‼︎それでもいいのか‼︎」
源造の攻撃は止まりません。自分の重さに耐え切れずに、世界樹の幹はミシィ、ミシィと悲鳴を上げています。このままでは倒れるのは時間の問題です。
「安心しろ。お前が死んだ後は、死んだ後に考える。だから……安らかに死ね」
そんないい加減な事が許される訳がありません。殺す前に考えてください。
「おのれ~~日本人がぁ~~‼︎」
『バキィン』
ついに自分の身体を支えていた太い幹が限界を迎えてしまいました。一度倒れ始めると、もう駄目です。
「ぐぅがあああぁ⁈」
『ドォガアーン!!!!!』
絶叫を上げながら、世界樹は倒れて行きます。天辺付近の細い枝や葉っぱが、洞窟の壁に打つかって下に落ちて来ます。小さな葉っぱでも畳一畳はあります。よく考えたら逃げ場がない場所でこの状況はヤバイです。本当に何も考えていませんでした。
【次回に続く】
「きゃあああ‼︎」
マクシム大尉が奇声を上げて、飛び起きました。弦音も悲鳴を上げてしまいました。いい加減にしないと、グーパンで弦音が殴ります。
「ここは………帰って来れたようだな。早くアックスを探さないとな」
アックスは弦音のコードネームです。アックスならば運転席でいつでも発進出来るように待機しています。
「ハァ…ハァ…ハァ…もう!静かに起きられないですか!」
「そこにいたか!さっさと口を開けろ。俺が出してやる」
「はぁっ⁇何言ってんですか?とりあえず、まずは防具を着てください」
全裸の外人が口を開けろとか、出してやるとか言うと、どう聞いても変態にしか思えませんが、今は時間がありません。無理矢理に弦音の口に太い右腕を突っ込みました。
「むぐぐぐぅゔゔ!!!」
「もっと奥にあるのか?ここか?」
綿人間の身体だから可能な力技です。実際の人間にやると呼吸が出来ずに死んでしまいます。絶対にやめましょう。
「ふぐゔ‼︎ゔ~ゔぃぐぐ!!!」
これは胃カメラの検査と同じです。我慢してください。ちょっと違うのは、麻酔がないのと、カメラが太い右腕だという事だけです。
「これか!セイ!」
『ブチブチ』
「ゔぅぐぐぐっ‼︎」
マクシム大尉は無事に聖石を見つけて、取り出す事に成功しました。腕の中にはキラキラと輝く赤い聖石が握られていました。
「ハァヒィ…ハァヒィ…ハァヒィ…‼︎殺すつもりですか‼︎」
「いや、世界を救うつもりだ。行くぞ、アックス!」
「はひぃ?」
マクシム大尉は運転席に座る弦音に、源造の所に向かうように命令しました。弦音は危険だと反対しますが、上官の命令に従わない者は銃殺刑です。さっさと車を飛ばした方がいいです。
『ブォーーン』
「しっかりとシートベルトを締めないと、放り出されて泣きを見ますよ!」
「行け、アックス!」
「飛ばします!」
相変わらず車の運転をすると、弦音の性格は豹変するようです。時速120㎞以上で車を飛ばします。世界樹とドラゴンの攻撃は源造に集中しています。世界樹もドラゴンも送迎車が向かって来ているのに気づいているのに、まったく攻撃を仕掛けて来ません。
「ぐぅ!」
(どういう事だ?力がそこまで上昇しない。ここが俺の限界なのか……)
源造の現在の戦闘能力 はAランクです。6個目の聖石の力を上手くコントロール出来ずに、5個目のハナの聖石を取り込んだ時とほとんど同じ強さです。ドラゴンと良くて互角というぐらいの強さしかありません。正直、7個目の聖石を取り込んでも強さが変わるとは思えません。
「アックス、そのまま突っ込め!源造~~‼︎俺の腕に掴まれ~~‼︎」
「生きてたか!」
送迎車とマクシムに気づいた源造は、急いで高倉剣を口に咥えると、送迎車から見える大尉の左腕を、自分の左腕を伸ばして掴みました。大尉によって力尽くで送迎車に引っ張り上げられました。
「説明はあとだ。コレを飲め!お前の仲間のハゲ頭がこれで聖石の力が安定すると言っていた」
「これは?ハッ、弦音の聖石か。分かった。貸せ!」
『ゴクリ』
全ての聖石が源造の身体の中で1つになりました。大きさだけなら、世界樹が持つ聖石には足元にも及ばないでしょうが、量より質です!これで勝てなければ日本の未来はありません。
「………どういう事だ?力が消えて行くぞ」
「なっ!そんなはずはないんだが……」
源造の身体で暴れ回っていた聖石の力が、どんどん小さくなっています。まさか、聖石の力が安定した事でパワーダウンしたのでしょうか?
「いや、待て‼︎来る!来る!来るぞ!力が来る‼︎うおおおおぉーーーー‼︎」
『選ばれし者達よ。お前達の望む力を与えてやろう。それは全てを破壊し、再生する力か。それは全てを殺し、生かす力か。さあ、選べ。さあ、望め。そして、叫べ。世界を救い、滅ぼす…その言葉…その存在は…』
「パーフェクト・マスターズ~~!!!!!!!」
全ての達人達、名人達の頂点に君臨する完全無欠の存在、そうそれが《パーフェクト・マスターズ》です。
『ピッカーー!!!!!!!』
「「ぎゃあああ!!」」
世界を変える光が、世界樹とドラゴンに襲い掛かります。さあ、泣き叫び、後悔する時です。この世界に日本人を連れて来た事が間違いだったと死をもって知りなさい!
「源さん…」
「源造…」
弦音と大尉は源造の右肩に彫られた不気味な般若の入れ墨を見ています。今までは気にならなかったものの、今は目が離せません。
「お前も昔の血が騒ぐか……力を貸せ!」
動いていた般若の入れ墨がピタリと止まると、源造の失った右腕が右肩から、右肘と少しずつ再生していきます。失った右腕が再生するたびに入れ墨も少しずつ消えていきます。そして、五本の指までが再生すると、右肩にあった般若の入れ墨が完全に消えていました。
「ありがとうよ。これで勝てる」
「あり得ない‼︎こんな事はあり得ない!何をした日本人!どんな魔法を使ったんだ!」
世界樹が初めて動揺しています。
「自分が理解出来ない現象がそんなに怖いか。この程度で怖くてどうする。俺達はお前達を殺す。行くぞ!剣さん!」
源造はしっかりと両手で高倉剣を握ると、勝利を宣言します。この戦いは日本とアメリカの同盟国の勝利です。勝利の時です。
『チャキ‼︎』
「成敗」
その台詞は松平剣の方を連想するので、やめた方がいいですが、もうどうでもいいです。源造は世界樹とドラゴンに向かって特攻します。死を覚悟した無謀な特攻ではなく、勝利を得る為の特攻です。向かって来る世界樹の木の根を高倉剣で薙ぎ払います。
『ズバァーン‼︎』
「ぎゃあああ‼︎ルミルミ、お前が殺れ!」
世界樹は木の根を斬られた事で身体に激痛が走ります。まだまだ、世界樹に傷つけられた者達の痛みはこんなものではありません。もっともっと、この世界の痛みを知るべきです。
「邪魔だ、トカゲ。オリャー‼︎」
《一刀流居合・飛車角》
源造は高倉剣を背中に背負うと、真っ直ぐに走って来るドラゴンに向かって、剣を両手でしっかりと握り締めて、思い切り振り下ろしました。
『ザァシャーンン‼︎』
「ゴォギャアアア!」
ドラゴンは頭から真っ二つに両断されました。絶叫を上げながら、大量の血綿を撒き散らしています。さすがはドラゴンです。即死しないだけでも凄い生命力です。
「凄い!強過ぎます」
「ああ、そうだな。あれなら倒せるだろうな……」
(問題は精霊王を倒した後に、あれがどう動くかだな)
大尉は源造の勝利をほぼ確信しているようですが、精霊王が倒れた後の源造がどう動くのか心配しているようです。日本に帰るのか、それとも、この世界を支配するのか、どちらにしても強大な力を手に入れた者が、その力を使わずに大人しく暮らすとは思えません。
「ぐうぅ!……分かった、私の負けだ。日本に帰れる道を用意する事を約束しよう。少し時間が欲しい。1週間で準備しよう」
その1週間で源造を倒す準備をするのか、何とか逃げる方法を見つけるだけでしょう。往生際が悪い木です。
「無駄な事を考えるな。お前には死んでもらう。せめて楽に殺してやるよ」
「巫山戯るなよーー‼︎日本人の分際で我に命令」
「成敗」
《一刀流居合・網走番外地》
最早、居合斬りでも何でもありません。高倉剣による凄まじいラッシュ攻撃が、世界樹の幹をズタボロに斬り裂いて行きます。
『ミシィ…ミシィ…』
「やめろぉー!やめろぉー!倒れる!倒れる!我が死んだらこの世界は終わりだぞ!誰が新たな生命を作る?誰が世界を管理する?よく考えろ!我を殺す事は世界を殺す事だぞ‼︎それでもいいのか‼︎」
源造の攻撃は止まりません。自分の重さに耐え切れずに、世界樹の幹はミシィ、ミシィと悲鳴を上げています。このままでは倒れるのは時間の問題です。
「安心しろ。お前が死んだ後は、死んだ後に考える。だから……安らかに死ね」
そんないい加減な事が許される訳がありません。殺す前に考えてください。
「おのれ~~日本人がぁ~~‼︎」
『バキィン』
ついに自分の身体を支えていた太い幹が限界を迎えてしまいました。一度倒れ始めると、もう駄目です。
「ぐぅがあああぁ⁈」
『ドォガアーン!!!!!』
絶叫を上げながら、世界樹は倒れて行きます。天辺付近の細い枝や葉っぱが、洞窟の壁に打つかって下に落ちて来ます。小さな葉っぱでも畳一畳はあります。よく考えたら逃げ場がない場所でこの状況はヤバイです。本当に何も考えていませんでした。
【次回に続く】
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