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第50話 アダマンタイトと運命の再会?
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「ほぉー、その百体の人形を操る巨大骸骨から、この魔石を手に入れたのか?」
「ええ、手に持った剣でバッサバッサと向かって来る人形達を斬り倒していき、最後に巨大骸骨の首を撥ねて、頭の中に手を突っ込んで引き摺り出しました」
「おお! 凄いですね!」
椅子に座って聞いている工場長とスタンに、私は身振り手振りで激戦を語っている。
人型戦闘機FRやバウンティハンター集団WBの話は一切しないし、私は一切関係ない。
とりあえず、ケイト達の所に戻る前に、町の新聞で凶悪殺人鬼のニュースが出てないか調べよう。
私の顔写真でも載せられていたら、急いで町から逃げないといけない。
「でも、魔石は大量のトゲに守られていたのに、よく掴めたな? 痛くなかったのか?」
「トゲは掴むと同時にへし折れました。私の鋼の腕にとっては、トゲも髪の毛と一緒ですよ」
「ほぉー、それは凄いもんだ——」
ピィピィ、ピィピィ、ピィピィ。
「おっと! 分析が終わったみたいだな。どれどれ……」
工場長は私の話を熱心に聞いていたが、分析器から分析終了の合図が鳴った。
話を聞くのをやめて、分厚い机のような金属分析器のモニターを見ている。
こちらとしては、未発見の金属でも、発見済みの金属でも問題ない。
高く売れれば何でもいい。
「なるほど、分かったぞ」
しばらく待っていると工場長が口を開いた。
「分かったという事は発見済みでしたか」
「ああ、その通りだ。人形もトゲもどっちも【アダマンタイト】だった」
「アダマンタイトですか?」
一度も聞いた事がない名前だった。
有名でもなければ、一般的でもないらしい。
そんな無知な私に工場長が優しく説明を始めた。
あんたも知らなかったんだから、一緒だぞ。
「アダマンタイトはオリハルコンよりも硬度が上の金属だ。ほとんど市場に出回ってない物で、国が保管しているらしい」
「国ですか……」
「ああ。大量に集めて、頑丈な地下シェルターでも作っているんじゃねぇのか?」
貴重な金属だと判明して嬉しいが、問題は取引先が国だという事だ。
入手方法と入手場所を詳しく話さないと、買取ってくれなさそうだ。
そして、正直に話すのはマズイ。没収されて、逮捕されそうだ。
出来れば、民間企業に即決で買取ってほしい。
「ちなみにこの人形二体で、どのくらいの値段になると思いますか?」
「難しい質問だな。金の下落と同じように需要と希少性で値段は変わるからなぁー」
工場長は私の質問に難しい顔をしている。現在の金一キロの価格は五十ドル程度だ。
ミスリルやオリハルコンも初期の頃と違って、最近はその量が増えて、価格も安くなった。
ミスリルは一キロ六ドル、オリハルコンは一キロ十ドル程度に落ち着いている。
個人的には一キロ一万ドルが希望だが、私も常識は分かっている。
この人形一体で百キロぐらいあるとしても、百万ドルにはならない。
それだと一体だけで、私の家のローンが払い終える金額になってしまう。
常識的な予想では、一キロ二十ドルが妥当なところだろう。
「ある程度でいいので言ってみてください。一般的な意見が聞きたいだけなので」
工場長が言いやすいように後押しする。
そこまで、正確な値段が知りたい訳じゃない。
今なら言い値を言ってくれれば、それで売ってもいい。
「そうだな……希少性は高い。だが、市場に出回っている量が少ないだけだ。金属自体は世界大戦時に大量に手に入っているはずだ。値段を付けるなら、一キロ十三ドルぐらいだな」
「うっ……」
十三ドル……結構低い金額だな。
ティラノサウルス一体のオリハルコンを全部売った金額と同じぐらいだな。
「なるほど、十三ドルですね。ちなみにあの人形の重量とか量れますか?」
「そんなのは簡単だ。参考程度に量ってやるよ」
工場長と一緒に眼鏡とサスペンダーを重量計まで運んでいく。
重量はすぐに分かった。
二体合わせて、三百九十二キロなので、約五千ドルになる。
「凄いですね。俺の二ヶ月分の給料と同じぐらいですよ」
店員が驚いているけど、私とお前とは住む世界が違う。
トレーラーに積んでいるアダマンタイトが約十五トンぐらいはあると思う。
だとしたら、買取り価格は二十万ドルぐらいにはなる。
そこそこの大金になるので、あとは合法的に売る方法を見つけるだけだ。
「工場長の所で買取り出来ませんか? 十五トン程あるので、買取ってくれると助かるんですけど」
「十五トン⁉︎ 凄い量じゃないですか⁉︎ 一体いくらぐらいになるんですか⁉︎」
いちいち驚くな。四人で分けたら、たったの五万ドルにしかならない。年収と同じ程度しかない。
そして、私は人間として数えられていない。おそらく、お前と同じ月給を渡されるだけだ。
これが悲しい現実だ。
「十五トンか。流石に多過ぎだな。この人形一体ぐらいなら買取ってもいいが、そこまでは必要ない。買取ってほしいなら、国に連絡して聞いてみた方がいいぞ。タダで寄越せなんて言わないだろうよ」
まあ、工場長が言っている事が一般的な意見だと思う。
参考にはなるけど、実行しようという気持ちにはなれない。
こっちは、さっさと厄介な荷物をトレーラーごと処分したいのだ。
「実はアダマンタイトを積んだ大型トレーラーに困っているんですよ。駐車する場所も見つからないので、早く積荷を売り払って、処分したいと思っているんですよ」
「それだったら、空いている倉庫を貸してもいいぞ。港の近くに大型船を修理する倉庫があるから、そこに駐めればいい」
早く売りたいと工場長に相談したら、のんびり売れと倉庫を貸してもらった。
求めている結果とはちょっと違うけど、そこまで悪くはないな。
「それは助かります。料金は一日二百ドルでいいですか?」
「金はいい。空いている倉庫を貸してやると言っただろう。それよりも魔石を見せてみろ。アダマンタイトの魔石なら、使い方が分かるかもしれん」
工場長が青魔石の使い方が分かったようだ。
「本当ですか?」と聞きたいが、工場長の機嫌を損なうだけだ。
大人しく青魔石を渡してみた。
「でも、どうして分かったんですか? もしかして、知っている魔石だったんですか?」
「分かるかもしれないだ。それにこんな魔石は見た事もない。ここに書いてあるやり方を試すだけだ」
工場長は『炎の魔石の使用方法』というネットに載っている情報を熱心に読んでいる。
軽く私も読んでみる。
炎の魔石はアダマンタイトの身体に守られたドラゴンから取れるらしい。
ドラゴンは空を飛び、炎を吐き、世界大戦時に一匹で数百の戦闘機を落としたそうだ。
現在の生息地は不明と書かれているので、絶滅はしていないらしい。
探して倒しに行くつもりはないので、要らない情報だな。
「炎の魔石の使い方は分かっている。普通のアビリティリングに嵌めても動かないそうだ。動かすにはプログラミングを備え付けた機器で、魔石の力をコントロールしないといけない」
「なるほど。この魔石と共通点は多いですね」
「ああ、そうだな。とりあえず、プログラミングするには時間がかかる。何をやらせたいか言ってみろ。一つぐらいなら明日の夕方には終わらせてやる。もちろん、こっちは料金を貰うぞ」
工場長は結構自信があるようだ。
料金を支払えと言うぐらいだから、間違いなく期待通りの仕事をしてくれる。
でも、いきなりやらせたい事と言われても……やっぱり困るな。
炎の魔石と似たような魔石なら何かを発射させる。
あとは分身とか、形を何種類かに変えるぐらいだろう。
とりあえず、この辺りを言ってみた。
「発射と形状変化だな。分かった。あと、そこのアダマンタイトを使わせてもらうぞ。作るなら最高の物を作らせてもらう」
私のやらせたい事を聞いて、工場長は張り切っている。
でも、最高の物は値段も高い。ケイト達に聞かずに私の独断で決める訳にはいかない。
「それは助かるんですけど、そのぉ……料金は抑えてくださいよ」
「分かっているよ。一万ドルなんて取らねえから安心しろ。せいぜい三千ドル程度だ。国の方には俺が連絡しておくから、アダマンタイトを売った金で払えばいい。嫌なら、他所を探すんだな」
金に汚い奴は嫌われる。
これだけやってやるのに、三千ドルも払えないクソ野郎の仕事なんて出来るか!
工場長の雰囲気を見れば、そう言っているようなものだった。
「いえいえ! よろしくお願いします!」
なので、急いで頭を下げてお願いした。
倉庫の貸し出し、国との買取りの仲介料と思えば、三千ドルは安いものだ。
♢
「ふぅー、これで海辺でレストランだな」
車から降りた私は海岸を歩いている。
工場長に頼んだら、従業員の車にスタンと一緒に乗せてもらった。
スタンはショップの前で降りて、私は海岸で降りた。
そして、従業員は「トレーラーを倉庫の場所まで案内しますね」とケイト達の所に行ってくれた。
親切な従業員のお陰で私は海辺でバカンスが出来る。
「さて、さっきの女子大生っぽい二人はどこにいるかな?」
キョロキョロと海岸と町並みの中に二人を探してみる。
運命の再会にしては早すぎる再会だが、早く再会しないと忘れられてしまう。
もちろん、本気で探すつもりはない。少しの癒しが欲しいだけだ。
「ふぅ……無理そうだな」
二十分後、私は諦めた。
こんな馬鹿な事をやるよりは、レストランとホテルを探した方がいい。
「おい……あれ見てみろよ」
「ヤバイな。タプンタプンじゃないかよ」
「声かけようぜ!」
「無理だって! めちゃくちゃ金持ちっぽいぞ!」
「んっ?」
前方の若い二人組の男が反対車線の歩道を歩く女を見ている。
金色の長い髪に顔には大きなサングラスをかけている。
黒の長袖シースルーブラウス、黒と紫の豹柄スカートを着て、左腕に水色のバッグを持っている。
手首や指に時折り光を放つ高級時計や指輪が見えるが、それよりもおっぱいがデカイ。
おっぱいがデカ過ぎるのだ!
「ま、まさか……あの胸……シンシアなのか?」
ぷるん、ぷるん。私は反対側の歩道を歩く、七メートル先のおっぱいを凝視する。
あの揺れる方のおっぱいには見覚えがある。
雰囲気は全然違う。シンシアは胸はデカかったが、髪の色は黒髪で清楚な印象だった。
でも、腰回りや尻の形、身長や体型はシンシアに似ている。
今すぐに右太腿の付け根のホクロ、左胸の下のホクロを確認したいが、それは難しい。
シンシアで正解なら許されるが、別人なら間違いなく留置所が今晩のホテルになる。
「いや、シンシアは病気の母親の看病をしているんだ! こんな場所にいるはずがない! 別人だ!」
私はただの胸の大きな女と結論を出すと、静かに女の後を付ける事にした。
それはそれ。これはこれ。おっぱいはおっぱいだ。
シンシアとは違うかもしれない。でも、おっぱいなんだ。
♢
「ええ、手に持った剣でバッサバッサと向かって来る人形達を斬り倒していき、最後に巨大骸骨の首を撥ねて、頭の中に手を突っ込んで引き摺り出しました」
「おお! 凄いですね!」
椅子に座って聞いている工場長とスタンに、私は身振り手振りで激戦を語っている。
人型戦闘機FRやバウンティハンター集団WBの話は一切しないし、私は一切関係ない。
とりあえず、ケイト達の所に戻る前に、町の新聞で凶悪殺人鬼のニュースが出てないか調べよう。
私の顔写真でも載せられていたら、急いで町から逃げないといけない。
「でも、魔石は大量のトゲに守られていたのに、よく掴めたな? 痛くなかったのか?」
「トゲは掴むと同時にへし折れました。私の鋼の腕にとっては、トゲも髪の毛と一緒ですよ」
「ほぉー、それは凄いもんだ——」
ピィピィ、ピィピィ、ピィピィ。
「おっと! 分析が終わったみたいだな。どれどれ……」
工場長は私の話を熱心に聞いていたが、分析器から分析終了の合図が鳴った。
話を聞くのをやめて、分厚い机のような金属分析器のモニターを見ている。
こちらとしては、未発見の金属でも、発見済みの金属でも問題ない。
高く売れれば何でもいい。
「なるほど、分かったぞ」
しばらく待っていると工場長が口を開いた。
「分かったという事は発見済みでしたか」
「ああ、その通りだ。人形もトゲもどっちも【アダマンタイト】だった」
「アダマンタイトですか?」
一度も聞いた事がない名前だった。
有名でもなければ、一般的でもないらしい。
そんな無知な私に工場長が優しく説明を始めた。
あんたも知らなかったんだから、一緒だぞ。
「アダマンタイトはオリハルコンよりも硬度が上の金属だ。ほとんど市場に出回ってない物で、国が保管しているらしい」
「国ですか……」
「ああ。大量に集めて、頑丈な地下シェルターでも作っているんじゃねぇのか?」
貴重な金属だと判明して嬉しいが、問題は取引先が国だという事だ。
入手方法と入手場所を詳しく話さないと、買取ってくれなさそうだ。
そして、正直に話すのはマズイ。没収されて、逮捕されそうだ。
出来れば、民間企業に即決で買取ってほしい。
「ちなみにこの人形二体で、どのくらいの値段になると思いますか?」
「難しい質問だな。金の下落と同じように需要と希少性で値段は変わるからなぁー」
工場長は私の質問に難しい顔をしている。現在の金一キロの価格は五十ドル程度だ。
ミスリルやオリハルコンも初期の頃と違って、最近はその量が増えて、価格も安くなった。
ミスリルは一キロ六ドル、オリハルコンは一キロ十ドル程度に落ち着いている。
個人的には一キロ一万ドルが希望だが、私も常識は分かっている。
この人形一体で百キロぐらいあるとしても、百万ドルにはならない。
それだと一体だけで、私の家のローンが払い終える金額になってしまう。
常識的な予想では、一キロ二十ドルが妥当なところだろう。
「ある程度でいいので言ってみてください。一般的な意見が聞きたいだけなので」
工場長が言いやすいように後押しする。
そこまで、正確な値段が知りたい訳じゃない。
今なら言い値を言ってくれれば、それで売ってもいい。
「そうだな……希少性は高い。だが、市場に出回っている量が少ないだけだ。金属自体は世界大戦時に大量に手に入っているはずだ。値段を付けるなら、一キロ十三ドルぐらいだな」
「うっ……」
十三ドル……結構低い金額だな。
ティラノサウルス一体のオリハルコンを全部売った金額と同じぐらいだな。
「なるほど、十三ドルですね。ちなみにあの人形の重量とか量れますか?」
「そんなのは簡単だ。参考程度に量ってやるよ」
工場長と一緒に眼鏡とサスペンダーを重量計まで運んでいく。
重量はすぐに分かった。
二体合わせて、三百九十二キロなので、約五千ドルになる。
「凄いですね。俺の二ヶ月分の給料と同じぐらいですよ」
店員が驚いているけど、私とお前とは住む世界が違う。
トレーラーに積んでいるアダマンタイトが約十五トンぐらいはあると思う。
だとしたら、買取り価格は二十万ドルぐらいにはなる。
そこそこの大金になるので、あとは合法的に売る方法を見つけるだけだ。
「工場長の所で買取り出来ませんか? 十五トン程あるので、買取ってくれると助かるんですけど」
「十五トン⁉︎ 凄い量じゃないですか⁉︎ 一体いくらぐらいになるんですか⁉︎」
いちいち驚くな。四人で分けたら、たったの五万ドルにしかならない。年収と同じ程度しかない。
そして、私は人間として数えられていない。おそらく、お前と同じ月給を渡されるだけだ。
これが悲しい現実だ。
「十五トンか。流石に多過ぎだな。この人形一体ぐらいなら買取ってもいいが、そこまでは必要ない。買取ってほしいなら、国に連絡して聞いてみた方がいいぞ。タダで寄越せなんて言わないだろうよ」
まあ、工場長が言っている事が一般的な意見だと思う。
参考にはなるけど、実行しようという気持ちにはなれない。
こっちは、さっさと厄介な荷物をトレーラーごと処分したいのだ。
「実はアダマンタイトを積んだ大型トレーラーに困っているんですよ。駐車する場所も見つからないので、早く積荷を売り払って、処分したいと思っているんですよ」
「それだったら、空いている倉庫を貸してもいいぞ。港の近くに大型船を修理する倉庫があるから、そこに駐めればいい」
早く売りたいと工場長に相談したら、のんびり売れと倉庫を貸してもらった。
求めている結果とはちょっと違うけど、そこまで悪くはないな。
「それは助かります。料金は一日二百ドルでいいですか?」
「金はいい。空いている倉庫を貸してやると言っただろう。それよりも魔石を見せてみろ。アダマンタイトの魔石なら、使い方が分かるかもしれん」
工場長が青魔石の使い方が分かったようだ。
「本当ですか?」と聞きたいが、工場長の機嫌を損なうだけだ。
大人しく青魔石を渡してみた。
「でも、どうして分かったんですか? もしかして、知っている魔石だったんですか?」
「分かるかもしれないだ。それにこんな魔石は見た事もない。ここに書いてあるやり方を試すだけだ」
工場長は『炎の魔石の使用方法』というネットに載っている情報を熱心に読んでいる。
軽く私も読んでみる。
炎の魔石はアダマンタイトの身体に守られたドラゴンから取れるらしい。
ドラゴンは空を飛び、炎を吐き、世界大戦時に一匹で数百の戦闘機を落としたそうだ。
現在の生息地は不明と書かれているので、絶滅はしていないらしい。
探して倒しに行くつもりはないので、要らない情報だな。
「炎の魔石の使い方は分かっている。普通のアビリティリングに嵌めても動かないそうだ。動かすにはプログラミングを備え付けた機器で、魔石の力をコントロールしないといけない」
「なるほど。この魔石と共通点は多いですね」
「ああ、そうだな。とりあえず、プログラミングするには時間がかかる。何をやらせたいか言ってみろ。一つぐらいなら明日の夕方には終わらせてやる。もちろん、こっちは料金を貰うぞ」
工場長は結構自信があるようだ。
料金を支払えと言うぐらいだから、間違いなく期待通りの仕事をしてくれる。
でも、いきなりやらせたい事と言われても……やっぱり困るな。
炎の魔石と似たような魔石なら何かを発射させる。
あとは分身とか、形を何種類かに変えるぐらいだろう。
とりあえず、この辺りを言ってみた。
「発射と形状変化だな。分かった。あと、そこのアダマンタイトを使わせてもらうぞ。作るなら最高の物を作らせてもらう」
私のやらせたい事を聞いて、工場長は張り切っている。
でも、最高の物は値段も高い。ケイト達に聞かずに私の独断で決める訳にはいかない。
「それは助かるんですけど、そのぉ……料金は抑えてくださいよ」
「分かっているよ。一万ドルなんて取らねえから安心しろ。せいぜい三千ドル程度だ。国の方には俺が連絡しておくから、アダマンタイトを売った金で払えばいい。嫌なら、他所を探すんだな」
金に汚い奴は嫌われる。
これだけやってやるのに、三千ドルも払えないクソ野郎の仕事なんて出来るか!
工場長の雰囲気を見れば、そう言っているようなものだった。
「いえいえ! よろしくお願いします!」
なので、急いで頭を下げてお願いした。
倉庫の貸し出し、国との買取りの仲介料と思えば、三千ドルは安いものだ。
♢
「ふぅー、これで海辺でレストランだな」
車から降りた私は海岸を歩いている。
工場長に頼んだら、従業員の車にスタンと一緒に乗せてもらった。
スタンはショップの前で降りて、私は海岸で降りた。
そして、従業員は「トレーラーを倉庫の場所まで案内しますね」とケイト達の所に行ってくれた。
親切な従業員のお陰で私は海辺でバカンスが出来る。
「さて、さっきの女子大生っぽい二人はどこにいるかな?」
キョロキョロと海岸と町並みの中に二人を探してみる。
運命の再会にしては早すぎる再会だが、早く再会しないと忘れられてしまう。
もちろん、本気で探すつもりはない。少しの癒しが欲しいだけだ。
「ふぅ……無理そうだな」
二十分後、私は諦めた。
こんな馬鹿な事をやるよりは、レストランとホテルを探した方がいい。
「おい……あれ見てみろよ」
「ヤバイな。タプンタプンじゃないかよ」
「声かけようぜ!」
「無理だって! めちゃくちゃ金持ちっぽいぞ!」
「んっ?」
前方の若い二人組の男が反対車線の歩道を歩く女を見ている。
金色の長い髪に顔には大きなサングラスをかけている。
黒の長袖シースルーブラウス、黒と紫の豹柄スカートを着て、左腕に水色のバッグを持っている。
手首や指に時折り光を放つ高級時計や指輪が見えるが、それよりもおっぱいがデカイ。
おっぱいがデカ過ぎるのだ!
「ま、まさか……あの胸……シンシアなのか?」
ぷるん、ぷるん。私は反対側の歩道を歩く、七メートル先のおっぱいを凝視する。
あの揺れる方のおっぱいには見覚えがある。
雰囲気は全然違う。シンシアは胸はデカかったが、髪の色は黒髪で清楚な印象だった。
でも、腰回りや尻の形、身長や体型はシンシアに似ている。
今すぐに右太腿の付け根のホクロ、左胸の下のホクロを確認したいが、それは難しい。
シンシアで正解なら許されるが、別人なら間違いなく留置所が今晩のホテルになる。
「いや、シンシアは病気の母親の看病をしているんだ! こんな場所にいるはずがない! 別人だ!」
私はただの胸の大きな女と結論を出すと、静かに女の後を付ける事にした。
それはそれ。これはこれ。おっぱいはおっぱいだ。
シンシアとは違うかもしれない。でも、おっぱいなんだ。
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