47 / 98
第2章
第47話⑦ピンチポイント②
しおりを挟む
当初の予定通りにダンジョンデートを済ませて、武器を集めて広場に戻ってきた。
「ほぉー、本当に戻って来るとは思わなかった。暇な奴らじゃな」
俺達の帰りを広場で隠れて待っていたトン爺さんが、俺達を見ると瓦礫の中から現れた。
「あんたにだけは言われなくないわね。ほら、これだけあればいいでしょ」
それに対してリラが言い返すと、アイテム鞄をひっくり返して、中からジャラジャラ武器を落としていく。
百本以上、二百本以下と言ったところだ。
「ほぉー、やりおるな。LV50以上か?」
「LV70よ。ほら、さっさと呼び出しなさい」
「まったく、口の悪い娘じゃの。お前さんもこんなのが恋人だと苦労しておるじゃろ?」
やっぱり他人から見てもそう見えるみたいだ。ちょっと嬉しい。
だけど、ちょっと間違っているので訂正した。
「いえ、恋人じゃなくて、妻です」
「何と⁉︎ お主、ドMじゃの」
「ははっ……よく言われます」
「コラッ! 無駄話してないで、さっさとやりなさいよ!」
儀式を始めずにトン爺さんと話していると、リラに怒られてしまった。
確かに結婚した俺の勇気を誉めてあげたくなる。
「と言われてものぉー……武器を置く以外にやる事はないじゃろ。これで何の反応も現れないという事は、武器が足りないか、武器じゃないという事じゃ」
これ以上は何も出来ないと困った顔でトン爺さんが言った。つまりは手詰まりだ。
「それか、ダンジョンボスがいないか、ね。ほら、いないって分かったんだから帰るわよ。爺さんも無駄な事やってないで、家に帰るのね」
「ちょっ、リラ! もう少しだけ待ってよ!」
女の子は諦めるのが早すぎる。
リラが俺の右腕に左腕を通して組むと、馬車に帰ろうと引っ張っていく。
俺も早く馬車でエッチしたいけど、武器が駄目なら、念の為にエッチもした方がいい。
「もぉー。約束したでしょ。駄目だったんだから諦めなさい」
「いや、何か他にも条件があるのかも。亀裂に武器を差し込むとか、魔法の呪文があるとか……」
もちろんそれを爺さんの前で言えるわけがない。
爺さんが瓦礫に隠れて見学するに決まっている。
「魔法の呪文ねぇ……お爺さん、何か知ってる?」
俺の必死の説得の効果か、リラが腕組みをやめてトン爺さんに聞いた。
「いや、聞いた事もないの。昔の歴史書にチラッと【封印されし古代兵器】が眠る場所と書かれていたぐらいじゃ。それ以外には何の情報もない」
「封印されし古代兵器ねぇ……だったら封印解呪する呪文か、スイッチでも探すしかないわね。じゃあ、頑張ってお爺さん」
やっぱり酷い女だ。手掛かりがないと分かったら、トン爺さんに丸投げした。
これで残りの人生もこのダンジョンに捧げる事になる。
「ちょっと待て!」
もちろん、流石のトン爺さんもそれは嫌みたいだ。
帰ろうとするリラを呼び止めた。
「もぉー、まだ何かあるの」
「スイッチなら日々探しておる。それが見つからないという事は【解除呪文】じゃ! 悪いが知り合いの冒険者に魔法使いはいないか! 何でもいいから解除呪文を試していけば、反応するはずじゃ!」
「あっ、それなら必要ないです。俺、僧侶です」
「何と⁉︎ 【超戦士LV135】じゃないのか⁉︎」
いえ、ただの僧侶LV23です。
俺が名乗り出ると、トン爺さんが今日一番の驚きの表情になった。
よく誤解されるけど、状態異常解除できる僧侶です。
「”アンチポイズン〟”アンチスリープ〟”アンチパラライ〟……」
とりあえず、三つの状態異常解除呪文を唱えてみた。
しらばく待ったけど、何も反応がなかった。
つまりはもう”アンチカース〟や弱体解除呪文を試すしかない。
「やはり駄目じゃったか。解除呪文じゃと思ったんじゃが……」
俺の所為じゃないと分かっていても、ガックリ項垂れているトン爺さんを見たら思うところはある。
多分、他の解除呪文を全部試しても無駄だと思う。
「封印されし古代兵器かぁ……」
手掛かりはこれだけだ。
余計な部分を減らして考えても、【封印された武器】だ。
武器、武器、武器……
「あっ、もしかして?」
「何じゃ、何か分かったのか?」
封印と武器。考え続けると似たようなものを思い出した。
【レシピ本】と【素材】だ。だったら、唱える呪文は魔法使いじゃなくてもいい。
誰が使っても効果はある。
「”シンセシス〟」
「何と⁉︎」
合成の呪文を唱えた。大当たりだ。
地面に山積みされた武器を覆うように帯のような光の呪文が現れた。
呪文の帯に触れた武器が形を変えて増えていき、無数の武器が建物のような大きな何かに変わっていく。
武器というよりは巨大な黒鉄の武器の集合体、【ウェポンスケルトンキメラ】だ。
その見た目は上半身が人間・下半身が馬の【ケンタウロス】に近い。
あくまでも近いだけで、太い尻尾が生えた下半身はドラゴン、上半身は屈強なミノタウロスだ。
強靭な四本の足とたくましい二本の腕。
頭のこめかみから、前に突き出た太く鋭い二本の角。
口のような隙間に剣の牙が並んでいる。
左右の手に一本ずつ、黒い両刃の超大剣を持っている。
全身が数万本と言える数の武器、武器、武器で作られている。
体長15メートルを超える、まさに武器の化身だ。
「ほぉー、本当に戻って来るとは思わなかった。暇な奴らじゃな」
俺達の帰りを広場で隠れて待っていたトン爺さんが、俺達を見ると瓦礫の中から現れた。
「あんたにだけは言われなくないわね。ほら、これだけあればいいでしょ」
それに対してリラが言い返すと、アイテム鞄をひっくり返して、中からジャラジャラ武器を落としていく。
百本以上、二百本以下と言ったところだ。
「ほぉー、やりおるな。LV50以上か?」
「LV70よ。ほら、さっさと呼び出しなさい」
「まったく、口の悪い娘じゃの。お前さんもこんなのが恋人だと苦労しておるじゃろ?」
やっぱり他人から見てもそう見えるみたいだ。ちょっと嬉しい。
だけど、ちょっと間違っているので訂正した。
「いえ、恋人じゃなくて、妻です」
「何と⁉︎ お主、ドMじゃの」
「ははっ……よく言われます」
「コラッ! 無駄話してないで、さっさとやりなさいよ!」
儀式を始めずにトン爺さんと話していると、リラに怒られてしまった。
確かに結婚した俺の勇気を誉めてあげたくなる。
「と言われてものぉー……武器を置く以外にやる事はないじゃろ。これで何の反応も現れないという事は、武器が足りないか、武器じゃないという事じゃ」
これ以上は何も出来ないと困った顔でトン爺さんが言った。つまりは手詰まりだ。
「それか、ダンジョンボスがいないか、ね。ほら、いないって分かったんだから帰るわよ。爺さんも無駄な事やってないで、家に帰るのね」
「ちょっ、リラ! もう少しだけ待ってよ!」
女の子は諦めるのが早すぎる。
リラが俺の右腕に左腕を通して組むと、馬車に帰ろうと引っ張っていく。
俺も早く馬車でエッチしたいけど、武器が駄目なら、念の為にエッチもした方がいい。
「もぉー。約束したでしょ。駄目だったんだから諦めなさい」
「いや、何か他にも条件があるのかも。亀裂に武器を差し込むとか、魔法の呪文があるとか……」
もちろんそれを爺さんの前で言えるわけがない。
爺さんが瓦礫に隠れて見学するに決まっている。
「魔法の呪文ねぇ……お爺さん、何か知ってる?」
俺の必死の説得の効果か、リラが腕組みをやめてトン爺さんに聞いた。
「いや、聞いた事もないの。昔の歴史書にチラッと【封印されし古代兵器】が眠る場所と書かれていたぐらいじゃ。それ以外には何の情報もない」
「封印されし古代兵器ねぇ……だったら封印解呪する呪文か、スイッチでも探すしかないわね。じゃあ、頑張ってお爺さん」
やっぱり酷い女だ。手掛かりがないと分かったら、トン爺さんに丸投げした。
これで残りの人生もこのダンジョンに捧げる事になる。
「ちょっと待て!」
もちろん、流石のトン爺さんもそれは嫌みたいだ。
帰ろうとするリラを呼び止めた。
「もぉー、まだ何かあるの」
「スイッチなら日々探しておる。それが見つからないという事は【解除呪文】じゃ! 悪いが知り合いの冒険者に魔法使いはいないか! 何でもいいから解除呪文を試していけば、反応するはずじゃ!」
「あっ、それなら必要ないです。俺、僧侶です」
「何と⁉︎ 【超戦士LV135】じゃないのか⁉︎」
いえ、ただの僧侶LV23です。
俺が名乗り出ると、トン爺さんが今日一番の驚きの表情になった。
よく誤解されるけど、状態異常解除できる僧侶です。
「”アンチポイズン〟”アンチスリープ〟”アンチパラライ〟……」
とりあえず、三つの状態異常解除呪文を唱えてみた。
しらばく待ったけど、何も反応がなかった。
つまりはもう”アンチカース〟や弱体解除呪文を試すしかない。
「やはり駄目じゃったか。解除呪文じゃと思ったんじゃが……」
俺の所為じゃないと分かっていても、ガックリ項垂れているトン爺さんを見たら思うところはある。
多分、他の解除呪文を全部試しても無駄だと思う。
「封印されし古代兵器かぁ……」
手掛かりはこれだけだ。
余計な部分を減らして考えても、【封印された武器】だ。
武器、武器、武器……
「あっ、もしかして?」
「何じゃ、何か分かったのか?」
封印と武器。考え続けると似たようなものを思い出した。
【レシピ本】と【素材】だ。だったら、唱える呪文は魔法使いじゃなくてもいい。
誰が使っても効果はある。
「”シンセシス〟」
「何と⁉︎」
合成の呪文を唱えた。大当たりだ。
地面に山積みされた武器を覆うように帯のような光の呪文が現れた。
呪文の帯に触れた武器が形を変えて増えていき、無数の武器が建物のような大きな何かに変わっていく。
武器というよりは巨大な黒鉄の武器の集合体、【ウェポンスケルトンキメラ】だ。
その見た目は上半身が人間・下半身が馬の【ケンタウロス】に近い。
あくまでも近いだけで、太い尻尾が生えた下半身はドラゴン、上半身は屈強なミノタウロスだ。
強靭な四本の足とたくましい二本の腕。
頭のこめかみから、前に突き出た太く鋭い二本の角。
口のような隙間に剣の牙が並んでいる。
左右の手に一本ずつ、黒い両刃の超大剣を持っている。
全身が数万本と言える数の武器、武器、武器で作られている。
体長15メートルを超える、まさに武器の化身だ。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる