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第2章
第46話⑥ミッドポイント
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「すみません、ちょっといいですか?」
ボロ布を纏ったお爺さんに近づくと話しかけてみた。
こんな所にお爺さんが一人でうろいているのは、かなり怪しい。
昨日の闇ギルドの仲間かもしれない。念の為に警戒しておかないと。
「なんじゃ、冒険者とは久し振りじゃな。ワシはこのダンジョンを何年も研究している者で【トン爺さん】と呼ばれている。このダンジョンの事は隅々まで知っている。何か聞きたい事でもあるのか?」
凄く暇なお爺さんを見つけてしまったみたいだ。
こんな瓦礫と廃墟しかないダンジョンで、長年ガラクタ集めをしているみたいだ。
凄く助かるけど、ある意味ヤバイ人だ。
「だったら、ダンジョンボスの居場所を知らない? 探しているのに見つからないのよね」
「ハハッ。そんな馬鹿な事を聞かれたのは久し振りじゃ。ここにダンジョンボスはいない。そんなのは常識じゃぞ、お嬢さん」
リラがトン爺さんに聞くと、爺さんが笑いながら知らないと答えた。
まあ、冒険者の誰もが知っている常識みたいなものだ。冗談だと笑われても仕方ない。
「でしょうね。邪魔して悪かったわね。別の所を探してみるわ」
「すみません、ありがとうございました」
知らないなら用はないと、リラと一緒に立ち去ろうとした。
それを、
「……待て。本当に探しているのか?」
トン爺さんが呼び止めた。
「ええ、そうだけど……何か問題でもあるの? 別に迷惑かけるつもりはないからいいでしょ」
「グゥハハハハ! ワシ以外にもまだ馬鹿が残っていたか。いいだろう、心当たりぐらいはある。そこまで案内してやろう」
リラが立ち止まって答えると、トン爺さんが馬鹿笑いして、ある方向を親指で指した。
知らないと言っていたのに、何か知っているみたいだ。
「まったく、知っているなら最初から教えてよね」
「長年の成果をポイポイ教えるわけがなかろう。それに心当たりだ。ダンジョンボスがいるとは限らない」
「別にいいわよ。いないつもりで探していたから、いなくても問題ないわ」
「なんじゃ、ロマンのない娘じゃの。お主もそう思っているのか?」
「いえ、俺はいると思っています」
「ふーん、嘘っぽいの。まあ良かろう、ここじゃ」
三人で話しながら、トン爺さんの案内で進んでいくと、目的地に到着したようだ。
トン爺さんが立ち止まって、親指で地面を指して教えてくれた。
たどり着いた場所はボス部屋の扉もない、ただ広いだけの広場だ。
地面に大きな長い傷が何本も走っているだけで、それ以外に何の特徴もない場所だ。
「……何もないじゃない? あんた、やっぱり闇ギルドの刺客ね! 覚悟しなさい!」
「待て待て! 何を言っておる! お主、この娘はヤバイのか!」
「すみません! すぐ止めます!」
怒ったリラがトン爺さんを殴る前に後ろから抱き締めて止めた。
おっぱいを揉んでしまったけど、緊急事態だから仕方ない。
「はうっ! ど、どこ触ってんのよ!」
「はぐっ……ごめん!」
爺さんの代わりに殴られた。名誉の負傷だ。
「まったく、モンスターよりも凶暴な娘じゃの。何度も言うが心当たりだ。この地面の傷はおそらくボスの攻撃跡だ。ここで何かする事で、ボスを呼び出せるとワシは睨んでいる」
リラに怯えながらも、トン爺さんが地面の傷を指差しながら説明を始めてくれた。
確かにヒビ割れというよりは巨大な剣や斧で地面を割ったような跡にも見える。
……見えなくはないけど、長すぎる。ミノタウロスとオーガが持っている武器の三倍はある。
ボスがいるとしたら、10メートル超えの巨大なボスだ。
「つまり【儀式】をすればいいんですか?」
「おそらくそうじゃ。だが、前に冒険者に協力してもらって、モンスターの死体を山積みにしたが、それは失敗だった。その一件でワシはとんでもない大嘘吐きジジイ、略して【トン爺さん】と呼ばれる事になった。それ以来、誰も協力してくれなくなった」
「で、今はガラクタ集めをしているわけね。それで何か見つかったの?」
トン爺さんが悲しい過去を話してくれたのに、リラの心には何も響かなかったみたいだ。
昔話はいいから、さっさと結果だけを教えろと言っている。
「いや、何もじゃ……だが、それが答えだと思っておる。死体以外の何かを捧げる事が条件なんじゃ……」
「死体以外……」
儀式と言えば、【生贄】だ。爺さんや俺を捧げても誰も喜ばない。
だとしたら、リラしかいない。つまりここでリラとエッチな事をすれば出てくるかもしれない。
多分、誰もやった事ないから間違いない。
「何、見てんのよ?」
「べ、別に何でもないです!」
ジロリとリラが睨んできた。心が読まれたわけじゃないと思いたい。
それにトン爺さんの前で、そんな事は出来ない。
やるならトン爺さんがいない時に、リラを説得してやるしかない。
「うーん、死体が駄目なら、武器でいいんじゃないの? ここのモンスターが持っている物で一番価値があるのは武器でしょ」
エッチ以外の答えが出ずに立ち尽くしていると、リラが何となく言ってきた。
正確には一番価値があるものは【命】で、二番目が【武器】だと思う。
一番が駄目なら、二番を使うのが妥当だと言えば妥当だ。
「うーん、武器なら数十本で試した事はあるが……大量の武器でやった事はないの。試す価値はあるかもしれんの」
「じゃあ、それで決まりね。それで駄目なら別のダンジョンに行くわよ。いいわね?」
「まあ、それしかないよね」
トン爺さんの夢物語にも、俺の願望にもこれ以上付き合うつもりはないらしい。
リラがやめ時をキッパリ言い切ると、俺に念押ししてきた。
確かにトン爺さんみたいに何年も探すつもりはない。
トン爺さんが名誉の回復なら、俺は上級職になりたいだけだ。
このダンジョンにこだわる理由はない。
ボロ布を纏ったお爺さんに近づくと話しかけてみた。
こんな所にお爺さんが一人でうろいているのは、かなり怪しい。
昨日の闇ギルドの仲間かもしれない。念の為に警戒しておかないと。
「なんじゃ、冒険者とは久し振りじゃな。ワシはこのダンジョンを何年も研究している者で【トン爺さん】と呼ばれている。このダンジョンの事は隅々まで知っている。何か聞きたい事でもあるのか?」
凄く暇なお爺さんを見つけてしまったみたいだ。
こんな瓦礫と廃墟しかないダンジョンで、長年ガラクタ集めをしているみたいだ。
凄く助かるけど、ある意味ヤバイ人だ。
「だったら、ダンジョンボスの居場所を知らない? 探しているのに見つからないのよね」
「ハハッ。そんな馬鹿な事を聞かれたのは久し振りじゃ。ここにダンジョンボスはいない。そんなのは常識じゃぞ、お嬢さん」
リラがトン爺さんに聞くと、爺さんが笑いながら知らないと答えた。
まあ、冒険者の誰もが知っている常識みたいなものだ。冗談だと笑われても仕方ない。
「でしょうね。邪魔して悪かったわね。別の所を探してみるわ」
「すみません、ありがとうございました」
知らないなら用はないと、リラと一緒に立ち去ろうとした。
それを、
「……待て。本当に探しているのか?」
トン爺さんが呼び止めた。
「ええ、そうだけど……何か問題でもあるの? 別に迷惑かけるつもりはないからいいでしょ」
「グゥハハハハ! ワシ以外にもまだ馬鹿が残っていたか。いいだろう、心当たりぐらいはある。そこまで案内してやろう」
リラが立ち止まって答えると、トン爺さんが馬鹿笑いして、ある方向を親指で指した。
知らないと言っていたのに、何か知っているみたいだ。
「まったく、知っているなら最初から教えてよね」
「長年の成果をポイポイ教えるわけがなかろう。それに心当たりだ。ダンジョンボスがいるとは限らない」
「別にいいわよ。いないつもりで探していたから、いなくても問題ないわ」
「なんじゃ、ロマンのない娘じゃの。お主もそう思っているのか?」
「いえ、俺はいると思っています」
「ふーん、嘘っぽいの。まあ良かろう、ここじゃ」
三人で話しながら、トン爺さんの案内で進んでいくと、目的地に到着したようだ。
トン爺さんが立ち止まって、親指で地面を指して教えてくれた。
たどり着いた場所はボス部屋の扉もない、ただ広いだけの広場だ。
地面に大きな長い傷が何本も走っているだけで、それ以外に何の特徴もない場所だ。
「……何もないじゃない? あんた、やっぱり闇ギルドの刺客ね! 覚悟しなさい!」
「待て待て! 何を言っておる! お主、この娘はヤバイのか!」
「すみません! すぐ止めます!」
怒ったリラがトン爺さんを殴る前に後ろから抱き締めて止めた。
おっぱいを揉んでしまったけど、緊急事態だから仕方ない。
「はうっ! ど、どこ触ってんのよ!」
「はぐっ……ごめん!」
爺さんの代わりに殴られた。名誉の負傷だ。
「まったく、モンスターよりも凶暴な娘じゃの。何度も言うが心当たりだ。この地面の傷はおそらくボスの攻撃跡だ。ここで何かする事で、ボスを呼び出せるとワシは睨んでいる」
リラに怯えながらも、トン爺さんが地面の傷を指差しながら説明を始めてくれた。
確かにヒビ割れというよりは巨大な剣や斧で地面を割ったような跡にも見える。
……見えなくはないけど、長すぎる。ミノタウロスとオーガが持っている武器の三倍はある。
ボスがいるとしたら、10メートル超えの巨大なボスだ。
「つまり【儀式】をすればいいんですか?」
「おそらくそうじゃ。だが、前に冒険者に協力してもらって、モンスターの死体を山積みにしたが、それは失敗だった。その一件でワシはとんでもない大嘘吐きジジイ、略して【トン爺さん】と呼ばれる事になった。それ以来、誰も協力してくれなくなった」
「で、今はガラクタ集めをしているわけね。それで何か見つかったの?」
トン爺さんが悲しい過去を話してくれたのに、リラの心には何も響かなかったみたいだ。
昔話はいいから、さっさと結果だけを教えろと言っている。
「いや、何もじゃ……だが、それが答えだと思っておる。死体以外の何かを捧げる事が条件なんじゃ……」
「死体以外……」
儀式と言えば、【生贄】だ。爺さんや俺を捧げても誰も喜ばない。
だとしたら、リラしかいない。つまりここでリラとエッチな事をすれば出てくるかもしれない。
多分、誰もやった事ないから間違いない。
「何、見てんのよ?」
「べ、別に何でもないです!」
ジロリとリラが睨んできた。心が読まれたわけじゃないと思いたい。
それにトン爺さんの前で、そんな事は出来ない。
やるならトン爺さんがいない時に、リラを説得してやるしかない。
「うーん、死体が駄目なら、武器でいいんじゃないの? ここのモンスターが持っている物で一番価値があるのは武器でしょ」
エッチ以外の答えが出ずに立ち尽くしていると、リラが何となく言ってきた。
正確には一番価値があるものは【命】で、二番目が【武器】だと思う。
一番が駄目なら、二番を使うのが妥当だと言えば妥当だ。
「うーん、武器なら数十本で試した事はあるが……大量の武器でやった事はないの。試す価値はあるかもしれんの」
「じゃあ、それで決まりね。それで駄目なら別のダンジョンに行くわよ。いいわね?」
「まあ、それしかないよね」
トン爺さんの夢物語にも、俺の願望にもこれ以上付き合うつもりはないらしい。
リラがやめ時をキッパリ言い切ると、俺に念押ししてきた。
確かにトン爺さんみたいに何年も探すつもりはない。
トン爺さんが名誉の回復なら、俺は上級職になりたいだけだ。
このダンジョンにこだわる理由はない。
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