上 下
6 / 72

第6話 カタツムリと魚肉集め

しおりを挟む
「あれ? あれ? これ空だよぉー!」

 期待してたのに、中身はガラガラのスカスカだった。
 逆さにしても、ホコリも落ちて来なかった。

「まあいいかぁ! 手に入れた食糧をたくさん入れられるぞ!」

 僕の鞄は普通の鞄だ。この魔法のアイテムポーチなら、腐らずに食糧を保存できる。
 やっぱりツイている。

「よぉーし! 次はエスカルゴスライムだ!」

 右手に剣を持って、地面に左手を置いた。
 素手で倒すのは大変だから、剣があるなら使わないとね。

「召喚!」と唱えると、魔法陣から青色の丸い渦巻き貝殻を背負った、青色のカタツムリが出て来た。

「かたぁぁぁ……」
「う~ん、凄く弱そう」

 剣で倒すのが可哀想なぐらい、エスカルゴスライムは動きが遅い。
 こんなの召喚しても役に立ちそうにない。でも、何かの役に立つかもしれない。
 剣を振り上げると、「えいッ!」と振り下ろした。

「かたぁ……」

 グシャと貝殻を砕いて、中身を切り裂いた。やっぱり剣があると楽だ。
 エスカルゴスライムが消えると、【青貝肉】【柔らかい青丸貝殻】【ネバネバ液(透明)】が現れた。
 色が悪いけど、貝の肉なら生でも食べられそうだ。

 でも、まだ食べる気にはならない。最後の1匹が残っている。
「召喚!」と唱えると、フィッシュスライムを魔法陣から呼び出した。

「ぎょぉ⁉︎ ぎょぉ⁉︎」
「…………」

 青色の大きな魚が地面の上を必死に跳ねている。このまま何もしなくても倒せそうだ。
 僕の召喚するモンスターって、全部この魚みたいに雑魚なのかも。
 剣を地面にソッと置くと、尾ひれを両手で掴んだ。

「えいッ! えいッ! えいッー!」
「ぎょぎょーッ!」

 地面に何度も叩きつけて、フィッシュスライムを楽々倒しちゃった。
 剣を使う必要もない、凄く大きな雑魚だった。

【青魚肉】【青い鱗】【青い魚骨】

「う~ん、やっぱり色が悪いよね」

 青い貝肉に青い魚肉と、生で食べるには勇気がいる色だ。
 やっぱり火を起こして、焼いて食べたい。卵も焼けば食べられるかも。

「火、火、火……駄目だ。火打ち石はあるけど、燃やせる物がないと無理だよぉー」

 チラッと杖ゾウを見たけど、僕には剣で削り杖ゾウにして、薪代わりにするなんて残酷な真似は出来ない。
 それをやるなら、薬草や青い羽根を大量に集めて、燃やした方がいい。

「よぉーし! 経験値集めながら、薬草集めちゃうぞ!」

 スライムグミは味はしないけど、食べればMPがちょっと回復する。
 お腹がパンパンになるまで頑張って、レベルアップだ。
 そしたら、新しいスライムがまた呼び出せるかも。
しおりを挟む

処理中です...