【完結】王洞 〜名も無き国の名前を捨てた王様〜

もう書かないって言ったよね?

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第三十六話★ 二度目の訪問

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 美聡と一緒に風呂に入り、一緒のベッドで寝た。それこそ時間の許す限り抱き合ったと言いたいけど、時間的には午後7時から午後10時の間だ。流石に体力と眠気には勝てなかった。
 冷房の効いた部屋で寝るのは快適だ。洞窟では扇風機さえもなかった。用意できるのは団扇と足湯ならず足水だけだった。

「……」

 夜中に目覚めると、聡美のスゥー、スゥーという寝息が聞こえてきた。男と一緒に寝るのに慣れているのか、海水浴とセックスで疲れ果ててしまったのか……それでもチャンス到来だ。
 暗い部屋の中を見渡してロープを探してみた。やっぱり無さそうだ。刑事ドラマのように家電製品のケーブルを使って首を絞めればいいのだろうか? それとも手で直接絞め殺せばいいのだろうか? けれども、美聡の寝顔を見て、殺す気は失せてしまった。麻未は殺す価値はあるが、美聡にはそこまでの価値は無かった。

 レタス、チンゲンサイ、白菜、ホウレン草、カリフラワー、ニンニク、玉葱、ゴボウ、大根、カブ、ジャガイモ……九月に種まきして育てられる野菜は多い。大根とカブは成功したので、次も収穫できるはずだ。
 冬ならば白菜を使って鍋を食べたいけど、白菜は育てにくい。作るなら、玉葱、大根、ジャガイモがいいはずだ。とくに畑で収穫した白くて細い大根の味は、市販の物とは比べ物にならないぐらいに興奮する味だった。

 最初は小さな種だったものが、大きく成長する姿は見ていて感動するものだ。醜く成長するものと、美しく成長するものがあるが、全てを私達の子供達だと思って、私は差別する事なく食した。私だけに効く特別で安全な薬物だ。
 大根の味を思い出していると、また身体の一部が元気になってしまった。流石に熟睡している美聡を起こす訳にはいかない。この時間にマンションから追い出される訳にはいかない。何事も我慢は必要だ。

 明日の朝には出勤する美聡と一緒に、マンションから出ないといけない。私と麻未を二人っきりにするつもりはないし、麻未が私と二人っきりになりたくないからだ。
 最初からそういう約束で泊まる事になっていたから仕方がないとはいえ、薄情過ぎる。社交辞令でも、『二、三日泊まっていかない?』と聞いくれてもいいだろうに……まあ、追い出されても問題はない。金ならある。

 ・
 ・
 ・

 朝食を食べ終わると、美聡と一緒に風呂に入って、マンションを出た。マンションの玄関で、私服姿で出勤する美聡に一晩泊めてくれたお礼を言った。

「ありがとう。二人の事は忘れないから」
「いいの♪ いいの♪ エッチしてお小遣いも貰えたんだから、ラッキーって思ってるから。また、私が欲しくなったら来てね。10万円でいいから♪」
「それなら、当分は大丈夫かな? じゃあ、お仕事頑張ってね」
「はぁ~い、行ってきまぁ~す」

 美聡はお客様からの電話対応を午前9時~午後6時まで派遣社員としてやっているそうだ。つまり……マンションにしばらくは帰って来ないという意味になる。
 朝エッチでテンションが上がっている美聡を送り出すと、私はしばらく周辺をウロウロしてから、再びマンションを訪れた。エレベーターに乗ると五階のボタンを押して目的の部屋に向かう。チャイムを鳴らすと、すぐにインターホンから麻未の声が聞こえてきた。


 

 
 

 
 
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