「死にたいようだな!スキル『絶体絶命』これを使ったら俺もピンチになるが、お前もピンチになる。使われたくないなら降伏しろ!」

もう書かないって言ったよね?

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第1章・冒険者編

第11話

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 蜂の巣と共に急いで空に向かって上昇します。
 当然のように、興奮した蜂達も追いかけて来ます。
 ズバァー、ドォス、ズバァーとブロードソードを振り回したり、突いたりして、ビッグビーを地面に真っ逆さまに墜落させていきます。
 空の上で、街の方角に進みながらの、蜂達との追いかけっこと戦闘が始まりました。
 蜂の巣は横倒しにして、その上に乗ります。浮いている状態ですが、蜂の巣を足場のように使います。
 30対1という数では不利な状況ですが、ステータスの差は決定的です。
 蜂の5倍の敏捷を持っている彼は、空中でも蜂の攻撃が届く前に、素早く剣を振って、胴体や羽をズバァーと斬り裂いて、倒れた蜂は、蜂の巣から蹴っ飛ばして排除していきました。
 (……刃が欠けてきたかも)
 蜂との戦闘を続けながら、スキル『修復』を使うと、欠けた部分が直っていきました。
 ちょっとだけ剣が軽くなったように感じましたが……
 どうやら材料を使わないで修復すると、剣自体から材料が消費されるようです。
 スキル『修復』を乱用すると、そのうち長剣も果物ナイフになってしまいます。
 お気に入りの武器や防具は修復用の材料が必要になるので、長期戦になる場合は携帯する必要があります。
 『鑑定』で見た情報では、100匹ぐらいは倒す必要があると思っていましたが、実際は15匹程度の蜂を倒しただけで、もう他の蜂は追いかけて来なくなりました。
 巣から離れ過ぎたのか、戦っても勝てないと思ったのか、理由は分かりませんが、途中まで追いかけて来た蜂達は、巣の方向に引き返して行きました。
 スキル『浮遊』で、合計1000㎏までは楽々運ぶ事が出来るのですが、流石に重い物を浮かせると消費MPが増えます。
 街まで運ぶぐらいのMPはありますが、鳥より明らかに大きな物体が空を飛んでいると目立ってしまいます。
 街の近くまで飛んで行って、人に見つからない場所に降りてから、蜂の巣を解体します。
 依頼では、蜂の巣5㎏以上なので、縦横1mにカットしますが、蜂の巣は分厚くて、厚さ3m以上はあります。
 多過ぎると思いますが、下手にカットして、依頼失敗するよりはマシです。
 『浮遊』で浮かせながら運べば、軽い上にハチミツも垂れたりしません。一石二鳥です。

 ・
 ・
 ・

 昼を少し過ぎた頃に彼が蜂の巣を抱えてやって来ました。
 ギルドの入り口で蜂の巣が引っかかって中に入れませんでしたが、このような大きな依頼品や建物が汚れるような魔物の素材は、裏口に運ぶのが常識です。
 元冒険者のおじさんが裏口に運ぶように彼に言いました。
 しばらくすると、彼が手ぶらで入り口から入って来て、カウンターのおじさんに向かって行きます。
 「鑑定と計量にしばらく時間がかかるから、待っててくれ」
 彼は『はい』と返事すると、掲示板に向かいます。
 次は『E』難易度の依頼に挑戦するようです。
 彼の様子を見ていた2人の冒険者が小声で話し始めました。
 「やれ」
 「分かってるよ」
 冒険者の1人がスキル『鑑定』で彼のステータスを覗き見ています。
 「うわぁー!なんじゃこりゃあー⁈」
 「どうした⁉︎」
 突然、大声を出して驚いているツンツン髪の男に、ギルドにいる全員が注目しますが、男は何でもないと黙り込んでしまいました。
 しばらくするとツンツン男は1人で外に出て行きました。
 すぐに4人の男達が追いかけるようにギルドを出て行きます。
 「……やべぇ~レベル99だったよ!」
 「マジかよ?」
 「マジマジ!超やべぇ~!」
 子供のような会話内容ですが、全員20代後半から30代前半です。
 流石にスキルは多過ぎて、全てを覚える事も見る事も出来なかったようですが、ステータスの一番最初に見えるスキルが女神に貰った固有スキルです。
 彼の固有スキルは『????』と表示されました。
 明らかに『鑑定』『識別』されないように妨害しています。
 女神様が彼の事を思ってやったことですが、どうやら良からぬ隠し事があると思われたようです。
 冒険者とならず者5人の答えが一致すると、一緒にギルドの中に戻って行きました。
 (……どれにしようかな?)
 彼はどの『E』難易度の依頼をするか悩んでいました。
 『F』難易度は採取系が多かったですが、『E』は魔物の素材を集める依頼が多いようです。
 武器や防具、娯楽品を作るのに、魔物の素材を使う職人が増えた事で、このような依頼が増加したようです。
 「おい、ちょっといいか。お前のレベル99みたいだが、どうやって上げた!」
 「えっ!」
 突然、話しかけられた事よりも、周りを囲んでいる20人を超える冒険者とならず者達に彼は驚いています。
 「……もう一度、聞くぞ。どうやって、お前のような子供がレベル99まで上げたんだ。嘘は付くんじゃないぞ!」
 (……どうしよう!逃げられそうにないし、逃がさないつもりだよね!)
 彼が何も答えないので、気の短いならず者の1人が彼の代わりに答えました。
 「スキル『盗む』で俺達の経験値やスキルを盗んでいるんだろ?さっきの蜂の巣も盗んだものなんだろ!」
 
 
 
 
 
 
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