【異世界マジシャン】三流マジシャン助手の女子高生がタネも仕掛けも必要ない異世界でマジックで荒稼ぎします!

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
9 / 23

第9話

しおりを挟む
「このクソババアが‼︎ 次会ったら容赦しねえからな‼︎ お、覚えてろよ‼︎」

 仲間二人に肩を貸してもらい、去り際にボンジョビがお婆さんに定番の捨て台詞を言い放った。
 不思議なもので大声出した方が勝ったように見える。これが試合に負けて、勝負に勝った状態だろうか。
 私がやられたら、メチャムカつくので、すぐに追いかけてトドメを刺しそうだ。

「年寄りは忘れっぽいんだよ。文句があるなら今すぐ来な」
「よし、行くぞ‼︎」
「「おお‼︎」」

 文句ないみたいだ。というより全力で聞こえないフリした。
 仲間二人に支えられて、ボンジョビが両足を引きずられながら三人四脚で去っていった。
 きっと家には帰らずに病院に行くんだろうな。

「あっ。助けていただきありがとうございました」

 こういう時は素直にお礼を言った方がいい。チンピラが消えたので、お婆さんに頭を下げてお礼を言った。
「助けてくれなくても、私一人でどうにかなったのに」とか余計なこと言うと、妖怪怪力ババアになって頭を踏み潰されてしまう。

「別に大したことしてないよ。それよりもあんたに話しがあるんだ」
「話しですか……?」
「そう、話だよ。あんたにやってほしい仕事があるんだけど聞くかい?」
「仕事ですかぁ~」

 上品なお婆さんの仕事なら喜んで引き受けただろうけど、妖怪怪力ババアだと知った今は考えてしまう。
 上品お婆さんならオシャレなカフェ店員、妖怪怪力ババアなら汗まみれの土木作業員を紹介されそうだ。

「そうだね。立ち話も何だから——」
「『フェアリーゴッドマザー』、こちらにいらっしゃいましたか!」

 フェ、フェアリーゴッドマザー⁇ ああ、もう駄目だ。絶対断ろう。
 カフェ店員か、土木作業員か、どっちか考えていたら若い女性が二人走ってきた。
 どちらも二十歳前か、二十代前半にしか見ない若い女性だ。
 その一人がお婆さんの名前っぽいのを言った。明らかにイタリアマフィア系の名前だ。
 
 だけど、瞬間移動マジックで逃げるのはまだ早い。マフィアか、カフェ店員かまだ分からない。
 女性の一人は長い栗色の髪で、背が高く、巨乳で、優しそうな顔立ちをしている。
 モテモテ人生間違いなしの美人だ。

 服装は頭にハンカチのような布を広げて被っていて、踊り子のような民族衣装を着ている。
 もう一人も同じような服装だけど、こっちは小柄で鎖骨まで伸びる黒髪、不良みたいな鋭い目つき、ペタンコな胸、軽く焼いたような薄い小麦色の肌だ。
 遠くからなら男の子にも見えてしまう、中性的な美少年女子だ。
 女子にはモテモテだろうけど、男子には男扱いされる残念なタイプだ。

 ゴッドマザー、巨乳美人、美少年女子……三人の容姿と服装から総合的に判断すると、僅かだけど紹介される仕事が『居酒屋』の可能性も出てきた。
 居酒屋なら酒のつまみにマジックも必要だろうし、酒に酔った客を腕力で追い出す妖怪怪力ババアの力も必要だ。
 もちろん男性客を常連客に導く巨乳美人や、女性客を常連客に導く美少年女子も必要になる。
 定食屋の可能性も少しはあるけど、定食屋で酔っている客は想像がつかない。

「セラ、ラナ、良いところに来たね。ちょうど三人目が見つかったところだよ」
「えっ? 本当ですか⁉︎」

 やるとは言ってないのに、お婆さんの中では決定事項みたいだ。
 それを聞いて、巨乳美人が喜んでいるけど、もう一人の方は違うみたいだ。

「ちょっと婆さん、そんな変な格好の奴を仲間に入れるつもりか? 信用できるのかよ?」

 美少年女子の方が疑うような目つきで私を見ると、お婆さんに向きなおって訊いている。
 まあ、ステージ衣装だし、いつもより派手だし、こう思われても仕方ない。

「信用なんて出来るわけないだろ。私を含め、あんた達もね。私が唯一信用しているのは実力だよ。私の目から見て、この娘の力は十分に信用できるレベルだったよ」
「へぇー、婆さんがそこまで言うなら多少はやるんだろうな。あんた、職業は何なんだ?」
「職業は……マジシャンです」

 美少年女子に聞かれて、少し考えてから答えた。
 正直に異世界マジシャンだと答えたら、異世界人だとバレてしまう。
 それにステータスの職業にマジシャンと書かれていたから、マジシャンなのは間違いない。

「聞いたことがない職業だな。まあ、マジシャンってことは魔法使い系か? ずいぶんと幅広い答え方だな? 詳しい能力は秘密ってわけか?」
「ええ、まぁ……」

 美少年女子が色々訊いてくるけど、自分でもよく分からないのでよく分からない返事をした。

「この娘の職業は幻術士だよ。ほら、こんな所で立ち話しするなんて私は御免だよ。続きは家に帰ってからやるよ」
「はい、お婆様。よろしくね♪ ……えっと?」
「藤咲星来です」

 巨乳美人に笑顔で聞かれたので、普通にフルネームで答えてしまった。

「フジサキセイラ……じゃあ、セイラねぇ♪ 本当にちょうどいいわね。名前も含めて。私はラナ。こっちは姉のセラよ。セラとラナの妹でセイラなんて、なんだか運命を感じるわね」
「そ、そうですね……」

 まさか巨乳の方が妹だったとは……。
 全然運命なんて感じないけど、同意するしかない。あっちは三人、こっちは一人だ。
 私の戦いはまだ終わってない。相手がチンピラから居酒屋店員(仮)に変わっただけだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~ 大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。 話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。 説明口調から対話形式を増加。 伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など) 別視点内容の追加。 剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。 2021/06/27 無事に完結しました。 2021/09/10 後日談の追加を開始 2022/02/18 後日談完結しました。 2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処理中です...