没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
1 / 121
1日目

返済期限

しおりを挟む
「よし、時間切れだ。取り立て開始だ」

 朝8時。返済期限がやって来た。
 予定通りにネロエスト男爵家の屋敷に、金貸し達が雪崩れ込んだ。
 運で成功した成金男爵の父親が、調子に乗って手広く商売した結果——失敗した。
 そして屋敷と財産を全て失うことになった。

 屋敷に残っているのは、一人と一匹だけだ。
 両親から大丈夫大丈夫だと言われて、一人残された三女カノン・ネロエスト17歳。
 ペットの茶色い大型犬パトラッシュ(オス)3歳だ。
 足りない分は娘に払わせると、父親に置き去りにされた。

「ほら、着替えだ。金目の物は全部置いて行ってもらう」
「あのぉ……この子も置いて行かないとダメですか?」
「クゥ~ン」

 部屋にいたカノンに金貸しの男がボロ服を投げ渡した。
 カノンはボロ服を見た後に、床でゴロンと寝ているパトラッシュを見て聞いた。

「あんっ? そんなデカ犬なんか金になるか。要らないから連れて行け」
「あ、ありがとうございます!」

 カノンはお礼を言うと、着ていた高い服をボロ服に着替えて男に渡した。
 そしてすぐに男に、パトラッシュと一緒に部屋から追い出された。

「パトラッシュ、私はどうすればいいの……」
「クゥーン……」

 長い金髪に紫色の瞳のカノンが、屋敷から持ち出される家財道具を途方に暮れて見ている。
 パトラッシュが悲しそうに鳴いて返事した。

 カノンには行く場所も頼れる人もお金もない。
 何不自由なく暮らしてきたから、家事も仕事もしたことない。
 世間知らずのお嬢様には、これから何をすればいいのか分からない。

「お嬢ちゃんお嬢ちゃん、忘れ物忘れ物」
「はい?」

 40代の金貸しの男が、高そうなハサミを持って走って来た。

「髪も売れるから切らせてもらうよ」
「がぁーん‼︎」

 ハサミを鳴らして、ニッと金貸しの男が笑うと、輝く金の差し歯が見えた。
 ショックを受けるカノンだったが、男は慣れた手つきで長い髪を素早くカットした。
 少し長めのショートヘアだけが残された。

「これで借金はギリ回収できた。お嬢ちゃんは自由だから行っていいよ」
「あの、どこに行けばいいんでしょうか? お金も住む場所もなくて……」

 これ以上取れる物はない。金貸しの男は用無しになったカノンを追い払った。
 だけど、カノンに行く場所はない。

「あーそれは困ったな。まあ若いんだから大丈夫だよ。ほら髪代を2500ギルドやるから冒険者ギルドに行ってみな。そこには優しいお兄さん達がいるから、泊めて欲しいと言えば面倒見てくれるよ」
「本当ですか⁉︎ ありがとうございます! 行こパトラッシュ」
「ワン!」

 男は財布から銀貨と銅貨を適当な枚数取り出すと、困っているカノンに渡した。
 カノンは大喜びして受け取ると、男に教えられた冒険者ギルドを探しに街に向かった。

 ♢

「おいおい、お前も悪い奴だな。この髪なら2万ギルドはするぞ」
「何言ってんだよ。散髪代に男を紹介してやったんだ。安いもんだ。三ヶ月も冒険者達に回されたら、世間知らずのお嬢ちゃんも立派なレディに成長だ」
「がっははは! 何が立派なレディだよ! 大人の店で働いているぞ!」
「その時は髪代を追加で払ってやるよ」

 少女と犬がいなくなると、金貸し達が戦利品を見せて喜びあった。
 綺麗な長い金髪2万ギルドと高い服6万ギルドだ。
 令嬢の髪なので庶民の髪よりも高値で売れる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

処理中です...