11 / 16
第1章・冒険者編
第11話
しおりを挟む
蜂の巣と共に急いで空に向かって上昇します。
当然のように、興奮した蜂達も追いかけて来ます。
ズバァー、ドォス、ズバァーとブロードソードを振り回したり、突いたりして、ビッグビーを地面に真っ逆さまに墜落させていきます。
空の上で、街の方角に進みながらの、蜂達との追いかけっこと戦闘が始まりました。
蜂の巣は横倒しにして、その上に乗ります。浮いている状態ですが、蜂の巣を足場のように使います。
30対1という数では不利な状況ですが、ステータスの差は決定的です。
蜂の5倍の敏捷を持っている彼は、空中でも蜂の攻撃が届く前に、素早く剣を振って、胴体や羽をズバァーと斬り裂いて、倒れた蜂は、蜂の巣から蹴っ飛ばして排除していきました。
(……刃が欠けてきたかも)
蜂との戦闘を続けながら、スキル『修復』を使うと、欠けた部分が直っていきました。
ちょっとだけ剣が軽くなったように感じましたが……
どうやら材料を使わないで修復すると、剣自体から材料が消費されるようです。
スキル『修復』を乱用すると、そのうち長剣も果物ナイフになってしまいます。
お気に入りの武器や防具は修復用の材料が必要になるので、長期戦になる場合は携帯する必要があります。
『鑑定』で見た情報では、100匹ぐらいは倒す必要があると思っていましたが、実際は15匹程度の蜂を倒しただけで、もう他の蜂は追いかけて来なくなりました。
巣から離れ過ぎたのか、戦っても勝てないと思ったのか、理由は分かりませんが、途中まで追いかけて来た蜂達は、巣の方向に引き返して行きました。
スキル『浮遊』で、合計1000㎏までは楽々運ぶ事が出来るのですが、流石に重い物を浮かせると消費MPが増えます。
街まで運ぶぐらいのMPはありますが、鳥より明らかに大きな物体が空を飛んでいると目立ってしまいます。
街の近くまで飛んで行って、人に見つからない場所に降りてから、蜂の巣を解体します。
依頼では、蜂の巣5㎏以上なので、縦横1mにカットしますが、蜂の巣は分厚くて、厚さ3m以上はあります。
多過ぎると思いますが、下手にカットして、依頼失敗するよりはマシです。
『浮遊』で浮かせながら運べば、軽い上にハチミツも垂れたりしません。一石二鳥です。
・
・
・
昼を少し過ぎた頃に彼が蜂の巣を抱えてやって来ました。
ギルドの入り口で蜂の巣が引っかかって中に入れませんでしたが、このような大きな依頼品や建物が汚れるような魔物の素材は、裏口に運ぶのが常識です。
元冒険者のおじさんが裏口に運ぶように彼に言いました。
しばらくすると、彼が手ぶらで入り口から入って来て、カウンターのおじさんに向かって行きます。
「鑑定と計量にしばらく時間がかかるから、待っててくれ」
彼は『はい』と返事すると、掲示板に向かいます。
次は『E』難易度の依頼に挑戦するようです。
彼の様子を見ていた2人の冒険者が小声で話し始めました。
「やれ」
「分かってるよ」
冒険者の1人がスキル『鑑定』で彼のステータスを覗き見ています。
「うわぁー!なんじゃこりゃあー⁈」
「どうした⁉︎」
突然、大声を出して驚いているツンツン髪の男に、ギルドにいる全員が注目しますが、男は何でもないと黙り込んでしまいました。
しばらくするとツンツン男は1人で外に出て行きました。
すぐに4人の男達が追いかけるようにギルドを出て行きます。
「……やべぇ~レベル99だったよ!」
「マジかよ?」
「マジマジ!超やべぇ~!」
子供のような会話内容ですが、全員20代後半から30代前半です。
流石にスキルは多過ぎて、全てを覚える事も見る事も出来なかったようですが、ステータスの一番最初に見えるスキルが女神に貰った固有スキルです。
彼の固有スキルは『????』と表示されました。
明らかに『鑑定』『識別』されないように妨害しています。
女神様が彼の事を思ってやったことですが、どうやら良からぬ隠し事があると思われたようです。
冒険者とならず者5人の答えが一致すると、一緒にギルドの中に戻って行きました。
(……どれにしようかな?)
彼はどの『E』難易度の依頼をするか悩んでいました。
『F』難易度は採取系が多かったですが、『E』は魔物の素材を集める依頼が多いようです。
武器や防具、娯楽品を作るのに、魔物の素材を使う職人が増えた事で、このような依頼が増加したようです。
「おい、ちょっといいか。お前のレベル99みたいだが、どうやって上げた!」
「えっ!」
突然、話しかけられた事よりも、周りを囲んでいる20人を超える冒険者とならず者達に彼は驚いています。
「……もう一度、聞くぞ。どうやって、お前のような子供がレベル99まで上げたんだ。嘘は付くんじゃないぞ!」
(……どうしよう!逃げられそうにないし、逃がさないつもりだよね!)
彼が何も答えないので、気の短いならず者の1人が彼の代わりに答えました。
「スキル『盗む』で俺達の経験値やスキルを盗んでいるんだろ?さっきの蜂の巣も盗んだものなんだろ!」
当然のように、興奮した蜂達も追いかけて来ます。
ズバァー、ドォス、ズバァーとブロードソードを振り回したり、突いたりして、ビッグビーを地面に真っ逆さまに墜落させていきます。
空の上で、街の方角に進みながらの、蜂達との追いかけっこと戦闘が始まりました。
蜂の巣は横倒しにして、その上に乗ります。浮いている状態ですが、蜂の巣を足場のように使います。
30対1という数では不利な状況ですが、ステータスの差は決定的です。
蜂の5倍の敏捷を持っている彼は、空中でも蜂の攻撃が届く前に、素早く剣を振って、胴体や羽をズバァーと斬り裂いて、倒れた蜂は、蜂の巣から蹴っ飛ばして排除していきました。
(……刃が欠けてきたかも)
蜂との戦闘を続けながら、スキル『修復』を使うと、欠けた部分が直っていきました。
ちょっとだけ剣が軽くなったように感じましたが……
どうやら材料を使わないで修復すると、剣自体から材料が消費されるようです。
スキル『修復』を乱用すると、そのうち長剣も果物ナイフになってしまいます。
お気に入りの武器や防具は修復用の材料が必要になるので、長期戦になる場合は携帯する必要があります。
『鑑定』で見た情報では、100匹ぐらいは倒す必要があると思っていましたが、実際は15匹程度の蜂を倒しただけで、もう他の蜂は追いかけて来なくなりました。
巣から離れ過ぎたのか、戦っても勝てないと思ったのか、理由は分かりませんが、途中まで追いかけて来た蜂達は、巣の方向に引き返して行きました。
スキル『浮遊』で、合計1000㎏までは楽々運ぶ事が出来るのですが、流石に重い物を浮かせると消費MPが増えます。
街まで運ぶぐらいのMPはありますが、鳥より明らかに大きな物体が空を飛んでいると目立ってしまいます。
街の近くまで飛んで行って、人に見つからない場所に降りてから、蜂の巣を解体します。
依頼では、蜂の巣5㎏以上なので、縦横1mにカットしますが、蜂の巣は分厚くて、厚さ3m以上はあります。
多過ぎると思いますが、下手にカットして、依頼失敗するよりはマシです。
『浮遊』で浮かせながら運べば、軽い上にハチミツも垂れたりしません。一石二鳥です。
・
・
・
昼を少し過ぎた頃に彼が蜂の巣を抱えてやって来ました。
ギルドの入り口で蜂の巣が引っかかって中に入れませんでしたが、このような大きな依頼品や建物が汚れるような魔物の素材は、裏口に運ぶのが常識です。
元冒険者のおじさんが裏口に運ぶように彼に言いました。
しばらくすると、彼が手ぶらで入り口から入って来て、カウンターのおじさんに向かって行きます。
「鑑定と計量にしばらく時間がかかるから、待っててくれ」
彼は『はい』と返事すると、掲示板に向かいます。
次は『E』難易度の依頼に挑戦するようです。
彼の様子を見ていた2人の冒険者が小声で話し始めました。
「やれ」
「分かってるよ」
冒険者の1人がスキル『鑑定』で彼のステータスを覗き見ています。
「うわぁー!なんじゃこりゃあー⁈」
「どうした⁉︎」
突然、大声を出して驚いているツンツン髪の男に、ギルドにいる全員が注目しますが、男は何でもないと黙り込んでしまいました。
しばらくするとツンツン男は1人で外に出て行きました。
すぐに4人の男達が追いかけるようにギルドを出て行きます。
「……やべぇ~レベル99だったよ!」
「マジかよ?」
「マジマジ!超やべぇ~!」
子供のような会話内容ですが、全員20代後半から30代前半です。
流石にスキルは多過ぎて、全てを覚える事も見る事も出来なかったようですが、ステータスの一番最初に見えるスキルが女神に貰った固有スキルです。
彼の固有スキルは『????』と表示されました。
明らかに『鑑定』『識別』されないように妨害しています。
女神様が彼の事を思ってやったことですが、どうやら良からぬ隠し事があると思われたようです。
冒険者とならず者5人の答えが一致すると、一緒にギルドの中に戻って行きました。
(……どれにしようかな?)
彼はどの『E』難易度の依頼をするか悩んでいました。
『F』難易度は採取系が多かったですが、『E』は魔物の素材を集める依頼が多いようです。
武器や防具、娯楽品を作るのに、魔物の素材を使う職人が増えた事で、このような依頼が増加したようです。
「おい、ちょっといいか。お前のレベル99みたいだが、どうやって上げた!」
「えっ!」
突然、話しかけられた事よりも、周りを囲んでいる20人を超える冒険者とならず者達に彼は驚いています。
「……もう一度、聞くぞ。どうやって、お前のような子供がレベル99まで上げたんだ。嘘は付くんじゃないぞ!」
(……どうしよう!逃げられそうにないし、逃がさないつもりだよね!)
彼が何も答えないので、気の短いならず者の1人が彼の代わりに答えました。
「スキル『盗む』で俺達の経験値やスキルを盗んでいるんだろ?さっきの蜂の巣も盗んだものなんだろ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる