異世界最後のダークエルフとして転生した僕は、神スマートフォンと魔物使いの能力を駆使して生き延びる。

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
5 / 63

第5話

しおりを挟む
「ねぇ、女神様。戦っている僕のことを見てたでしょう? どうして助けてくれないんですか? 僕が死んじゃってもいいんですか?」
『えっ、見てないよ? それに私がひでぶぅを助けないといけない理由なんてないよね?』

 白々しい嘘だ。キョトンとした口調で誤魔化そうとしても無駄だ。
 毎回毎回、ピンチ前とピンチ後のタイミングがいい時に現れといて……でも、まずは最初の問題だ。
 色々と言いたい事は山程あるけど、僕の名前はひでぶぅじゃない!

「ひでぶぅ、ひでぶぅって、僕の名前はひでぶぅじゃなくて、田中透たなかとおるです。せめてトオルって呼んでくださいよ」
『ええええっ! ひでぶぅの方が絶対に超絶カッコいいよ!』
「ひでぶぅが超絶カッコいい⁉︎」

 ああっ、これ以上は名前問題はもういいや。時間の無駄にしかならない。
 女神様や神様にはひでぶぅがカッコ良く聞こえていると思うしかない。
 フランス語っぽく、「ヒデブゥ?」みたいに聞こえてるんだろう。
 名前は諦めて、今は切実な問題を解決してもらおう。

「もぉー、それでいいですよ。でも、僕を転生させて生き返らせたんですから、もっと責任持って守ってくださいよ!」
『えっ? だからなんで私が助けないといけないの? ひでぶぅは海で溺れている人を助けたら、その人のその後の人生も助けるの?』
「えっ?」

 天然なのか、馬鹿なのか、話がいまいち噛み合わない。
 溺れているのが美少女だったら、その後の人生も付き纏ってもらいたいぐらいだ。
 いや、僕が付き纏いたいぐらいだ。
 それに今の僕は美男子だ。
 女神様も満更ではないから、こうやって気になって、ちょくちょく様子を見に来ていると思う。

 でも、溺れている人が美少女や美男子は特殊なケースだ。
 一般的なおデブ男子高校生が溺れていて、それを助けた後に、「もっと助けてくれよぉ~」と付き纏われたら最悪だ。
 僕なら、そんな事をされたら責任を持って、もう一度溺れさせる。

「そんな事しませんよ。逆に助けたんだから、お礼を貰ってもいいぐらいです」
『そうそう、つまりはそうなんだよ。私はひでぶぅを助けたんだよ。本来はお礼を貰ってもいい立場なんだよ。それにスキルも与えたし、ダークエルフになって、ひでぶぅも頭が良くなったでしょう? 結構、色々ともうサービスしまくってるんだよ』
「うぐっ……」

 確かに身体だけじゃなくて、頭もスッキリしている。
 街から逃げた時も戦闘中も、なんでこんな賢い事を思いつくんだろうと思ったぐらいだ。
 でも、お礼といっても何も持ってないから、身体で払うしかない。

 やっぱり誘ってるのかな? 
 いや、それなら戦闘中に放置はしないか。
 それとも、僕をワイルドダークエルフに育てたいのかな?

「じゃあ、ダークエルフが安全に暮らせる場所を教えてください」

 とりあえず、好きな相手を見殺しにはしないはずだ。
 そして、女神様が何もしてくれないなら、ダークエルフに友好的な街に行くしかない。

 冒険者ギルドとか、武器や魔法とか、そういうのを手にいれれば、一人で生活するぐらいは出来るはずだ。
 走って喉も渇いたし、お腹も減った。ああっ、その前にお金もないのか……この小豹とか売れないかな?

『えっ? そんな場所なんて無いよ。ダークエルフはこの世界ではゴブリンと同じカテゴリーに入っているから、人間を食べて、女は犯す鬼畜扱いだよ。絶対に受け入れてくれる街なんて無いよ』
「えええええええっ⁉︎」

 僕はこんなに美男子なのに、ゴブリン⁉︎ あの緑色怪物と同じ仲間⁉︎ 月とすっぽんですよ⁉︎
 会話も出来るし、傷つきやすい心もありますよ。
 僕なんて耳がとんがっているだけの、ただの日焼けした人間ですよ。
 ほら、髪で耳を隠せば、完璧に日焼けした人間ですよ。駄目ですか?
『コクンコクン』……はい、分かりました。

「……じゃあ、僕はどうすればいいんですか?」

 女神様の説得に失敗した僕は、もう、どうしていいか分からなかった。
 もう頼れるのは女神様だけだ。
 
『そんなの私に聞かれても分からないよぉ。どうして、ひでぶぅはエルフになろうとしたの? カッコいい人間じゃ駄目だったの?』
「じゃあ、人間にチェンジでお願いします」

 美少女エルフが絶滅した世界で、エルフになる意味はない。僕は人間になる事に決めた。
 当然だ。世界中を敵に回してまでダークエルフを続ける意味はない。
 けれども、それも許されないようだ。
 
『ダメダメ‼︎ 最低でも寿命の十パーセントを消費しないと転生させる事は出来ないんだよ。ひでぶぅはダークエルフだから、最低でも二百年後じゃないと死んじゃ駄目だよ。二百歳になる前に自殺したり、殺されたりしたら、強制的に地獄に送られて、鬼の巨大な金棒やイチモツが、ひでぶぅの大事な所にズッコンバッコンされるんだから!』
「ひぃぃ! そんなの聞いてませんよ!」

 思わずキューッと肛門を引き締めて、お尻を守ってしまった。

『今のひでぶぅは顔もスタイルもスーパーモデル級だから、鬼達は大興奮だよ。さながら男子校の中にやって来た、男装した女の子だよ。もう見つかったら、全校生徒三百人以上にめちゃくちゃにあれぇぇ~~~、されちゃうんだから』
「いややあああああッッッ‼︎」

 大の字にされて、両手足を地面に押さえつけられる僕。
 そこに群がる赤鬼の大群。
 思わずそんなシーンを想像してしまった。

 僕は絶叫しながら耳、口、乳首、脇の下、お尻、足の裏と二つの手のひらで守ろうと頑張ってみる。
 でも、手のひらの数が足りなかった。
 口とお尻を何とか死守したものの、耳、乳首、脇の下、足の裏が、ペロペロと舌で舐められて、犠牲になってしまった。

「いやぁっ! 嫌だ。絶対に死にたくない。女神様、何でもしますから助けてください!」

 天にいるはずの女神様に向かって、土下座で何度もお願いする。
 見っともなくてもいい。命も身体も肛門も大切だ。
 一度助けたんなら、二度も三度も同じだと思ってもらうしかない。

『もぉ~、ひでぶぅは本当に見っともないですね。でも、何でもしますか……分かりました。じゃあレベルを10まで上げてください』
「はひっ⁉︎ レベルを上げればいいんですか?」
『そうそう、レベルを10まで上げれば、お友達を二人まで増やせるし、お友達は便利ですよぉ~。ひでぶぅの影の中に入れる事も出来るし、その友達が出来る事は何でもやってくれるよ。もちろん死んだら終わりなんだけどね』
「へぇー、そうなんだ……」

 試しに小豹に、「お手」と言ったら、何もしてくれなかった。
 女神様に聞いたら、『教えていない事は出来ないよぉ~』と言われた。
 確かにその通りだ。つまりは最初は使いものにならないという事だ。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

男女比1:50の世界に転生したけど、前世の感覚で普通に接してたら幼馴染も姉妹もお嬢様もみんな沼にハマっていった件 ~ダンジョンにも潜ります〜

ベリーブルー
ファンタジー
男女比1:50――この世界で男は、守られ、大切にされ、穏やかに生きることを求められる存在。 だけど蓮は違った。 前世の記憶を持つ彼には、「男だから」という枷がない。女の子にも男の子にも同じように笑いかけ、距離を詰め、気負いなく手を差し伸べる。本人にとってはただの"普通"。でもこの世界では、その普通が劇薬だった。 幼馴染は気づけば目で追っていた。姉は守りたい感情の正体に戸惑い始めた。名家のお嬢様は、初めて「対等」に扱われたことが忘れられなくなった。 そして蓮はと言えば――。 「ダンジョン潜りてえなあ!」 誰も見たことのない深淵にロマンを見出し、周囲の心配をよそに、未知の世界へ飛び込もうとしている。 自覚なき最強のタラシが、命懸けの冒険と恋の沼を同時に生み出す、現代ダンジョンファンタジー。 カクヨムさんの方で先行公開しております。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...