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11・初めての友達
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「よぉーし! 行ったれ行ったれ!」
「弓矢なんかにやられんじゃないわよ! 短剣の凄さ見せてやりなさい!」
ほらね、始まっちゃった。第一回戦は弓対短剣だ。
一応どっちも木製の武器使っているけど、弓の矢は先端に鉄製の矢尻がないだけで、ほぼ実戦仕様だ。
僕、弓とは死んでも戦いたくない。
「はい、危ないから貸してあげる」
「あっ、どうもありがとうございます」
隣に座る知らない親切なお姉さんが木製の盾を貸してくれた。
確かに飛んできた矢が当たりそうで怖い。
試合は建物中央で行われるみたいだ。
対戦者二人以外は建物の壁際に座るか、立って応援している。
僕は流れ矢に当たらないように座って見学している。
姿勢を低くしていた方が当たりにくいはずだ。
「あ、危ない!」
思わず叫んでしまった。弓から放たれた矢を短剣の人が横に跳んで躱した。
その所為で矢が壁際の観客に向かって飛んでいく。
「……」
「凄ぉ!」
でも、その矢は壁際に立っていた人が、手に待つ木斧の刃を盾にして軽々受け止めた。
しかも、床に落ちた矢なんて気にせずに、弓と短剣の戦いを見続けている。
「こんなの出来て当然だろ?」みたいな感じで、めちゃくちゃカッコいい。
「うわぁ! ええっ!」
二人の戦いも目が離せないけど、飛んでいく矢からも目が離せない。
躱された矢達は観客達の武器によって、漏れなく叩き落とされている。
今のところ、流れ矢に倒された観客は0だ。
僕のところの喧嘩道場と違って、ここの道場のレベル高過ぎだよ。
「こ、降参します!」
「勝負有り! 勝者・短剣!」
「「「わああああ!」」」
「良くやったわ! 今日は私達の奢りよ!」
「弓使いの恥晒しめ! 私達の前で二度と弓持つんじゃねえ!」
決着がついたみたいだ。
短剣の人が真っ直ぐ突撃して、飛んできた矢を短剣で初めて弾いた。
これで勝負が決まった。そのまま次の矢を弓につがえる前に、弓の人を体当たりで地面に押し倒した。
あとは馬乗りになって、短剣の切っ先を喉元にピタリだ。
観客達は湧き上がり、勝者の短剣の人達は喜び、敗者の弓の人は弓の人達に罵倒されている。
敗者に厳しいのは何処も一緒だ。
「次は私達の番だよ。ほら、さっさと出てきな」
もう次の試合みたいだ。
さっきの長身の槍の人が道場の真ん中に立つと、槍の矛先で親切な剣のお姉さんを指名した。
「頑張ってください! 僕、応援してます!」
こんなに早くお姉さんの試合が見られるなんて幸運だ。
隣に座るお姉さんに頑張ってと伝えた。
「む、無理……」
「えっ?」
でも、そのお姉さんは木剣の柄を震える両手で握り締め、顔面蒼白になっていた。
「ど、どうしたんですか? 体調でも悪いんですか?」
「勝てない。あんなのに勝てない……」
「だ、大丈夫ですって! お姉さんなら勝てます!」
僕も悪魔との対決はいつも緊張している。お姉さんの不安な気持ちは分かる。
僕だって出来れば逃げ出したいし、部屋に引きこもりたい。
だけど、必ずランニングには行かされるし、悪魔も必ず現れる。
逃れられない運命ならば、立ち向かうしかないじゃないか。
「違う、そうじゃない。私、この道場に来たの昨日が初めて。剣も一日しか持ってない」
「……へぇ? ッ‼︎」
小声でお姉さんの口から衝撃の事実が告げられた。
だとしたら、クソ素人だ。槍の人の言った通り素人専用武器始めましたのクソ素人だ。
えっ、じゃあ、この人……たった一日しか剣握ってないのに、槍の人にあんな態度取ったの⁉︎
武器持って強気になったとしても、あれ言って許されるのは、最低でも20年以上剣握った人だけだよ。
「ごめん、これ貸すから代わりに戦って」
しかも、僕に木剣差し出してお願いしてきた。
もちろん答えは決まっている。全力で両手を振って拒否した。
「ちょっ無理ですって! 無理無理無理!」
「君、才能あるし私より強そうだから大丈夫だって。私達、友達でしょ? 助けてよ!」
「はぁ~っ?」
こんな無責任なお姉さんと友達になった覚えはない!
「ほら、来たよ……」
やれ、やらない、やれ、やらないを繰り返していると、お姉さんが右を指差し言ってきた。
「いつまで待たせるんだ。ぐちゃぐちゃ喋ってないで早くかかって来な」
槍のお姉さんが僕達の前までやってきた。
顔を見なくても、怒っているのはもう伝わっている。
「あっ、私、ちょっとトイレに行くので、その間、私の友達が相手します。あ痛たたたた、お腹が……」
「なぁっ⁉︎ あっ、ぼ、僕も……」
なんて下手な嘘なんだろうと思いながらも、僕も便乗させてもらった。
お腹を押さえて痛がるお姉さんの後に続こうとした。
でも、
「ひぃ!」
「一人は残りな。戻って来なかったら友達が酷い目に遭うよ」
僕とお姉さんの間を槍が通り抜け、壁に矛先が強くぶつかった。
「じゃあ私が先に。だ、大丈夫です、すぐに戻ってきますから……」
「はぅっ!」
笑顔でそう言って、お姉さんはトイレ(外)に逃げていった。
だけど、僕の目はしっかり捉えていた。
お姉さんの手刀にした右手が「めんご、めんご」と僕に向かって謝罪していた。
絶対に戻って来ない。これは確定事項だ。
——5分後——
斧対短剣の試合が終わったのに、お姉さんはトイレから帰って来なかった。
ここまでは予想通りだ。ハズレてほしかったけど、予想的中してしまった。
その結果、僕が生贄に選ばれた。
「弓矢なんかにやられんじゃないわよ! 短剣の凄さ見せてやりなさい!」
ほらね、始まっちゃった。第一回戦は弓対短剣だ。
一応どっちも木製の武器使っているけど、弓の矢は先端に鉄製の矢尻がないだけで、ほぼ実戦仕様だ。
僕、弓とは死んでも戦いたくない。
「はい、危ないから貸してあげる」
「あっ、どうもありがとうございます」
隣に座る知らない親切なお姉さんが木製の盾を貸してくれた。
確かに飛んできた矢が当たりそうで怖い。
試合は建物中央で行われるみたいだ。
対戦者二人以外は建物の壁際に座るか、立って応援している。
僕は流れ矢に当たらないように座って見学している。
姿勢を低くしていた方が当たりにくいはずだ。
「あ、危ない!」
思わず叫んでしまった。弓から放たれた矢を短剣の人が横に跳んで躱した。
その所為で矢が壁際の観客に向かって飛んでいく。
「……」
「凄ぉ!」
でも、その矢は壁際に立っていた人が、手に待つ木斧の刃を盾にして軽々受け止めた。
しかも、床に落ちた矢なんて気にせずに、弓と短剣の戦いを見続けている。
「こんなの出来て当然だろ?」みたいな感じで、めちゃくちゃカッコいい。
「うわぁ! ええっ!」
二人の戦いも目が離せないけど、飛んでいく矢からも目が離せない。
躱された矢達は観客達の武器によって、漏れなく叩き落とされている。
今のところ、流れ矢に倒された観客は0だ。
僕のところの喧嘩道場と違って、ここの道場のレベル高過ぎだよ。
「こ、降参します!」
「勝負有り! 勝者・短剣!」
「「「わああああ!」」」
「良くやったわ! 今日は私達の奢りよ!」
「弓使いの恥晒しめ! 私達の前で二度と弓持つんじゃねえ!」
決着がついたみたいだ。
短剣の人が真っ直ぐ突撃して、飛んできた矢を短剣で初めて弾いた。
これで勝負が決まった。そのまま次の矢を弓につがえる前に、弓の人を体当たりで地面に押し倒した。
あとは馬乗りになって、短剣の切っ先を喉元にピタリだ。
観客達は湧き上がり、勝者の短剣の人達は喜び、敗者の弓の人は弓の人達に罵倒されている。
敗者に厳しいのは何処も一緒だ。
「次は私達の番だよ。ほら、さっさと出てきな」
もう次の試合みたいだ。
さっきの長身の槍の人が道場の真ん中に立つと、槍の矛先で親切な剣のお姉さんを指名した。
「頑張ってください! 僕、応援してます!」
こんなに早くお姉さんの試合が見られるなんて幸運だ。
隣に座るお姉さんに頑張ってと伝えた。
「む、無理……」
「えっ?」
でも、そのお姉さんは木剣の柄を震える両手で握り締め、顔面蒼白になっていた。
「ど、どうしたんですか? 体調でも悪いんですか?」
「勝てない。あんなのに勝てない……」
「だ、大丈夫ですって! お姉さんなら勝てます!」
僕も悪魔との対決はいつも緊張している。お姉さんの不安な気持ちは分かる。
僕だって出来れば逃げ出したいし、部屋に引きこもりたい。
だけど、必ずランニングには行かされるし、悪魔も必ず現れる。
逃れられない運命ならば、立ち向かうしかないじゃないか。
「違う、そうじゃない。私、この道場に来たの昨日が初めて。剣も一日しか持ってない」
「……へぇ? ッ‼︎」
小声でお姉さんの口から衝撃の事実が告げられた。
だとしたら、クソ素人だ。槍の人の言った通り素人専用武器始めましたのクソ素人だ。
えっ、じゃあ、この人……たった一日しか剣握ってないのに、槍の人にあんな態度取ったの⁉︎
武器持って強気になったとしても、あれ言って許されるのは、最低でも20年以上剣握った人だけだよ。
「ごめん、これ貸すから代わりに戦って」
しかも、僕に木剣差し出してお願いしてきた。
もちろん答えは決まっている。全力で両手を振って拒否した。
「ちょっ無理ですって! 無理無理無理!」
「君、才能あるし私より強そうだから大丈夫だって。私達、友達でしょ? 助けてよ!」
「はぁ~っ?」
こんな無責任なお姉さんと友達になった覚えはない!
「ほら、来たよ……」
やれ、やらない、やれ、やらないを繰り返していると、お姉さんが右を指差し言ってきた。
「いつまで待たせるんだ。ぐちゃぐちゃ喋ってないで早くかかって来な」
槍のお姉さんが僕達の前までやってきた。
顔を見なくても、怒っているのはもう伝わっている。
「あっ、私、ちょっとトイレに行くので、その間、私の友達が相手します。あ痛たたたた、お腹が……」
「なぁっ⁉︎ あっ、ぼ、僕も……」
なんて下手な嘘なんだろうと思いながらも、僕も便乗させてもらった。
お腹を押さえて痛がるお姉さんの後に続こうとした。
でも、
「ひぃ!」
「一人は残りな。戻って来なかったら友達が酷い目に遭うよ」
僕とお姉さんの間を槍が通り抜け、壁に矛先が強くぶつかった。
「じゃあ私が先に。だ、大丈夫です、すぐに戻ってきますから……」
「はぅっ!」
笑顔でそう言って、お姉さんはトイレ(外)に逃げていった。
だけど、僕の目はしっかり捉えていた。
お姉さんの手刀にした右手が「めんご、めんご」と僕に向かって謝罪していた。
絶対に戻って来ない。これは確定事項だ。
——5分後——
斧対短剣の試合が終わったのに、お姉さんはトイレから帰って来なかった。
ここまでは予想通りだ。ハズレてほしかったけど、予想的中してしまった。
その結果、僕が生贄に選ばれた。
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