【完結】王洞 〜名も無き国の名前を捨てた王様〜

もう書かないって言ったよね?

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第十八訳★ 個性的な外交

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「オレ、この森に、小さな頃から、ずっと前から住んで、イル……」

 完成した泥水プールに入るのは綺麗になるまでお預けだ。今日は新しい水源を探しながら、片言の日本語を喋る練習をしている。
 外国人のたどたどしい日本語の話し方というのは、実際に喋ってみると難しいものだ。個性を出す、個性を見せると、日本は個性というものを大事に育てるというか、個性を作っている。個性というものは言うなれば、他人との違いだ。賢さや強さでは勝てないから、馬鹿さと弱さで勝とうするようなものだ。
 それは努力ではなく、真剣に勝負する事を放棄しているだけだ。個性を大切にしているは、負けを認めない為の言い訳でしかない。個性は作られるものだ。伸ばすものではない。唯一、伸ばした方が良いのは才能だけだ。

「やはり普通に喋った方がいい。馬鹿な練習はせずに道を作るとしよう」

 私はノコギリを持つと倒木を切る事にした。持ち運べる大きさに切った倒木を、洞窟城の周囲に積み上げて城壁を作る一大事業だ。侵入者や敵対者への対応策だけでなく、広範囲への移動を可能にする優れたものだと思っている。
 けれども、直径50センチ程の倒木を輪切りにするつもりはない。せいぜい人間一人に出来るのは、枝を切り落として倒木を楽に跨げるようにする事だけだ。

 とりあえず方位磁石を使って、北側にある町への一本道を作る事にした。落ちている枝も多数ある。集めて燃やせば灰になる。野焼きという文化もあるのだ。焼いて何が悪い。
 
「……でも、今はやめておこう。短絡的な目立つ行動は控えた方がいい」

 一度、山の中に人が住んでいる事がバレると、もう隠すのは不可能だ。私は山の中にある国に住んでいる王様として、ユーチューバーになる事を計画している。
 いつかは日本人に私の国が見つかってしまうのは避けられない事だ。見つかった時の対策を用意しないと排除されて終わりだ。短絡的にやって来た人間を皆殺しにするのは、馬鹿が考える事だ。
 自分が映画『ランボー』の主人公である軍人になったつもりでいるなら……それは錯覚だ。一人殺せば、次は二人来る。二人殺せば、次は銃を持った警察官が50人は来る。それが現実だ。
 私は各地を転々と移動する犯罪者でも殺人鬼でもない。一ヶ所に留まるつもりならば、隣国の住民とは友好的にならなくてはいけない。全てはいかに協力者を集められるかだ。

「携帯電話は止められている。国にやって来た日本人に動画を撮らせて配信させるしかない。やはり野鳥を罠で捕まえて、焼くしかないな」

 最大の売りが野鳥の捕獲と丸焼きならば、すぐに飽きられるのは分かっている。食べられる草やキノコを知っているのは当然だ。……個性を出さなければいけないな。
 

 
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