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10・武術道場
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このまま火炙りの刑になるよりはマシだと、僕は武星に会いに出かけた。
「うーん、また悪魔かも」
期待と不安の両方を胸に抱えて、僕は町に向かって歩いていく。
薬星、拳星、武星、魔星……と、この島には星を与えられたアマゾネスがいる。
悪魔の監禁部屋から出たばかりの無知な僕に、姉弟子達が殴られる痛みと一般常識を教えてくれた。
一般常識の方には僕はとっても感謝している。これは本当だ。
さて、武星に会う前に復習しておこうかな。
少しでも気に入られるように頑張らないと。
まず、アマゾネスの強さには《星》を与えられた頂点の《1等星》がある。
そして、その次に強い《2等星》《3等星》《4等星》と続いて、最後に《5等星》がある。
《スキル》を持たない僕やセラさんは、自動的にこの5等星に分類される。
スキルとは10歳になると天から与えられる特別な力で、スキルは天が決めて、《設定》は自分で決められるそうだ。
もちろんスキルを持たなくても実力がズバ抜けていれば、4等星ぐらいにはなれるそうだ。
セラさんが言うには、そんな人は滅多にいないそうだけど、その一人が若かりし頃の魔星らしい。
つまりは魔力持ちのアマゾネスはそれだけ貴重な存在だということだ。
そして、何故魔力持ちが貴重かと言うと……
(良かった。いないみたいだ)
町に到着した僕は周囲を見回して、警戒する人物がいなくて一安心した。
この町、この島にはエルフがいる。エルフとは魔法の使い手で、高い魔力を持っている種族だ。
そして、この島の実質的な支配者だ。
その見た目は尖った耳と白い肌をしているらしいから、一目で分かる。
僕はまだ一度も会ったことないけれど……。
「えっと、こっちの方だよね」
とりあえず危険はなさそうだ。
町には追加のカラーリングと荷物持ちとして何度も来たことがある。
教えられた目印の建物(お店)を頼りに町の中を進んでいく。
町の外で暮らすような変わり者のアマゾネスは少ない。
それも一等星なら尚更だ。つまりは師匠と悪魔のことだ。
「ここかな?」
町中を探し歩いて、《アグリル=マゴルヒアの武器工房》という看板を見つけた。
その店の隣の建物には《アグリル=マゴルヒアの武術道場》という看板が掲げられている。
多分ここで間違いない。問題はどっちに入るかだ。
「すみませぇ~ん」
ちょっと迷ったけど、欲しいのは武器じゃなくて、強くなれる力だ。
色々な武器を砂地の建物の中で振り回している武術道場の人に声をかけた。
「やあ、こんにちは。何か用?」
なんて爽やかな汗が流れているんだろう。首筋やお腹を流れる汗が光って見える。
伸びた薄茶色の髪を箒みたいに頭の後ろで縛って、上着を腰に巻いて、胸を白い包帯で巻いた、木剣を持った人がやってきた。
僕のボロボロの修行着と違って、ここの人達はお揃いのオシャレな服を着ている。
薄い白生地の裾の方に行くほどに幅が広くなっていくズボン。
上着は長袖で、胸の部分から左右に切られて分かれている。
とっても涼しそうで、鉄線なんて一本も編み込まれていなさそうだ。
「はい、武星様の弟子になりに来たんですけど、僕でもなれますか?」
「それってどっちの弟子のこと?」
「えっ? どっちって……」
どっちって聞かれて答えに困っていると、勘のいいお姉さんが察してくれた。
「ああ、こっちに来たってことは武術の方ね。残念だけど、武術の方の弟子は諦めた方がいいよ。工房の方なら可能性はあるんだけどね」
「えっ、こんなに弟子がいるのになれないんですか?」
まさか断られるとは思ってなかった。
武術道場の広い建物の中には50人ぐらいの子供から大人のアマゾネスがいる。
一人ぐらい増えても問題ない広さがあると思う。
「ハハッ。この中に正式な弟子なんて1人もいないよ。ここはアグリルさんが作った武器の試し振りに来るぐらいで、その時に運が良かったら相手してもらえるぐらいさ」
「そうだったんですね……知らなかったです」
だけど、理由を聞いて落胆した。
弟子を取らない人なら、弟子になれるわけがない。
「ああ、でも、練習相手には困らないよ。ラナさんほどじゃなくても、強い人はたくさんいるからね。ちょっと試しにやってみる?」
もう帰ろうかと考えていたら、木剣の柄を僕に差し出して、爽やかなお姉さんが言ってきた。
「いいんですか?」
「良いに決まってるよ! さあ、振ってみようか!」
「は、はい!」
そうだ。ここまで来たんだから、ちょっとぐらいやって帰らないと損だ。
笑顔で差し出された剣を受け取ると、言われるままに上段に剣を構えて振り下ろした。
「やぁっ!」
「おお! 良いねえ! 君、才能あるよ!」
「本当ですか!」
こんなに褒められたのは生まれて初めてだ。
僕、ここでこの人に弟子入りしようかな?
「本当、本当! 剣は武器の中で最強だから、覚えておいた方がいいよ!」
「へぇー、そうなんですね」
「ちょっと聞き捨てならないわね。何が最強ですって?」
初めての優しい師匠と楽しく会話していると、明らかに不機嫌そうな長身のお姉さんがやってきた。
手に持っているのは身長よりも長い槍だ。
そのお姉さんに向かって、新師匠が睨みつけて言った。
「……剣が最強だって言ったんですよ。何か文句ありますか?」
「ええ、あるわ。最強は槍よ。アッハハハ。剣なんて使っている人が多いだけの所詮素人専用武器でしょ?」
「ハァッ? それこそ槍なんて遠くから腰振って突き刺すだけしか出来ない、ププッ、腰抜け専用武器じゃないですか?」
「……ヤルって言うの?」
「えっ、私はいいですけど。出来るんですか?」
「……後悔するんじゃないわよ」
「そっちがね」
何だろう、この空気。凄く身に覚えがある。
一触即発の殺し合いが始まる雰囲気だ。
「何と何が最強だって? 面白い話してるじゃない。私達も混ぜてくれないかしら?」
ほら、予感的中だ。剣と槍以外の人達まで集まってきた。
これ絶対、どの武器が最強なのか決める殺し合いが始まるよ。
「うーん、また悪魔かも」
期待と不安の両方を胸に抱えて、僕は町に向かって歩いていく。
薬星、拳星、武星、魔星……と、この島には星を与えられたアマゾネスがいる。
悪魔の監禁部屋から出たばかりの無知な僕に、姉弟子達が殴られる痛みと一般常識を教えてくれた。
一般常識の方には僕はとっても感謝している。これは本当だ。
さて、武星に会う前に復習しておこうかな。
少しでも気に入られるように頑張らないと。
まず、アマゾネスの強さには《星》を与えられた頂点の《1等星》がある。
そして、その次に強い《2等星》《3等星》《4等星》と続いて、最後に《5等星》がある。
《スキル》を持たない僕やセラさんは、自動的にこの5等星に分類される。
スキルとは10歳になると天から与えられる特別な力で、スキルは天が決めて、《設定》は自分で決められるそうだ。
もちろんスキルを持たなくても実力がズバ抜けていれば、4等星ぐらいにはなれるそうだ。
セラさんが言うには、そんな人は滅多にいないそうだけど、その一人が若かりし頃の魔星らしい。
つまりは魔力持ちのアマゾネスはそれだけ貴重な存在だということだ。
そして、何故魔力持ちが貴重かと言うと……
(良かった。いないみたいだ)
町に到着した僕は周囲を見回して、警戒する人物がいなくて一安心した。
この町、この島にはエルフがいる。エルフとは魔法の使い手で、高い魔力を持っている種族だ。
そして、この島の実質的な支配者だ。
その見た目は尖った耳と白い肌をしているらしいから、一目で分かる。
僕はまだ一度も会ったことないけれど……。
「えっと、こっちの方だよね」
とりあえず危険はなさそうだ。
町には追加のカラーリングと荷物持ちとして何度も来たことがある。
教えられた目印の建物(お店)を頼りに町の中を進んでいく。
町の外で暮らすような変わり者のアマゾネスは少ない。
それも一等星なら尚更だ。つまりは師匠と悪魔のことだ。
「ここかな?」
町中を探し歩いて、《アグリル=マゴルヒアの武器工房》という看板を見つけた。
その店の隣の建物には《アグリル=マゴルヒアの武術道場》という看板が掲げられている。
多分ここで間違いない。問題はどっちに入るかだ。
「すみませぇ~ん」
ちょっと迷ったけど、欲しいのは武器じゃなくて、強くなれる力だ。
色々な武器を砂地の建物の中で振り回している武術道場の人に声をかけた。
「やあ、こんにちは。何か用?」
なんて爽やかな汗が流れているんだろう。首筋やお腹を流れる汗が光って見える。
伸びた薄茶色の髪を箒みたいに頭の後ろで縛って、上着を腰に巻いて、胸を白い包帯で巻いた、木剣を持った人がやってきた。
僕のボロボロの修行着と違って、ここの人達はお揃いのオシャレな服を着ている。
薄い白生地の裾の方に行くほどに幅が広くなっていくズボン。
上着は長袖で、胸の部分から左右に切られて分かれている。
とっても涼しそうで、鉄線なんて一本も編み込まれていなさそうだ。
「はい、武星様の弟子になりに来たんですけど、僕でもなれますか?」
「それってどっちの弟子のこと?」
「えっ? どっちって……」
どっちって聞かれて答えに困っていると、勘のいいお姉さんが察してくれた。
「ああ、こっちに来たってことは武術の方ね。残念だけど、武術の方の弟子は諦めた方がいいよ。工房の方なら可能性はあるんだけどね」
「えっ、こんなに弟子がいるのになれないんですか?」
まさか断られるとは思ってなかった。
武術道場の広い建物の中には50人ぐらいの子供から大人のアマゾネスがいる。
一人ぐらい増えても問題ない広さがあると思う。
「ハハッ。この中に正式な弟子なんて1人もいないよ。ここはアグリルさんが作った武器の試し振りに来るぐらいで、その時に運が良かったら相手してもらえるぐらいさ」
「そうだったんですね……知らなかったです」
だけど、理由を聞いて落胆した。
弟子を取らない人なら、弟子になれるわけがない。
「ああ、でも、練習相手には困らないよ。ラナさんほどじゃなくても、強い人はたくさんいるからね。ちょっと試しにやってみる?」
もう帰ろうかと考えていたら、木剣の柄を僕に差し出して、爽やかなお姉さんが言ってきた。
「いいんですか?」
「良いに決まってるよ! さあ、振ってみようか!」
「は、はい!」
そうだ。ここまで来たんだから、ちょっとぐらいやって帰らないと損だ。
笑顔で差し出された剣を受け取ると、言われるままに上段に剣を構えて振り下ろした。
「やぁっ!」
「おお! 良いねえ! 君、才能あるよ!」
「本当ですか!」
こんなに褒められたのは生まれて初めてだ。
僕、ここでこの人に弟子入りしようかな?
「本当、本当! 剣は武器の中で最強だから、覚えておいた方がいいよ!」
「へぇー、そうなんですね」
「ちょっと聞き捨てならないわね。何が最強ですって?」
初めての優しい師匠と楽しく会話していると、明らかに不機嫌そうな長身のお姉さんがやってきた。
手に持っているのは身長よりも長い槍だ。
そのお姉さんに向かって、新師匠が睨みつけて言った。
「……剣が最強だって言ったんですよ。何か文句ありますか?」
「ええ、あるわ。最強は槍よ。アッハハハ。剣なんて使っている人が多いだけの所詮素人専用武器でしょ?」
「ハァッ? それこそ槍なんて遠くから腰振って突き刺すだけしか出来ない、ププッ、腰抜け専用武器じゃないですか?」
「……ヤルって言うの?」
「えっ、私はいいですけど。出来るんですか?」
「……後悔するんじゃないわよ」
「そっちがね」
何だろう、この空気。凄く身に覚えがある。
一触即発の殺し合いが始まる雰囲気だ。
「何と何が最強だって? 面白い話してるじゃない。私達も混ぜてくれないかしら?」
ほら、予感的中だ。剣と槍以外の人達まで集まってきた。
これ絶対、どの武器が最強なのか決める殺し合いが始まるよ。
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