『私、シン・デレラさん。今から、継母と2人の義姉を殺しに行くの』

もう書かないって言ったよね?

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最終章 愛と憎悪の結末

『作戦失敗』

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 ポォカ!アリエルの頭を軽く叩きました。
 「うぐっ!」
 「出来るわけないでしょう。だって、ア~ちゃんを殺した程度で勝てるなら苦労なんてしないよ。トドメを刺される前に全員で生きて帰れる方法を考えて!」
 そんな方法があったとしても、簡単に見つかるはずはありません。
 タッタッタッ!エレノアが走ってきます。
 「そりゃ!ちょっと我慢してよね!」
 「つぅ、エレノア!私はいいから他をサポートしなさい!」
 「雑魚を回復するのは魔力の無駄遣いだよ!さっさと回復するから、ババアを倒してよ!」
 アリエルを抱え上げると、回復しながら逃げ回ります。今、レイアと戦い続けているのは四人だけです。
 「はぁ…はぁ…ふぅ…ふぅ、こっちは疲れているのに体力も化け物かよ。なぁ、ビクター!何か策はないのかよ!」
 「ない。」
 「いざとなると使えないなぁ~!」

 (……2個壊した。大体の位置は掴めたが、まだ見落としがあるかもしれない。やるなら気付かれないように1発勝負になるな!)
 倒す策はないと言いましたが、可能性があるとしたら、壊れない身体を破壊するよりは、魂を攻撃する方が得策です。魂を壊せば、おそらくはただの人形に戻ります。
 大空間にはアリエルが設置した亡霊除けの呪いと聖油の松明があります。松明を先に壊すと暗闇になり、亡霊除けの呪いを壊すと松明の光が届かないところから、亡霊が入ってきます。
 それ以外にも大空洞から逃げられないよう、通路は全て破壊しないといけません。もしも、作戦がバレてしまったら、必ず妨害されます。流れ弾を装って壊す事が出来たのは2個の魔法陣だけでした。

 (天井が崩れるから、大規模な魔法が使えないけど、さすがにここまで来るだけあって、雑魚の中でも強いのがやって来たね!今度は人間の魂を使って実験……私は何を考えているんだい!他の種族は駄目だよ!)
 1000年以上生きて、彼女がやってきた事は、そのほとんどがエルフへの復讐かもしれません。大陸各地に離れて暮らすエルフの民を、彼女は見つけ出しては、その知識や技術を奪い取りました。
 奪い取った知識や技術にはドワーフのものも混じっていました。
 (ああ、なんて事でしょう。愚かにもドワーフを倒した事でその知識や技術、財宝だけではなく、強欲さえも手に入れたしまったのね。私が純粋なエルフに戻さなければ……)
 彼女は里の強欲な長老達は殺して、若いエルフにはチャンスを与えてあげました。いつしか古い歴史は破棄されるようになり、彼女の事を人造エルフと呼ぶ者は少なくなっていました。

 「全員よく聞け!奴を倒す!ロキオスは奥の通路を壊し、他の者は全ての魔法陣と松明を壊してくれ!ゴブリンはいつでも術が使えるように待機していろ!」
 勇者フェイスはビクターの作戦を聞くとミランダから神剣カインを奪い取りました。
 「ハッ。足止め役が必要だろうが!」
 二本の神剣でレイアに単独で挑みます。
 (横、上、真っ直ぐ、下!やっぱりある程度の攻撃パターンが決まっている。お前の動きは半分ぐらいは覚えた!)
 見えない魔法攻撃をほとんど勘で避けようとします。ロキオスはすでに、魔剣に蓄えた魔法で奥の通路を破壊しました。ミランダやライラが部屋の中の松明や魔法陣を壊して回り、少しずつ大空洞は暗く寒くなっていきます。
 ドォーグゥン!
 「がぁはっ!」
 一直線に進む無属性魔法でフェイスは思い切り、後方に吹き飛ばされていきました。
 (暗闇での戦い?片方の通路を塞ぐ意味?魔法陣の破壊!なるほどね!私を閉じ込めて亡霊共に襲わせるつもりだね!やるんだったら、もっと相手に気付かれないように隠れてやるもんだよ!)
 全員に聞こえるように大声で指示を出したので、味方の行動は迅速で的確でしたが、敵にも狙いがバレてしまいました。
 レイアはただ一つの出入り口に向かいます。全ての松明と魔法陣が消えれば、数十万の亡霊達が襲って来ます。そうなれば全員が魂をズタズタに引き裂かれて死んでしまいます。足止め役はダウン中でいません。
 「チッ!こっちじゃないね!」
 出入り口に向かっていましたが、急いで方向転換して、コソコソと隠れていた神ゴブリンに向かっていきます。
 (危ない危ない、私を通路に向かわせて、ここから追い出すつもりだね!出入り口を塞がれて籠城されたら、逃げられるじゃない!)
 閉じ籠っても予備の聖油があれば、魔法陣を書き直す時間ぐらいは稼げます。それに神ゴブリンが回復すれば出入り口を塞いでもテレポートで全員が脱出できます。他にも魂を引き裂かれたら、せっかく何百年もかけて育てた、ライラの魂が手に入りません。
 大空洞にいる中で一番厄介な特殊能力を持つ神ゴブリンに向かっていきます。
 角ゴブリンの角を持って回復していた神ゴブリンですが、得意の雷魔法で攻撃しても効果はないでしょう。無様に命乞いするか、一人だけテレポートで遠くに逃げるか、それとも仲間を裏切って、敵に寝返るか……。

 「当たれ、当たれ、当たれ!」
 ヒューン、ヒューン、ブゥン、ドォシャー!
 雷を飛ばして攻撃しましたが、地面を滑るように移動するレイアには避けられてしまいます。顔面を右拳で殴られて吹き飛ばされてしまいました。
 「おぉごぅお!うっぐっ、ど、ど、どうか、お願いします!何でもしますから、助けてください!お願いです、殺さないで!」
 「見っともない。さっさと死になさい!」
 至近距離から神ゴブリンの顔を狙って、魔力の塊が右手から発射されました。当たった瞬間に神ゴブリンの頭はバラバラに粉砕されます。
 「オリャ~~、殺らせるわけないだろう!」
 ドォフゥ!間一髪、勇者がレイアに体当たりをして、攻撃の軌道をズラさせます。なんとか即死は免れて、神ゴブリンの左肩がバラバラに吹き飛ぶだけで済みました。
 「がぁあぁぁぁぁ~~!」
 「チッ!邪魔すんじゃないよ!」
 レイアは素早く体勢を立て直すと、勇者に向かって強烈な右蹴りを放ちました。
 「ぐっ!」
 とっさに神剣で蹴りをガードしましたが、腕の方が耐え切れなかったようです。右手の親指と人差し指が不自然に方向に曲がっていました。

 次回もあります。作者の一人『まあ、こうなりますね!何事も予定通りには進みません。もうしばらく続きます。』
 
 
 
 

 

 
 
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