【完結】王洞 〜名も無き国の名前を捨てた王様〜

もう書かないって言ったよね?

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第三十八話★ 503号室の郵便ポスト

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 麻未の部屋は美聡の部屋と広さはほとんど同じだった。
 フローリングの床に白いベッド、ベッドの上には猫の頭を大きくしたようなヌイグルミなのか、枕なのか分からない物がある。流行りの汚部屋女子ではないようで綺麗に片付けられている。いや、どちらかというとミニマリストと呼ばれる、あまり物を持たない人タイプのようだ。
 小さなテーブルの上には化粧道具と鏡が置いている。美聡と一緒でテレビを見る時はリビングに置いてある物を使うようだ。洋服ダンスと布製の収納ボックスが三段積み上げられているので、まずはそこを探してみた。

「まずはここから調べるよ?」
「……どうぞ」

 一応、女性の洋服ダンスだ。いきなり引き出しを開けずに紳士的に聞いてみた。財布がここにはない事は知っているので、隠せそうな場所を探しているフリをする。麻未がどんな服を持っていて、その服の下にどんなブラやパンティーを身に着けているのか気になるものだ。
 その気になる疑問も一番上の引き出し開けるとすぐに判明した。パステルカラーの淡いパープルやグリーン、ピンクやオレンジといったブラやパンティーが姿を現した。

「……」

 麻未の目の前で畳まれたパンティーを広げて、滑らかな生地を指で撫でて、匂いを嗅いだらどんな反応をするだろうか? 
 きっと、間違いなく私への不信感が膨れ上がるはずだ。本当は財布を無くしたと嘘を吐いているのかもしれないと、そんな疑いを持たせる事になる。目的地はここじゃない。まったく気にしていない素振りで、服や下着の下に何か隠されていないか調べ続ける事にした。

「ここに何か硬いものがあるんですけど?」
「ああっ……それは関係ないものです。気にしないでいいです……」
「そうなんですか……でも、調べないと無実は証明できませんから」

 そう言われると調べたくなってしまうから不思議だ。服の下に何か硬い感触があったので服を退かして調べてみた。そこには男性器の形をした肌色の大人の玩具が隠されていた。麻未としては隠している訳ではなく、保管しているだけかもしれない。
 けれども、普段から美聡が会社に出掛けた後に使用しているのは間違いないようだ。玩具のスイッチを入れるとブルブルと振動を始めた。乾電池式なので放ったらかしにしていたら、玩具は動かない。昨日の夜も隣の部屋の喘ぎ声に聞き耳を立てて使っていたかもしれないな。

「なるほど……確かにコレは財布とは関係なさそうだ。ごめん、見なかった事にするから」
「……」

 耳先まで赤くした麻未は恥ずかしいのか、こっちを見ずに何も映っていないリビングのテレビを見ている。
 触った感触で何となくは分かっていた。見なかった事には出来ないけど、優しさは必要だ。どうせ色々と探していけば、見られたくないような物は次々と見つかるはずだ。先に一番恥ずかしい物を見つけておいた方が楽にはなる。
 麻未の部屋を隅々調べ上げた結果分かった事は、当たり前だが、この家には財布がないという結果だけだった。あと調べていない場所があるとしたら、それは麻未の服の下だけになる。

「本当に疑って、ごめん。でも、最後にもう一ヶ所だけ調べさせてくれないかな? 麻未さんが服の下に隠しているとは思いたくないけど……」
「我慢しますから、早く調べてください」

 麻未はブルー、イエロー、ピンクの縞縞模様の長袖と長ズボンのモコモコした毛並みのパジャマを着ている。隠せられる場所があるとしたら、胴回りにズボンで挟むしかない。もちろんそれもあり得ない。身体を触りたいだけだ。
 精神的ダメージの少なそう場所から触っていく。二の腕から上腕、脹脛から太腿、背中、お腹、胸、股の間、お尻と、服の下も隈無く調べた。その結果、麻未の無実は完璧に証明された。当然の結果だ。これで私は無実の女性を犯人呼ばわりした最低のクソ野郎になった。

 名誉毀損、強制わいせつ罪、脅迫、強要、住居侵入と、麻未は抑え切れない怒りと屈辱で、今すぐに警察に通報したい気持ちのはずだ。けれども、まだ調べていない場所と人間がいる。美聡だ。
 まだ携帯電話を麻未に返す訳にはいかないと、美聡の職場に向かう為に麻未に出掛ける準備をさせた。麻未に部屋着から外出用の服に着替えてもらうと一緒に家を出た。エレベーターに乗って、一階に降りていく。そして、何気なく麻未に聞いてみた。一階にある二人の家の部屋番号が書かれた、鍵の掛かった郵便ポストの中も調べさせて欲しいと……。
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