ログイン可能でログアウト不可の開発中欠陥フルダイブRPGの世界に閉じ込められた。テストプレイヤーなら何してもいいんだよね?

もう書かないって言ったよね?

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第十一話

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 店主と奥さんの死体を二階に運び終えると、社長からアップデート完了の連絡が来た。
 これで死体を持ち物に入れる事が出来る。
 何故これが欲しかったかというと、倒した村娘を運べるようになるからだ。
 必要な時に取り出して、蘇生薬をかけて楽しめるという事だ。

「こっちもアップデート出来ないのか?」

 魔法の在庫表を見ながら考えた。
 村で売られているロングソードは最弱の剣だ。終盤の店で売られている剣が欲しい。
 2万ゴールドの村正という日本刀で攻撃力7倍だ。
 ロングソード7回分の攻撃が1回で可能になる反則武器だ。

「余白があるし、書いてみるか」

 在庫表の下の方に空欄がある。ここに鉛筆か何かで村正と書く。
 そしたら手に入るかもしれない。とりあえず鉛筆はないのでタッチしてみた。
 こういうのはタッチして、文字を入力すると決まっている。

「おっ、出た出た!」

 文字ではなく、種類が出てきた。
 武器、防具、装備、道具、食材の5つから選ぶらしい。
 武器→剣→村正と選ぶと、在庫表から刃が不気味に紫色に光る日本刀が出てきた。

「そうそう、これこれ♪」

 ヤバイ武器ゲットしちゃった!これでもう怖くない。
 主人公も盗賊団も皆殺しだ。

 だが、その前に鑑定アイテムを在庫表から取り出した。
 店主オヤジのレベルが知りたい。眼鏡を装着して、オヤジのレベルを調べた。

「レベル10? なんだ、雑魚じゃないですか♪」

 たったのレベル10だった。俺よりも弱い雑魚野朗だった。
 これなら余裕で殺しまくれる。蘇生薬を顔にぶっかけると生き返らせた。

「うっ、うっ」

 さあ、俺の経験値ATMになってもらおうか。
 客が来たら、客も殺してやる。防具も高級品を在庫表から取り出してやる。
 誰が相手でも負ける気がしない。

「すみませーん。誰かいませんか?」

 おっと、お客様がやって来た。店主オヤジを殺すのは一旦終了だ。
 持ち物にしっかり収納してから階段を降りた。
 本日、最初のお客様は村息子だった。

「あれ? あなた、誰ですか?」

 俺様です。これ日本刀です。殺します。

「ゔがああぁ!」

 お客様は経験値様です。

「ふぅー、楽勝過ぎだぜ」

 高性能斬殺武器のお陰で素早く倒せた。
 床に寝転がる村息子の顔を足で踏ん付ける。
 もう一旦村人全員殺してから、主人公とヒロインだけ残してセーブしても良さそうだ。

「えっと、これにするか」

 攻略本を見ながら、店売りの装備から逃走速度が1・5倍になる宝石を在庫表から取り出した。
 これで主人公とヒロインに見つかっても逃げられる。

 ソッと扉を開けて外を見た。村オヤジと村爺さんの姿が見える。
 気付かれずに道具屋から出るのは難しそうだ。

 セーブクリスタルは村と森の2ヶ所にしかない。
 人殺し!とピンチ状態でセーブしたくない。安全な状態でセーブしたい。

「……もう少しレベル上げするか」

 今出るのは危なそうだ。レベル20ぐらいまで上げてから出るとしよう。

「おっ、なんか出た?」

 レベル15になると職業選択肢が現れた。
『剣士』『魔法使い』『魔法剣士』『拳士』『狩人』『盗賊』『僧侶』の7つの中から選べるらしい。
 やっと村人から卒業できる。

 選ぶなら剣の攻撃力が上がり、強力な剣技を覚えられる剣士。
 もしくは剣の攻撃力が少し上がり、多少の剣技と魔法を覚えられる魔法剣士だ。

 相手の持ち物を奪える盗賊も魅力的だが、魔法の在庫表がある。
 盗む必要はもうないので、盗賊にはならなくていい。
 でも、鍵開けの技は欲しい。夜中にヒロインの家に忍び込むには是非とも欲しい技だ。

「うーん、悩みどころだな」

 剣士か魔法剣士——魔法使った事がないから魔法剣士になりたい。
 だけど、今必要なのは強行突破できる剣士の力だ。
 ここは貧弱な魔法剣士よりも剣士を選ぶのが無難だ。

 悩んだ末に剣士を選んだ。これで剣の攻撃力が上がる。
 あとは目標のレベル20まで上げてから道具屋を脱出する。
 流石に入ったお客様が何時間も一人も出て来ない道具屋は怪し過ぎる。
 
 よし、準備万端だ。レベル20まで上げた。防具も店売り最強を装備した。
 これなら主人公にも勝てる。勝てるはずだ。
 階段を降りると、ソッと扉を開けて外を見た。
 今度は誰の姿も見えない。出るなら今だ。
 心臓がドキドキ不安を訴えているが、これは気の所為だ。

 左右の腰に村正、両手に村正を持って、四刀流で外に出た。
 防具はバトルアーマー、王国の騎士団長クラスが身に付ける分厚い金属鎧だ。
 ガシャンガシャン!と金属を鳴らして、セーブクリスタルに向かって歩いていく。
 セーブすれば俺の勝ちだ。

「おい、あんた。めちゃくちゃ怪しいな」

 ……なん、だと?
 後ろを振り向くと赤髪の主人公が立っていた。
 不審者を見るような目つきで俺を見ている。
 主人公は180センチもあるから、こんなデカイのに呼び止められたら恐怖だ。

「わ、我はストーム! この辺りに出没する盗賊団の討伐に来た者だ! 決して怪しい者ではない!」

 だが、勇気だ。勇気を振り絞れ。
 怪しまれるわけにはいかない。堂々と主人公に名乗った。

「あー、そうなのか。悪かったな、俺はミカエル。村で猟師をやっている。見かけない余所者がいたから声をかけてみたんだが、余計なお節介みたいだったな」

 主人公が頭を掻きながら謝ってきた。
 よし、行けそうだ。このまま正義の騎士で行く。

「分かればよろしい。我は忙しいのだ。では、さらばだ!」
「ああ、じゃあな」

 あ、危なかった!危うくまた成敗されるところだった。
 カッコよく回れ右して、主人公に背を向けて歩き出した。
 これが騎士だ。騎士の動作だ。そして、これも騎士の動作だ。
 メニュー画面の持ち物から鑑定アイテムを取り出して、主人公の背中を見た。

 レベル30——やはりまだ勝てる相手じゃない。装備の力を借りても、まだ不安だ。
 おそらくヒロインもレベル30。同レベルまで上げないと、生きたまま抱くのは無理だ。

「なるほど。そういう事か」

 では、仕方ない。最優先で主人公とヒロインを殺す。
 残りはレベル10の村人だけだ。ゆっくりとレベル30まで上げて、ヒロインを生き返らせて抱く。
 逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、が俺のところにやってきた。
 やってやるぜ、主人公超えだ。
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