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第1章
第16話⑦ピンチポイント②
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『ブヒヒン!』
「はぁはぁ! はぁはぁ!」
3日目。馬車に引き摺られて、目的地の【古代アルペニア神殿】に到着した。
もちろん両足と聖剣はヨハネが一瞬寝落ちした瞬間に回復した。
回復した後は引き摺られずに走ってきた。残念だったなメスゴリラ。
「おい、ここで間違いないんだな? 居なかったら殺すだけじゃ済まないからな」
急いで地面に寝転んだ。馬車の横扉を開けて、メスゴリラのリラが降りてきた。
山のような壁を掘って作られた古代神殿の入り口を見ながら、俺に聞いてきた。
「うぐっっ、そ、そんなぁ……ここに入った後の事は知らないのに」
「そんなの知らねえよ。テメェーが逃げたからいけないんだろうが。このクソ雑魚野朗が」
悲しそうな顔で言ってみたのに無駄だった。
絶対いないって分かっているから、もう死ぬのは決定だ。
馬車が止まって夜営している時は、両手足縛って逃げられないようにされた。
あれさえなければ、絶対に逃げられていた。
「さっさと回復して案内してください。ゴミと一緒の時間を過ごすのは苦痛でしかありませんから」
「ほら、さっさと回復しろ。引き摺ってくれるとでも思ってんのか」
3日間も人を引き摺ったかもしれないのに、なんて酷い奴らだ。
俺が物なら、お前らは人間じゃねえ。
「ありがとうございます。”ヒール〟!」
……とか言える人間だったなら、今頃、俺は棺桶の中だ。
生きていられるなら、物でも奴隷でも構わない。
「前衛は私一人で充分だ。おい、回復薬。しっかり付いて来いよ」
「はい、お任せください!」
両拳に武闘家が操る【氣】を増幅する金属籠手を装着して、リラが言ってきた。
いつもは妹と二人の脳筋前衛だ。回復するのが一人減ったから、余裕で付いて行ける。
「邪魔だ!」
『ギャン……!』
早くもダンジョン入り口近くに現れたロックウルフが、天井まで蹴り飛ばされた。
パラパラと肉片なのか、天井片なのか分からない石粒が降ってきた。
可哀想だが、その女は猫の尻尾も平気で引き千切る極悪人だ。
逃げる時は後ろ向きに走って逃げた方がいいぞ。
「チッ。この程度の雑魚にやられるわけないか。だったらボスだな。おい、ゴミ。遅れるんじゃないぞ」
「はい!」
落ちてくる死体をアイテム鞄でキャッチしながら応えた。
その通り、妹は無事にボス部屋まで辿り着いた。この脳筋武闘家なら余裕で辿り着ける。
つまり、この女を倒せるのはボスしかいない。
道の前後を武闘家と魔導師に挟まれたら逃げられない。
リラをボスに始末してもらう。俺が回復しなければ、きっとボスが倒してくれる。
残ったヨハネは魔導師だ。腕力は大した事ない。
帰り道に現れるモンスターを倒していけば、精神力が削られていく。
疲れて油断したところを剣で刺して殺す。二人はボスに挑んで死んだ事にする。
いや、ついでに妹も死んだ事にしよう。
俺達四人でボスに挑んで、俺だけ助かった事にしよう。
これなら三人の女が消えても、事故で済ませられる。
「オラッ!」
『ゲロッ……!』
そんな事とも知らずに、脳筋武闘家は現れた体長2メートルの【ギガントカエル】を一蹴りで蹴り飛ばした。
自分が死に向かって爆走している事に気づいてもいない。
これなら大丈夫だ。生きて帰ってこれたご褒美として、妹にお祝いしてもらおう。
おっと、その前に何か食べさせないと駄目か。
早く帰れたとしても、一週間も飲まず食わずだとかなりヤバイ。
寝ているから体力を消費しないとはいえ、普通の人間なら死ぬ。
LV65の脳筋戦士でも死ぬ可能性有りだ。
「ここみたいだな」
「はぁはぁ、はぁはぁ……!」
やっぱり雑魚モンスターじゃ相手にならなかった。ボス部屋到着だ。
ダンジョンを駆け足で爆走するメスゴリラの後を必死にモンスターの死体を回収しながら追い駆けた。
ボス部屋入る前に休憩したい。
「途中にいないという事は外に出たか、この中にいるみたいですね」
「もしくはモンスターの腹の中だな」
「あとはこのゴミが嘘を吐いた、という可能性も有りますけどね」
魔導師のくせに体力あるな。余裕で付いて来たヨハネとリラが話している。
妹はベッドの中にいるので、ダンジョンの中にもボス部屋の中にもモンスターの中にもいない。
俺を横目で見るヨハネのおっしゃる通り、俺が嘘を吐いているだけだ。
「あー、頭使うのは面倒だ! さっさと入るぞ。この中で死んでいるなら、剣ぐらいは落ちてるだろ」
「そうですね。道には何も落ちてなかったですし、ここにも無かったら、本格的な訊問をしないといけませんね」
リラの方が考える事を放棄してくれたのに、ヨハネが氷の微笑を向けてきた。
あの女の武器は【乗馬用鞭】と木の枝みたいな【短杖】だ。
あの鞭で俺の背中を叩くのを生き甲斐にしているのかと思うぐらいに叩きまくる。
最初は痛いだけだったが、今では叩かれると興奮する変態体質になってしまった。
それなのに最近は叩かなくなった。俺をこんな身体にしたのに無責任な女だ。
「はぁはぁ! はぁはぁ!」
3日目。馬車に引き摺られて、目的地の【古代アルペニア神殿】に到着した。
もちろん両足と聖剣はヨハネが一瞬寝落ちした瞬間に回復した。
回復した後は引き摺られずに走ってきた。残念だったなメスゴリラ。
「おい、ここで間違いないんだな? 居なかったら殺すだけじゃ済まないからな」
急いで地面に寝転んだ。馬車の横扉を開けて、メスゴリラのリラが降りてきた。
山のような壁を掘って作られた古代神殿の入り口を見ながら、俺に聞いてきた。
「うぐっっ、そ、そんなぁ……ここに入った後の事は知らないのに」
「そんなの知らねえよ。テメェーが逃げたからいけないんだろうが。このクソ雑魚野朗が」
悲しそうな顔で言ってみたのに無駄だった。
絶対いないって分かっているから、もう死ぬのは決定だ。
馬車が止まって夜営している時は、両手足縛って逃げられないようにされた。
あれさえなければ、絶対に逃げられていた。
「さっさと回復して案内してください。ゴミと一緒の時間を過ごすのは苦痛でしかありませんから」
「ほら、さっさと回復しろ。引き摺ってくれるとでも思ってんのか」
3日間も人を引き摺ったかもしれないのに、なんて酷い奴らだ。
俺が物なら、お前らは人間じゃねえ。
「ありがとうございます。”ヒール〟!」
……とか言える人間だったなら、今頃、俺は棺桶の中だ。
生きていられるなら、物でも奴隷でも構わない。
「前衛は私一人で充分だ。おい、回復薬。しっかり付いて来いよ」
「はい、お任せください!」
両拳に武闘家が操る【氣】を増幅する金属籠手を装着して、リラが言ってきた。
いつもは妹と二人の脳筋前衛だ。回復するのが一人減ったから、余裕で付いて行ける。
「邪魔だ!」
『ギャン……!』
早くもダンジョン入り口近くに現れたロックウルフが、天井まで蹴り飛ばされた。
パラパラと肉片なのか、天井片なのか分からない石粒が降ってきた。
可哀想だが、その女は猫の尻尾も平気で引き千切る極悪人だ。
逃げる時は後ろ向きに走って逃げた方がいいぞ。
「チッ。この程度の雑魚にやられるわけないか。だったらボスだな。おい、ゴミ。遅れるんじゃないぞ」
「はい!」
落ちてくる死体をアイテム鞄でキャッチしながら応えた。
その通り、妹は無事にボス部屋まで辿り着いた。この脳筋武闘家なら余裕で辿り着ける。
つまり、この女を倒せるのはボスしかいない。
道の前後を武闘家と魔導師に挟まれたら逃げられない。
リラをボスに始末してもらう。俺が回復しなければ、きっとボスが倒してくれる。
残ったヨハネは魔導師だ。腕力は大した事ない。
帰り道に現れるモンスターを倒していけば、精神力が削られていく。
疲れて油断したところを剣で刺して殺す。二人はボスに挑んで死んだ事にする。
いや、ついでに妹も死んだ事にしよう。
俺達四人でボスに挑んで、俺だけ助かった事にしよう。
これなら三人の女が消えても、事故で済ませられる。
「オラッ!」
『ゲロッ……!』
そんな事とも知らずに、脳筋武闘家は現れた体長2メートルの【ギガントカエル】を一蹴りで蹴り飛ばした。
自分が死に向かって爆走している事に気づいてもいない。
これなら大丈夫だ。生きて帰ってこれたご褒美として、妹にお祝いしてもらおう。
おっと、その前に何か食べさせないと駄目か。
早く帰れたとしても、一週間も飲まず食わずだとかなりヤバイ。
寝ているから体力を消費しないとはいえ、普通の人間なら死ぬ。
LV65の脳筋戦士でも死ぬ可能性有りだ。
「ここみたいだな」
「はぁはぁ、はぁはぁ……!」
やっぱり雑魚モンスターじゃ相手にならなかった。ボス部屋到着だ。
ダンジョンを駆け足で爆走するメスゴリラの後を必死にモンスターの死体を回収しながら追い駆けた。
ボス部屋入る前に休憩したい。
「途中にいないという事は外に出たか、この中にいるみたいですね」
「もしくはモンスターの腹の中だな」
「あとはこのゴミが嘘を吐いた、という可能性も有りますけどね」
魔導師のくせに体力あるな。余裕で付いて来たヨハネとリラが話している。
妹はベッドの中にいるので、ダンジョンの中にもボス部屋の中にもモンスターの中にもいない。
俺を横目で見るヨハネのおっしゃる通り、俺が嘘を吐いているだけだ。
「あー、頭使うのは面倒だ! さっさと入るぞ。この中で死んでいるなら、剣ぐらいは落ちてるだろ」
「そうですね。道には何も落ちてなかったですし、ここにも無かったら、本格的な訊問をしないといけませんね」
リラの方が考える事を放棄してくれたのに、ヨハネが氷の微笑を向けてきた。
あの女の武器は【乗馬用鞭】と木の枝みたいな【短杖】だ。
あの鞭で俺の背中を叩くのを生き甲斐にしているのかと思うぐらいに叩きまくる。
最初は痛いだけだったが、今では叩かれると興奮する変態体質になってしまった。
それなのに最近は叩かなくなった。俺をこんな身体にしたのに無責任な女だ。
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